スバルの屋台骨を支える1台がインプレッサ。初代は1992年にデビューし、2023年4月20日に発売されたこの新型は6代目となる。これまでハッチバックタイプは「IMPREZA SPORT」と呼ばれていたが、新型では「IMPREZA」というシンプルな車名に変更されている。
クロストレックよりスポーティな走りを目指した新型インプレッサ
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実は、新型インプレッサのクロスオーバーモデル版となるクロストレックが先にデビューしているのだが、基本はもちろんインプレッサのほうで、プラットフォーム、パワーユニットなどは共通だ。最低地上高はクロストレックの200mmに対して135mm(e-BOXER)となり、水平対向エンジンのメリットとともにより低重心であることは間違いない。つまり、同プラットフォーム、パワーユニットを積むクロストレックよりスポーティな走りを目指したのが新型インプレッサということになる。
エクステリアデザインはどこから見てもインプレッサであり、ボディサイズも先代に対して全幅が1780mmと5mm増しただけで、先代の持つサイズ感、運転のしやすさは不変と言っていい。
ユーティリティ・スポーツカーをコンセプトとするインプレッサとクロスオーバーモデルのクロストレックとの違いは、エクステリアデザインだけではない。クロストレックが水平対向2Lエンジン145ps、19.2kg-m+モーター13.6ps、6.6kg-mのマイルドハイブリッド=e-BOXERのみのパワートレーンになったのに対して、インプレッサはSTグレードとして2L直噴ガソリン、154ps、19.7kg-m、WLTC燃費15.8(2WD)~14.7(AWD)km/L、およびST-G、ST-Hグレードとしてクロストレックと共通のe-BOXERの2種類のパワーユニットをリニアトロニックとの組み合わせで用意している。
タイヤサイズもクロストレックと異なる。クロストレックではリミテッドに18インチ、ツーリングに17インチを組み合わせているが、新型インプレッサはガソリン、マイルドハイブリッドのe-BOXERモデルともに17インチを採用する(STが205/55R17、ST-G、ST-Hは215/50R17)。
クロストレックと同一の快適な室内空間
また、室内、荷室の寸法も、先に発売されたクロストレックと同一。新型のインテリアを象徴する先進感ある11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ+インフォテインメントシステム、医学的アプローチにより運転中の頭部の揺れを低減する仙骨を押さえて骨盤をサポートする新構造フロントシートの採用もまた、クロストレックと共通だ。
インプレッサの新旧比較では、室内寸法はほぼ同等、荷室に関してはe-BOXERモデル比で先代の336Lから311L(ST ガソリン車は368L)へと減少しているものの、実際の積載性はほぼ同等とのこと。具体的には8.5インチのゴルフバッグを3セット、82Lの大型スーツケース3個、ベビーカーやドッグカートなどが横積みできるのだから十分だろう。
自在感ある爽快な走り
さて、新型インプレッサのFWDとAWD(プロトタイプ。といっても市販車同等)、そして先代のAWDモデル(すべてe-BOXER)を走らせたのは、袖ヶ浦フォレストレースウェイのクローズドコース。とはいえ、速度制限やパイロンによるS字走行シーンなど、一部、一般道走行に準じる走行、試乗となった。さすがに高速直進安定性や、リアルワールドの乗り心地については言及できるはずもないが、新型インプレッサの進化著しい資質を体感することはできた。
実は、直前にクロストレックの公道試乗を終えたところで、運転席に座った時のシートの上半身、腰回りをやさしく、確実にサポートしてくれる、ファブリック、本革を問わない極上のかけ心地の良さはすでに体験済み。つまり、運転席に腰かけただけで新型インプレッサの資質の高さを実感できるというわけだ。ドライバーとシートの相性、かけ心地の満足感は極めて重要である。
まずステアリングを握ったのは、新型インプレッサのe-BOXER、AWDモデル。出足のモーターアシストによるウルトラスムーズな加速感に酔いつつ、速度を上げていく。水平対向エンジンの回転上昇は素晴らしく滑らかで、とくにパワフル、という印象はないものの、気持ち良さは文句なしだ。
大いに感心したのはこのサーキット走行の速度域でも実感できる、AWDならではの路面に張り付くような安定感の高さ、そしてカーブで見せる、走り好きなら思わず笑みがこぼれるはずの”走りのつながり”の良さ、気持ち良さだった。ステアリングはやや重めの設定で、スポーティかつ極めて安心感の高い、しかし自在感ある爽快な走りを堪能させてくれたのである。
一方、新型インプレッサのFWDモデルに乗り換えると、ステアリングはやや軽めの設定に感じられ、走り出しからの軽快感で上回る。駆動方式の違いに加え、車重差50kgが効いているとも言えそうだ。しかも、ペースアップし、カーブを曲がるシーンではスポーティカーを思わせる俊敏性と同時に、今乗っているのはAWD? FWD?と思わせるほどの安定感をFWDでも実現しているところがまた素晴らしい。もちろん、AWD、FWDともに、運転中の頭部の揺れを低減する新シートのホールド感の良さも、走りやすさに大いに貢献しているのである。
乗り心地に関しては、あくまでサーキット路面だけに確定的なことは言えないものの、コース内の白と赤に塗られた縁石に乗り上げても、乗り心地はマイルドで鋭利なショックとは無縁だった。クロストレックの感動に値する快適無比な乗り心地の良さからすれば(18インチタイヤ装着のリミテッドでも)、一般道、高速道路などの乗り心地の良さは、より低重心で足を固める必要がないため、かなり期待できそうだ。無論、クロストレックで体験した素晴らしいかけ心地とホールド性を持つシートはこのインプレッサも同じだから、なおさらハイレベルかつ上質な快適感を味わせてくれるに違いない。
では、そうした新型を走らせたあとで先代AWDモデルに乗り換えるとどうなのか? まず、シートのホールド感、かけ心地が大きく違う。そしてパワーステアリングはやや重めに感じられ、加速性能も、あくまでも新型との比較において穏やかに感じられてしまうのだ。パイロンで制限されたところでのS字、スロラーム区間での走りのつながりの良さ(スムーズさ)も、決して悪くはないのだが、新型のリニアなふるまいを味わってしまうと、物足りなさ(大げさに言えばギクシャク感??)を感じてしまうのも本当だった。
先代インプレッサのイメージ
走行性能の満足感は極めて高い
そんな、クロストレックでは選べないFWDが用意され、より低重心でスポーティな走りが味わえ、全高1450~1515mmだから立体駐車場への入庫もより容易なインプレッサだが(クロストレックの全高は1575mm)、スバルファンなら迷わずAWDの選択になるはずだが、とくに、今回は試せなかった高速直進性の良さ、それに伴うロングドライブでのドライバーの疲労感の少なさといったメリットはAWDにあるにしても、FWDのより軽快かつ爽快な走行感覚、わずかながらも燃費性能の優位性、22万円の価格差に加え、例えばサーキット走行でAWDに迫る安定感を示してくれるのだから(山道走行も同様のはず)、どちらの駆動方式を選んでも、走行性能の満足感は極めて高いと思える。
クロストレックの経験では、ルーフにマスチックシーラーを用いることで頭上方向からの遮音性能さえ高めたことで、エンジンノイズ、ロードノイズを含め車内の静粛性は極めて高く、それもそのまま新型インプレッサにも共通するはずで、進化したアイサイトによる極めて高い安全性能、ハイレベルな先進運転支援機能の充実もあり、ユーティリティ・スポーツカーとして、ロングドライブにも最適な文句なしの安心・快適性に支えられた走行性能を発揮してくれるに違いない。
そうした魅力はすべてクロストレックにも共通し、アウトドア派なら最低地上高200mmのクロストレック、”使える”スポーティカーとして選ぶなら新型インプレッサという選択が妥当だが、どちらを選んでも、駆動方式にかかわらず、スバル最新モデルの満足感を得られるはずである。
クロストレック
新型インプレッサ
スバル・インプレッサ
文/青山尚暉
写真/スバル
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みんなのコメント
プリウスみたいにカッコよくなってしまうと、旧型がみすぼらしく見えてしまう。