安全を視野に入れたカーライフを継続できる
次第に電気自動車(EV)への関心が高まっているようだ。私と同年配(60歳代半ば)の人は、次はEVだと決めている。あるいは、最近まで関心がなかったが、買い替えるならEVかなぁと漠然とした思いがあるとの声も耳にする。若い世代では、運転免許証を取得して最初に手にしたのがEVという人と会い、エンジン車にはまったく興味がないと彼は言っていた。
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徐々にではあるが、そういう声が聞こえてくることは嬉しい。一方で、EVの新車価格はまだ高く、300万円台もあるが、全体的には400~500万円から上という相場観ではないだろうか。
中古車へ目を向けてみると、200万円以下、150万円前後で程度がよさそうなものが出ている。しかも、走行距離がそれほど伸びていない中から選択肢がある。
【オススメ中古EV(1)】三菱i-MiEV
軽自動車時代の三菱i-MiEVが、1~2万kmで100万円前後である。このあたりの価格帯は一つの狙い目ではないか。注意点があるとすれば、i-MiEVには、バッテリー搭載量が少ないMという仕様がある。これは新車価格を抑える目的で、走行距離は短くなるが、あえて搭載バッテリー量を減らした車種だ。
Mには、東芝製のSCiBと呼ばれるリチウムイオンバッテリーが選ばれ、これは劣化が少ないと中古車市場で評判だ。自分のクルマの使い勝手がはっきりしている人は、Mの中古をあえて狙っている。新車時のJC08モードで一充電走行距離が120km(Gは180km)なので、エアコンディショナーなどを利用しての走行では100kmを切るかもしれないが、それでも、通勤や近所の足としては十分役に立つ。
【オススメ中古EV(2)】日産リーフ
日産リーフの中古車は、新車の販売台数が多いだけに豊富だ。150万円前後の予算で調べると、初代リーフになる。初代リーフでも、車載のバッテリー容量は初期型の242kWhと、後期型の30kWhの2種類ある。一充電走行距離で安心感のある30kWhの容量でも、予算内で走行距離が2~3万kmあたりの選択肢があるから嬉しい。
一つ要点として、リーフの充電量のメーターには12段階の目盛りが刻まれており、急速充電の利用が多かったり、走行距離が多かったりすると、満充電にしても11~10段階までしか充電できなくなる。当然それでは満充電からの走行距離が短くなるので、充電計の目盛りが12段階残っているかどうかが一つの確認点だ。
それでも、日常的な走行距離が多くなければ、価格との兼ね合いで11~10でも使えないことはない。新車時の保証(5年または10万km)では、期間内に9目盛りまで減ってしまうと載せ替えの対象になっていた。
【オススメ中古EV(3)】日産e-NV200
日産のミニバンEVであるe-NV200は、もともと新車販売台数が少ないため、中古車市場に出てきても数台しか選択肢がない。また、それなりの距離を走っている状態となりそうだ。商法バンを基にしたEVなので、エンジン車と比べれば静粛性に優れるが、タイヤ騒音や乗り心地にはワゴンのような上質さはない。
ただ、これからは商用EVへの需要も高まるのではないかと思われる。欧州では、ルノー・カングーの商用EVが5万台数売れているという。市街地中心部へのクルマの乗り入れが禁止される地域のある欧州では、商用EVが特権を得られるのではないだろうか。
【オススメ中古EV(4)】BMW i3
輸入車のEVでは、BMW i3の台数が豊富だが、価格は300~400万円になる。200万円以下で調べると何台か出てくるが、それなりに走行距離が伸びている。ただ、国内ではガソリンエンジンの発電機を備えたレンジエクステンダー仕様車が多いので、バッテリーの充電容量が低下していても、万一の長距離移動で発電機を利用すれば、それほど不安はないかもしれない。
【オススメ中古EV(5)】フォルクスワーゲンe-Golf
フォルクスワーゲンのe-Golfは、新車販売台数が多くなく選択肢は限られる。輸入車だけに300万円近くするが、走行距離はかなり少ない品質のよいものを選べそうだ。
オススメ中古EV(6)】スマート・フォーツー エレクトリックドライブ
変ったところでは、メルセデス・ベンツのスマート・フォーツーのEVがある。2人乗りだが、三菱i-MiEV同様に100万円前後で販売されている。走行距離は限られるが、私の掛かりつけの医者は往診で使い、100km前後は走れるといっていた。そのように用途を限るなら、車体寸法も小さく駐車の場所をとらず、独自の魅力を持つ。
新車でも中古車でも、EV選びで一つ確認したい装備がシートヒーターだ。少しぐらいの寒さであれば空調を使わず快適に乗れる。また、消費電力は空調の1/10以下なので、走行距離への負担も少ない。ハンドルヒーターがあればなおよい。
距離の制約もあるが、EVに乗ると穏やかな心持となり、無暗に飛ばさなくなる。また、歩行者など他の交通に気配りでき、安全運転につながると私は考えている。またワンペダル操作ができればなおいいし、それができない車種でも、回生を利用した運転は、速度調整が楽だ。
高齢になっても、クルマでの移動が必要な人は、一度EVを体験してはどうだろう。運転への新たな発見もあり運転することに新たな興味が生まれるし、ゆっくり走行しても快い乗り心地もあり、安全を視野に入れたカーライフを継続できるかもしれない。
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