■トヨタが提案する未来のモビリティ「e-Palette」は何が革新的なのか
トヨタが「e-Palette」(以下、eパレット)の実用化に向けてのプロトタイプを発表した。
【画像】すべて自動で完結!? 未来が走る!e-Paletteを見る!(41枚)
本来なら2020年に開催される予定だった東京オリンピックの選手村のなかで稼働させる予定だったという。
といったことからすればプロトタイプというより実用第一弾といったイメージかもしれません。
結論から書くと、明日にでも家の前の走る路線バスがeパレットになって欲しい。
簡単にeパレットを紹介しておく。写真の通りボクシーなボディで、サイズは全長5255mm×全幅2065mm×全高2760mm、ホイールベース4000mmと、運転席部分をカットしたマイクロバスを想像してもらえばいい。
実車は、これまで写真で見た感じより二回りほど大きいです。
定員はオペレーターを含んで20人となっており、人を乗せる仕様だと8席+1席+つり革3本。電気自動車になっており、運用上の想定最高速度は19km/hとのこと。
今回はお客さんとして試乗も出来た。タイヤで走る電動車両ということもあり、乗り心地はいわゆる「新交通系」にソックリ。
東京・お台場を走っている「ゆりかもめ」や都内を走る「舎人ライナー」の兄弟といえる。
いや、同じくタイヤでコンクリート軌道を走る都心と羽田空港を結ぶ「東京モノレール」や沖縄都市モノレールの「ゆいレール」にも似ている。路線バスより圧倒的に安定しているため、手放しでも立っていられるほど。
もちろん自動運転で、取材時は(東京オリンピックの選手村での運用時も)緊急停止操作などをするための安全監視員が乗っていたものの、広く実用化させる段階では無人運行を目指している。
高精度マップによって走る場所を選び、横断歩道の歩行者や進路上の障害物などあれば5つ着いているライダー(レーザー式の高性能スキャナー)で検知して自動停止します。
停留所を模した発着ホームへの接近は、人間の運転だと難しいほどギリギリ。
ほとんど隙間無いため、子供が落ちる心配もないし、車いすのスロープも滑らかに出てくる。
公共の移動手段でもっとも車いすにやさしいと思っていい。ここまで高い完成度を持っているとは予想しておらず。ハード技術は実用段階に入っていると思う。
■話題の「Woven City」でもe-Paletteを展開!
「運用も素晴らしい!」。乗る人の人数を常時検知。たくさん運ばなければならないときは予備のeパレットをどんどん投入。運行間隔も調整して滞留しないような制御をおこなっている。
このあたり、トヨタが得意とする生産管理システム「かんばん方式」のノウハウが随所に活かされているように思う。
私の家の前の路線バスは渋滞や開かずの踏切を通過することもあり、時間通り運行されているほうが珍しい。
朝晩など同じ行き先のバスが3台続き、その後30分来ないことだって珍しくない。
運転手や車両の手配をフレキシブルに運用出来るeパレットに切り換えてくれたら、同じ間隔で同じような乗員の数になる。公共の交通手段として考えたら理想的に近い。
eパレットの使い方は人の移動に限らない。お祭りやイベントのときは商品などを搭載したeパレットを夜間に運行させ、朝になったら広場一杯にお店が出ているような状況になる。
eパレットを入れ替えるだけで次の日はまったく違う方向性のイベントとして使うということだって可能。eパレットを1台借りたら、毎日いろんな場所でお店が出せます。
もちろん宅配便に代表される物流は中心的な使われ方になるだろう。eパレットをたくさん共同管理することで、何時にでも何台でもリクエストに応じて運用することが出来るのだから素晴らしい。
日本の流通や移動手段を根本的に変えることが出来るかもしれない。トヨタはオリンピックの次はウーブンシティで試験運用するそう。
唯一の課題は犯罪者からどう守るか、だと思う。オリンピックの選手村での運航も、酔っ払った選手がeパレットの前に飛び出してきたら急停止する。
19km/hだと油断して乗っていたらケガします。公道で運用するとなれば、悪意を持ってイタズラする輩も少なからず出てくることだろう。
そういった状況をどうやって排除したらいいか、この手のモビリティにとって最大の課題です。
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