未来的なデザインの都市向け小型EVに
待望のレクサス初となる電気自動車が間もなく公開されるようだ。同社は2019年秋に開催される東京モーターショーに、将来の市販化を見据えた小型EVのコンセプトを出展するという。
まだ名前がないこのコンセプトカーは、背が高くて箱型の都市部向けハッチバックで、レクサスが現在販売しているどんなモデルよりも未来的なデザインになるという。
「レクサスから将来発売されるクルマは、これと似たデザインになると思います」と、レクサス・インターナショナルでエグゼクティブ・バイス・プレジデントを務める佐藤恒治はAUTOCARに語った。
ステアリングホイールの両側には、次世代インフォテインメント・テクノロジーを表示するスクリーンが左右に搭載され、それがインテリアの特色になるという。
インホイールモーターの実用化は数年後
レクサス初のEVとなるこのクルマの技術的な詳細や、市販化される時期については明らかにされていない。製品化する際には、競争力があり、説得力のあるクルマを作らなければならないと、佐藤は認めた。レクサスは2025年までにすべてのモデルに電動化バージョンを用意するという誓約を守るため、パワートレインの開発に多額の投資を行っている。
エンジニアたちは、電気自動車のベースとなるプラットフォームの設計に取り組んでいるところだ。それはおそらく、親会社のトヨタと共有することになるだろう。両ブランドは2020年代前半までに、合わせて10車種以上のEVをラインナップする計画を発表している。
レクサスはまた、インホイールモーターの研究にも力を入れているが、その技術を実用化するにはまだ数年かかると、佐藤は認めた。
「四輪にインホイールモーターを組み込み、それぞれを個別に制御すれば、非常に俊敏で、安定性も高く、そして運転が楽しいクルマが提供できると、われわれは期待しています」と、佐藤は語った。「われわれは引き続き、このエキサイティングな技術の実用化を追求していきます」
スピンドルグリルが消えることはない
一方、レクサスのデザイン部チーフを務める須賀厚一は、同ブランド初となる市販EVのデザインに取り組んでいる。最終的なデザインは、まだ豊田章男社長から承認を受けていないものの、須賀はAUTOCARに、「スピンドルグリルが完全に姿を消すことはないだろう」と語った。
「EVでも冷却は依然として必要になります」と、須賀は言う。「そしてスピンドルグリルは個性の表現であり、クルマの顔です。ブランド・アイデンティティに欠かせないものです。しかし、EVということであれば、お客様は何か未来的なもの、今までとは違うものも期待するでしょう」
東京で公開されるコンセプトを見れば、その方向性のヒントがわかるはずだ。
燃料電池の普及はインフラ次第
レクサスはEV以外にも、ガソリン・エンジンの代替を計画している。プラグイン・ハイブリッドや水素燃料電池だ。佐藤は、長年にわたって蓄積されたトヨタのハイブリッドに関する知見が、そこで大きなアドバンテージになると主張する。
「ハイブリッド技術はわれわれの核心です。電気制御技術やバッテリー技術に関するわれわれの知見は、燃料電池など他の代替パワートレインにも役立ちます」と、佐藤は語った。
しかしながら、レクサスの燃料電池車が増えるかどうかは、インフラと密接に関係してくる。
佐藤は、この問題がレクサスだけでは解決できないことを強調した。しかし、かれのチームは「このテクノロジーをけっして諦めない」と力説した。
LFA後継の計画は今のところなし
佐藤はまた、これまで一度もレクサスを所有したことのない新規顧客をショールームに誘い寄せるために、エントリー・レベルのモデルが必要であると主張した。「CT」(米国では廃止されたが欧州ではまだ販売が継続している)は後継モデルの登場が遅れているが、レクサスでは新型コンパクト・クロスオーバー「UX」の販売状況を見ながら、CTの後継となるハッチバックの投入時期あるいは必要性を判断していると言われている。しかしAUTOCARの調べによると、どうやら2021年に新しいコンパクト・モデルの発表が予定として組まれているようだ。
それとは反対に、レクサスでは今のところ、2010年に発売されたV10エンジン搭載の限定生産スーパーカー「LFA」の後継モデルは計画がないことを、佐藤は明言した。
「個人的にはやりたいと思っていますが、それにはあなた方の助けが必要です。メディアの方から新型LFAの要望を強く訴えてください。それがきっと、わたしたちを後押しすることになるでしょう」
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