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愛され続けて50年以上! 日本を代表するトヨタ・カローラの足跡をたどる

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愛され続けて50年以上! 日本を代表するトヨタ・カローラの足跡をたどる

「プラス100ccの余裕」でスタートダッシュに成功

 日本にマイカーという言葉が生まれたのは1950年代後半。もちろんマイカーブームの到来はまだ先の話だが、1958年にスバル360が登場。「てんとう虫」という愛称で呼ばれ、大ヒットした。以降、そのほかの軽自動車も続いていく。マイカーブームの下地を作ったのは、間違いなく軽自動車だった。

プラスアルファの価値を実現! 新型トヨタ・カローラ セダン&ツーリング デザイナーインタビュー

 トヨタは軽自動車には参画しなかった。一方で1955年には初代クラウン、1957年には初代コロナを登場させる。だがともに庶民にとっては高嶺の花。どちらかと言えばタクシー業界向けだったのだ。

 そこで1961年、700cc(のちに800cc)の水平対向2気筒エンジンを搭載する初代パブリカを登場させる。このパブリカをベースに開発されたのが、1967年に登場する「ヨタハチ」の愛称でいまも人気のトヨタ・スポーツ800である。パブリカは徹底的にコストダウンが図られ、39.8万円という低価格を実現した。

 だが、あまりにも質素だったせいか人気は低迷してしまう。自動車に「夢」が求められていた時代には、あまりにも実用的過ぎたのだろう。

 1964年に3代目となったコロナは1.5Lエンジンを搭載。パブリカは1966年に800ccに排気量アップする。この間を埋めるべく、この年登場したのが初代カローラだった。当初は2ドアセダンのみ、搭載エンジンは1077ccという微妙さ。だがこの排気量には理由があった。

 ライバルの日産から同年2月に初代サニーが登場。排気量は988cc、つまり1Lだったのだが、トヨタはこの情報をつかんでいたのだ。そこで急遽カローラの排気量アップを画策し、1077ccとして10月の東京モーターショーで発表され、翌月発売する。キャッチコピーは「プラス100ccの余裕」。これは「サニーより格上ですよ」と言っているようなものだった。そんな初代カローラはサニーを上まわる大ヒットとなり伝説の礎を築くことに成功する。

 1970年、ひと足先にモデルチェンジしたサニーは1.2Lエンジンを搭載。今度は「隣のクルマが小さく見えます」とやり返す。以降カローラとサニーは宿命のライバルとなり、しのぎを削ることで日本のモータリゼーションを牽引していく。

 8カ月先んじて登場した宿命のライバル

 1966年 日産サニー

 1966年2月に発表され、4月に販売を開始した日産サニー。トヨタはサニーが1Lであることを事前に察知、急遽排気量を1077ccに拡大して「プラス100ccの余裕」と謳った。以来長年にわたってカローラ宿命のライバルとなる。

 2ドアクーペのスポーティな兄弟車

 1968年 カローラ・スプリンター

 1968年登場した2ドアクーペの兄弟車。オート店(現ネッツ店)で扱われた。1970年登場の2代目からトヨタ・スプリンターと名乗った。セダンモデルも加えられ、レビンに相当するホットモデル「トレノ」も登場した。

 1970年 2代目カローラ

 初代の大ヒットからその哲学を踏襲

 エンジンは1.2Lとなり、同年1.4Lモデルも追加。さらに1972年にはクーペモデルに2T-G型1.6L DOHCエンジンを積む伝説のクルマ、レビン(TE27)を新設定した。

 スポーツモデルの名車「レビン」も登場

 1972年、カローラのホットモデルとして、オーバーフェンダーを装着し115馬力の1.6L DOHCエンジンを積むカローラ・レビンが登場する。

 1974年 3代目カローラ

 ハッチバックなどバリエーション増加。排ガス対策に振りまわされたモデル

 2&4ドアセダン、2ドアハードトップに加え、1976年にはリフトバックも登場。エンジンは1.2L、1.4L、1.6Lを搭載し、新たに3速ATも設定する。ホットモデルのレビンは排ガス規制の影響を受け一時消滅。のちに排ガス対策を施し再登場している。

 1976年には3ドアのシューティングブレーク風「リフトバック」を設定。同様にスプリンターにも用意された。

 今もなお愛される人気のAE86はカローラの派生モデル

 1974年、自動車史上で極めて重要なクルマがデビューする。それはVWゴルフ。世界的大ヒット車、VWビートルの実質的後継モデルである。ビートルがRRだったのに対し、ゴルフは真逆のFFレイアウトを採用。ゴルフもまた世界中で大ヒットし、FFモデルの優秀さをアピールすることに成功する。

 国内でも1980年、5代目マツダ・ファミリアが登場。ゴルフとほぼ同じコンセプトのFF2ボックスカーで、窮地に陥っていたマツダを救うほどの大ヒットとなる。

 トヨタは1978年にターセル/コルサという兄弟車を登場させる。トヨタ初のFFモデルだ。だがカローラはクルマもそうだが、ユーザーもコンサバティブな人が多い。躊躇したのか、1979年登場の4代目はFRレイアウトをキープ。1983年の5代目でようやくFFを採用する。だが名車TE27の流れを汲むスポーツモデル、レビンはFRを残した。AE86型レビン(とスプリンター・トレノ)は「ハチロク」の愛称で人気を呼んだ。現行トヨタ86はこのクルマにインスパイアされている。

 1980年代、日本の自動車業界に「ハイソカーブーム」が巻き起こる。簡単に言えば高級車ブームだ。1981年、高級パーソナルカーのソアラが登場。1982年にはX60系マークIIがマイナーチェンジし、通称「イーグルマスク」が与えられると人気に火が付いた。兄弟車のチェイサー/クレスタとともに大人気となる。1984年、マークII 3兄弟はモデルチェンジされX70系になると、人気はさらに加速。ライバルメーカーにも飛び火し、日本はハイソカーの大ブームに沸いた。さらに日本は「バブル経済」となり、空前の好景気が訪れる。

 この影響がカローラも及んだ。6代目から高級路線にシフトし、上級グレードには豪華装備が与えられている。1990年には国内で30万台以上の販売台数を記録するなど人気は高かった。続く7代目はバブル期による潤沢な開発費もあって、高級路線にさらに拍車がかかった。当時の最高級車、初代トヨタ・セルシオ(現在のレクサスLS)のような雰囲気があった。だがバブルは弾ける。

 1979年 4代目カローラ

 カローラ唯一の丸4灯ヘッドライトを採用し通常モデルは最後の後輪駆動車

 1.3Lに加え、新開発3A-U型1.5Lを搭載。セダンはカローラ史上唯一の丸型4灯ライトを採用する。また、セダンにもレビン同様の1.6L DOHC搭載車を設定している。

 初代モデルから商用ライトバンを用意していたが、1982年、初めて乗用モデル、カローラ・ワゴンが登場した。

「カローラ」の名を冠した初のFFモデル

 1982年 カローラII

 トヨタ初のFF車は1978年登場のターセル/コルサ兄弟。1982年にフルモデルチェンジされると、カローラIIが加わり3兄弟化。カローラの名を冠した初のFFモデルだ。車格的にはカローラより下のコンパクトモデル。

 1983年 5代目カローラ

 世界の潮流に従いついにFF化。だがレビンはFRを残し伝説のクルマへ

 4代目までのFRレイアウトと決別、FFモデルとなった5代目。セダンと5ドアハッチバックを用意。レビンはFRを踏襲し、4A-GEUを積む名車「AE86(ハチロク)」が登場。

 5ドアハッチバックモデルは「リフトバック」と呼ばれた。FF化による恩恵で、室内スペースは大きく拡大。

 名車の誉れ高いAE86型カローラ・レビン。130psの4A-GEU型1.6L DOHCを搭載するFRだ。

 1987年 6代目カローラ

 ハイソカーに倣い高級路線へシフト。レビンもFF化し初の4WDも登場

 ハイソカーブームもあって高級車路線にシフト。内外装の圧倒的なクオリティアップが図られた。セダンに初のフルタイム4WDが設定された。ホットモデルのレビンもFF化されている。

 レビンもFF化。NAとスーパーチャージャーが用意され、スーパーチャージャー仕様の後期モデルは165馬力を誇る。

 1991年 7代目カローラ

 バブル経済の余波を受け、「ミニ・セルシオ」的な高級路線の頂点

 高級路線をさらに進め、内外装とも極めて高品質となった7代目。「ミニ・セルシオ」的な雰囲気すら醸し出す。次世代基準の創出をコンセプトに安全性・信頼性も向上した。

 当時、日本は空前のワゴンブームが巻き起こり、カローラ・ツーリングワゴンも人気を集めていた。

 JTCC参戦用の激レア限定車

 1994年 カローラTRD2000

 全日本ツーリングカー選手権のノウハウを活生かした99台限定のレア車。実際販売されたのは12台程度だという。180馬力の3S-GE型2 L DOHCエンジンを搭載、外装から足まわりまで手の入ったコンプリートモデル。

 世界のニーズに合わせて各仕向地に最適なカローラが生まれる

 日本ではバブル経済が崩壊し、1995年登場の8代目カローラは本来の路線へと戻り、さらに環境や安全面にも対応したモデルとなった。カローラは世界中で販売されるトヨタを代表するグローバルカーである。順調に販売を重ね、1997年には累計販売台数でVWビートルを上まわってギネス記録に認定された。

 そんなグローバルカーのカローラだが、あるジレンマを抱えていた。それは「国内と海外の指向の違い」。カローラ最大のライバルは、グローバル的にはVWゴルフだ。ゴルフは1998年に日本で発売された4代目ですでに全幅1.7mを超えて3ナンバーサイズになるなど、モデルチェンジのたびに大型化している。7代目では全幅1.8m近い。世界的にはこれがクラスのスタンダードなのだ。だが依然として国内ではコンパクトさが求められる。

 トヨタもついに10代目から海外向けとは異なる、国内専用モデルを用意。「アクシオ」とサブネームを与えて心機一転を図った。国内向けはコンパクトさを守ったのだ。

 一方、トヨタは1997年にこれまた自動車史に名を残すクルマを世に送り出す。プリウスである。ガソリンエンジンだけでなく、大きなバッテリーとモーターを搭載する、世界初の量産ハイブリッドカー。当時高まって来つつあった環境問題に一石を投じる衝撃のクルマだった。10・15モード燃費は驚異の28.0km/L。同クラスのガソリン車に比べ2倍の数値であり、世界中が驚愕した。

 プリウスは代を重ね、2011年、プリウスに続くハイブリッド専用車としてアクアが登場する。さらにトヨタはハイブリッドモデルをさまざまな車種に拡大していく。

 2012年、カローラ・アクシオとしては2代目、カローラ通算で11代目となるモデルは、当初ガソリン車のみのラインアップだった。しかし2013年、アクア用システムをカローラ用に仕立てた1.5Lハイブリッドモデルを設定。1.5 LガソリンモデルのJC08モード燃費20.0km/Lに対し、ハイブリッドは33.0km/L。環境面でもカローラはトップランナーに踊り出たのだった。

 1995年 8代目カローラ

 バブル崩壊し本来のカローラへ原点回帰。スポーツモデル「レビン」の終焉

 カローラ本来のシンプルで使い勝手のいいコンパクトセダンへと回帰。約50kg軽量化され、低燃費を実現。またバブル崩壊に対応し、車両価格も引き下げられた。レビンはこのモデルで最後となった。

 カローラ・レビンの最終モデル。4A-GE型1.6LエンジンはNAだが165馬力を発生。2000年に消滅した。

 3列シートを採用するカローラ

 1997年 カローラ・スパシオ

 カローラより全高を高くし、ハッチバックを備えミニバンに仕立てた。3列シート車は、2列目をジュニアシートにしたり、折りたたんだりできた。2列シート仕様の4人乗りも用意され、後に5人乗りも追加で用意されている。

 2000年 9代目カローラ

 5ナンバーいっぱいのボディに広い室内。ワゴンモデルは「フィールダー」に

 流麗でモダンな印象へと生まれ変わった9代目。人気のワゴンはこの代より「フィールダー」を名乗った。カローラ初の横滑り防止機構(VSC)やトラクションコントロール(TRC)も設定された。

 人気の高いワゴンはこのモデルから「フィールダー」と命名。乗り味もセダン級に進化した。

 2006年 10代目カローラ・アクシオ

 海外向けと袂を分かち国内専用モデルに。サブネームが与えられ心機一転

「アクシオ」というサブネームが付く10代目は国内専用設計となった。1.5Lと1.8Lが用意され、トランスミッションはCVT。車庫入れなどで重宝するバックモニターを全車標準装備した。

 ワゴンの車名は先代同様カローラ・フィールダー。ワンタッチ格納リヤシートを全車に標準装備する。

 受注生産のターボエンジン搭載モデル

 2009年 カローラ・アクシオ“GT”TRDターボ

 TRDのコンプリートカー。ベースは1.5Xだが、専用ターボを装着し150馬力を発生。インタークーラーやサスペンション、17インチホイール&タイヤ、さらにエアロパーツやインテリアまで完璧。驚くことにフィールダーにも設定された。

 2012年 11代目カローラ・アクシオ

 コンパクト化でより日本でも使いやすく。待望のハイブリッドモデルも設定

 全長を50mm短縮しコンパクト化された。搭載エンジンは1.3&1.5L。2013年にはアクア用のシステムを最適化させ、JC08モード燃費33.0km/Lのハイブリッドモデルも設定した。なおハイブリッドモデルはセダンだけでなく、フィールダーにも設定されている。

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