ホンダは2019年10月23日、東京モーターショーで、グローバル戦略モデルの新型フィットを世界初公開した。なお、新型フィットの発売は2019年11月下旬に発表し、年内発売を予定したが、納入部品の不具合により2020年2月頃に変更されている。
4代目フィット誕生
最新のプラットフォームを採用した4代目となる新型フィットは、従来からのセンタータンク・レイアウト式をキープしている。そのため、これまでのモデルで継承されている広い室内空間や使い勝手のよさを維持しながら、グローバルで通用する新しい時代のBセグメント・コンパクトカーのスタンダードを目指して開発。新たなコンセプトは、数値では表せない「感性価値」を重視し、心地よい走りを追求。さらにユーザー層のライフスタイルの多様化に合わせて5種類のタイプをラインアップしている。
心地よい性能の追求
まず、新型フィットは視界を大幅に向上させている。フォーワードキャビンのパッケージングによりAピラーがドライバーの視界に入るのは避けられないため、新型はAピラーを新断面構造とすることで極細にし、視界を大幅に向上させている。もちろん、衝突安全性を考慮し、高い強度と極細断面を両立。インテリアは、水平・直線基調のデザインとし、車内からはワイパーを見えにくくすること、シンプルでクリアな明るい視界を追求している。
フロントシートは、上級セダンへの搭載も見据えて新たに開発した、新世代の「ボディスタビライジン・グシート」を採用。上半身をしっかりホールドするため乗員の体の面を支持する構造にすることで、上半身の揺れが少なく、長時間ドライブでも疲れにくく、やわらかな座り心地としている。リヤシートは従来同等のシートアレンジとし、大人がストレスなく座れる広さと厚みのあるパッドを採用し、上級セダン並の快適な座り心地としている。
e-HEV
パワーユニットは、小型化した2モーター・ハイブリッドシステム。従来はi-MMDと呼ばれていたが、今回から「e-HEV」という新呼称になっている。エンジン・モデルとしては1.5Lの自然吸気エンジンもラインアップ。e-HEVシステムでは、日常シーンのほとんどをモーターだけで滑らかに走行できるようになっている。また1.5Lエンジン車は改良されたCVTとの組み合わせで、ドライバビリティを高めている。
5種類のバリエーション
新型フィットは、新たに5種類のバリエーションを展開する。それぞれにベーシック(BASIC)、ホーム(HOME)、ネス(NESS)、クロスター(CROSSTAR)、リュクス(LUXE)という名称が与えられている。ベーシックは、シンプルで親しみやすいグレード、ホームはナチュラルな風合いのシート生地、本革ステアリングや上質感のあるソフトパッドなど、全体のカラーや素材を揃え、質感が高くリラックスできるグレードとしている。
ネスは、よりアクティブなカラーコーディネートとし、シートとインパネソフトパッドの表皮に撥水性の高い素材を採用。クロスターは、先にマイナーチェンジしたフリードの新グレードと同様の名称で、専用のエクステリア・デザイン、大径タイヤを採用したアーバン・クロスオーバーのテイストを備えている。リュクスは、質感のよさを追求した専用の本革シートを標準装備し、エクステリアはプラチナ調クロームメッキや専用デザインの16インチアルミホイールを採用するなど上質感を追求したグレードになっている。
新ホンダ・センシング、コネクテッド
新型フィットも、当然ながら安全&運転支援システムの「ホンダ・センシング」を標準装備するが、従来はボッシュ製のレーダー+カメラを装備していた。今回からはヴァレオ製の広角カメラ+8個の超音波センサーというシステムに変わっている。シングル・カメラながら広角での検知能力を備えており、近距離衝突軽減ブレーキ機能も新たに追加されている。
また、新型フィットから専用車載通信モジュール「Honda CONNECT(ホンダ コネクト)」を日本初搭載する。海外ではすでに採用されていたが、ようやく日本にも導入されることになった。もちろん「ホンダ コネクト」は新型フィットだけではなく、今後のモデルに幅広く展開される。
ホンダ・コネクトを利用することで、基本パッケージとして、スマートフォンによるリモート操作や、事故などの緊急時にクルマ自体が緊急サポートセンターと通信し、迅速な対応が可能となるトラブルサポートを受けることができる。もちろんスマホ・アプリもディスプレイ上で使用できるようになっている。
またオプションとして「ホンダ・トータルケア・プレミアム)」が設定されており、異常を検知した際にガードマンを派遣できる「ホンダALSOK駆けつけサービス」を選ぶことができる。
発売延期情報
なお、現在問題となっている電動パーキング・ブレーキの部品不具合は、N-WGNと同様に本来はCBI社(現在は日立オートモーティブの傘下)製の電動ドラムブレーキを採用してたが、不具合に対応する時間と供給量が確保できないなどの理由でコンチネンタル製のディスク式電動パーキングブレーキに切り替えを決定している。
そのためブレーキ制御ソフトウェアの一部を変更するなどの対応が必要で、年内発売の予定が2020年2月発売に延期された。結果的には、ライバルのトヨタ・ヤリスより先行して発売する計画が、ほぼ同時発売となったため販売競争は激化するはずだ。
なお今回の新型フィットも、トヨタ・ヤリスもエンジンのスペックや燃費・性能などはすべて未公表となっている。日本における燃費No1はどちらかという点も興味深い。
新型フィット特設WEBサイト
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