コンセプトモデルの発表から2年半
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
いまから2年半ほど前。ドイツのフランクフルト・モーターショーに姿を表した、過激なコンセプトカーがあった。その量産版が、遂に公道へと降り立った。ミニ・ジョン・クーパー・ワークス(JCW) GPだ。
最速のロードゴーイング・ミニの開発とはいえ、かなり時間が掛かった印象はある。標準のJCWは発表されたものの、GP仕様の情報が表に出ることはなく、計画が中止になったかにも思えた。
読者の中には、首を長くして待っていた人もいるだろう。期待通りの仕上がりなのか、気持ちがはやる。
強い印象を残した先代同様、新しいミニJCW GPも、生産台数には限りがある。全世界3000台の限定で、英国市場には575台が残る。日本へは240台がやってくる予定。
ミニJCW GPには2種類が用意される。装備充実のフルスペック・モデルと、サーキット走行が前提の、必要なものだけが装備された素のモデル。後者にはエアコンやインフォテインメント・システムも付かない。
ミニ誕生60周年のお祝いから、間もないタイミングでのリリースが喜ばしい。しかも、かなりの熱量を持つモデルでの祝砲となる。
従来から、社交性と運転する楽しさを備えながら、さまざまなモータースポーツ・シーンで活躍してきた長い歴史を持つミニ。新しいJCW GPも、その流れに沿っている。
パワーウエイトレシオは244ps/t
3代目JCW GPは、ベースとする3ドアのミニJCWと比較すると、プラス75psと13.5kg-mを獲得。生産は英国オックスフォードにある、ミニの工場で行われる。
306psのエンジンは、より大きく重いミニ・クラブマンJCWやカントリーマンJCWに搭載されるものと同じ、2.0Lの4気筒ターボ。B48と呼ばれ、BMWグループ内ではおなじみのユニットだ。
最もパワフルなミニとなり、パワーウエイトレシオは、244ps/t。先代比でプラス68ps/tとなる。最大トルクは1750rpmから4500rpmの回転域で、45.8kg-mを発生。ドライビング体験に小さくない影響を与える。
新しいツインスクロール・ターボを採用し、高ブースト圧を達成。大きなメインベアリングを持つ強化クランクシャフトに、軽量ピストン、新しいコネクティングロッドなどを内蔵する。
ほかにも新設計の免震ダンパーに、大きなオイルサンプ、大容量化された冷却系統なども備える。3000台すべてで、駆動方式はFFで、トランスミッションはATとなる。
ATのみとは、サーキット前提のロードカーとしては少し不思議に思える。だがミニは、ZF社が開発した8速ATは、ルノー・メガーヌRS300トロフィーやホンダ・シビック・タイプRと競う、JCW GPのパフォーマンスに重要な役目を果たすとしている。
センターコンソールにはシフトノブ、ステアリングホイールにはシフトパドルが付く。各段のギア比に変更はなく、ファイナルレシオも通常のJCWと同じ、2.96:1となっている。
表現力豊かでシリアスなサウンド
先代のJCW GPと同様に、3代目ミニJCW GPも2シーター。インテリアは、前席周りは標準のJCWと大きな違いはない。モニター式のデジタルメーターと、新しいトリムを得ているくらい。
後ろを振り返ると、軽量化のためリアのベンチシートが外され、ブレースバーが見える。一見、ボディ補強のためと思えるバーだが、JCW GPの場合、荷物がフロントへ飛び出すのを防ぐのが役割とのこと。
シートベルトを締めてスターターボダンを押す。サーキットで育てられた血統を表すかのような、気持ちを高めるのにピッタリのエグゾーストノートが響き始める。
一般道を走り始める。アクセルペダルを離し、シフトダウンをすると破裂音が混ざる。ほかのどんなミニより、音響的な表現力が豊かでシリアス。特徴的な構造を持つステンレス製のエグゾースト・システムと、90mmもあるテールパイプがしっかり機能している。
車重は1255kgで、比較的軽量な部類。306psのエンジンのやる気を引き出すのに不足はない。
低回転域では若干のターボラグがある。2000rpmを超えるとターボの効果が効きはじめ、惹き付けるようなレスポンスを維持。太いトルクによる力強さと、中回転域でのスムーズさが融合し、パワーデリバリーは見事にリニアだ。
むしろトルクは太すぎ、機械式デフロックとダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)をもってしても手に余る様子。強くアクセルを踏みすぎると、低いギアではフロントタイヤが暴れてしまい、ステアリングにも影響が出てしまう。
すぐに見えるミニ史上最高の動的性能
ミニは0-100km/h加速5.2秒と公表しているが、額面通りに動的性能はたくましい。エンジンは6800rpmのリミッターまで力強く滑らかに吹け上がる。ATはマニュアルモードで、素晴らしくキビキビと変速をこなしてくれる。
複雑に用意されたドライブモードを、順番に試す必要もない。従来の量産ミニのなかで、最も高いパフォーマンスを備えていることは、走り出せばすぐに見えてくる。すべてのシーンで標準のJCWより速く、鋭く、熱い。
これはハンドリングにも当てはまる。むしろ、エンジンが生み出すスピード感より、ドライバーへの訴求力が強いことが嬉しい。ミニらしいとも思う。従来以上に極めて機敏に、痛烈にワインディングを抜けていく。
これを叶えているのが、ボディ剛性だけではない、全体の強化対策にある。新しいエンジンマウントと、強固なフロントストラット・ブレース、リアサスペンション・サポート周りの補強が効いているのだろう。
加えてJCW GPには独自のキャンバー角と、強化されたアンチロールバーも獲得。オフセット値が改められた18インチのホイールによって、トレッドも広げられている。
標準採用となるタイヤは、225/35サイズのハンコック。ストリート用のS1 evo2だけでなく、試乗車に装備されていたが、TDセミスリックも選べる。車高は標準のJCWより10mm低く、低重心化されるとともに、視覚的なアグレッシブさも増している。
この続きは後編にてお伝えしよう。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
コンパクトカーに 300馬力の→JCW
(^ω^)ふふふ
過激な☆コンパクトカーが盛り上がっていますね
WRXやシビックRが→デカく&重たくなる一方で
コンパクトな車体に ハイパワーエンジン☆
そら☆楽しいでしょーよ
車体も大きい。個人的には、ミニはもう少し小さくて可愛らしい方が、結局はカッコよくなるように感じる。