2019年7月に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、2018年の全世帯の平均所得金額は552.3万円だった。全世帯の平均所得は1994年(平成6年)の664.2万円をピークに、緩やかな下降トレンドとなっている。
所得金額の分布を見てみると、200万~300万円未満が13.6%、300万~400万円未満が12.8%。そして、100万~200万円未満が12.6%となっており、552.3万円の平均所得金額以下は61.1%となっているのだ。
現在は、サブスクリプションや個人リース、残価設定ローンなど新車は所有・購入の仕方が、多彩となり、高額なクルマも所有しやすくなっている。
しかし、本来は年収に対して「適正価格」というのが存在している。もし、年収が平均年収と同じ552.3万円であれば、税金や保険などを引いた手取り金額は450万円ほど。大体適正価格はその約半分となるので、200万円が目安となる。
予算200万円の新車を選ぶ場合は車種がかなり絞られてしまうが、中古車まで選択肢を広げれば、多くの車種がターゲットとなる。そこで、予算200万円でオススメの国産中古ミニバンを3モデル紹介しよう。
文、写真/萩原文博
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走りの良さはミニバン随一のオデッセイ
オデッセイのフロントスタイル
まずピックアップしたのは、惜しまれながら2021年末で生産終了となってしまったホンダオデッセイ。5代目の最終型オデッセイは2013年10月に登場。上級モデル、エリシオンとのモデル統合によってオデッセイはシリーズ初となるリアスライドドアを採用したのが特徴だ。
モデル体系は従来と同じ標準モデルとアブソルートの2種類だが、搭載するエンジンは全車レギュラーガソリン仕様の新開発2.4L直列4気筒i-VTECエンジンとなった。またアブソルートには、力強い加速を発揮する2.4L直噴 i-VTECエンジンを搭載している。
組み合わされるトランスミッションは全車CVTで、アブソルートにはパドルシフトを採用した7スピードモード付CVTを採用。
先進の安全装備として前走車だけでなく、対向車にも作動し、誤発進抑制機能も備えるなどさらに進化した「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」をはじめ、前走車への追突や誤発進の未然防止をサポートするシティブレーキアクティブシステムなどを採用している。
2015年に行った一部改良で、衝突軽減ブレーキ(CMBS)をはじめ7つの運転支援機能をパッケージ化した先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」を採用。翌2016年には「スポーツハイブリッドi-MMD」と呼ばれるハイブリッドシステム搭載車を設定した。
2017年11月には内外装の変更と同時に、機能性が向上した安全運転支援システム「Honda SENSING」を全車に標準装備化、そして2020年11月オデッセイはマイナーチェンジを行い、内外装のデザインを一新。さらに、安全運転支援システム「Honda SENSING」に後方誤発進抑制機能を追加するなど商品力を向上させている。
最終型オデッセイの中古車は約1,850台流通しているが、そのうち半数以上の約820台が、予算200万円で狙える。ただし、これからパートナーとして迎えるのであれば、先進安全装備の「Honda SENSING」装着車を狙いたい。
「Honda SENSING」を採用した2015年式以降で200万円以下でも約270台もあるので、じっくりと比較して選ぶことが可能だ。2.4Lガソリンエンジンを搭載したアブソルート系が主力だが、わずかながら2Lハイブリッド車も見つけることができる。ただし、ハイブリッド車はガソリン車に比べて走行距離は多めとなる。
SUVとミニバンのいいところどりのデリカD:5
デリカD:5のフロントスタイル
続いては、2007年に登場して以降、まる15年も販売されているロングセラーミニバンの三菱D:5を取り上げたい。
デリカD:5は、「さまざまな走行環境下で、多くの乗員を安全に目的地まで運ぶ」という“デリカブランド”の特長を発展させ、「ミニバンの優しさ」と「SUV の力強さ」の融合をコンセプトに、高い悪路走破性を備えたミニバンだ。
デビュー当初、搭載するエンジンは小型、軽量な2.4L直列4気筒MIVECエンジンのみだった。組み合わされるトランスミッションはエンジン回転数と変速比を常に最適な領域で制御し、低燃費と俊敏で滑らかな加速が得られるINVECS-IIIと呼ばれる CVT を採用している。
駆動方式は、走行状況に応じて、前後輪へのトルク配分を適正にコントロールする電子制御4WDを全車に採用。インパネ中央にあるダイヤル式のドライブモードセレクター)により、3 つの走行モード(2WD、4WD オート、4WD ロック)の切り換えが可能だ。
デリカD:5は長いモデルライフで数々の改良を行い進化している。2009年11月の一部改良では、4WD車のエンジンやCVTの制御を見直し、燃費性能を向上させています。また新デザインのハイコントラストメーター&カラー液晶マルチインフォメーションディスプレイを採用した。
さらに翌月には2WD車のマイナーチェンジを実施。4WD車にも2WD車の外観を採用したほか、従来搭載されていた2.4L直4エンジンから2L直4エンジンに変更し、燃費性能を大幅に向上させている。2012年12月の一部改良では従来の2L、2.4Lガソリンエンジンに加えて、最高出力148ps、最大トルク360Nmを発生する2.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを新たに追加した。
組み合わされるミッションは6速ATで、シフトパターンなどの最適化が図られ、さらにフロント・リアともにショックアブソーバーの減衰力を最適化し、操縦安定性と乗り心地を高次元で両立させている。
2019年2月にデリカD:5はビッグマイナーチェンジ実施。外観デザインは三菱のフロントデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を採用。縦型のマルチヘッドライトなどにより、ひと目でデリカD:5とわかる個性的なデザインへと変更した。
搭載するエンジンは大幅に改良が加えられた2.2L直4ディーゼルターボエンジンで、組み合わされるミッションは新開発の8速ATを採用している。また駆動方式は4WDのみとシンプルな構成となった。この時にデリカD:5は標準車に加えて、アーバンギアというエアロパーツを装着したグレードの2種類を設定した。
そして安全装備は、予防安全技術「eアシスト」を採用。衝突被害軽減 ブレーキシステム[FCM]や車線逸脱警報システム[LDW]、レーダークルーズコントロールシステム[ACC]などの運転支援システムにより、ドライバーのをサポートそして負担を軽減させている。
現在デリカD:5の中古車は約2,280台流通していて、そのうち200万円以下の予算では約960台が圏内となっている。100万円以下の中古車の多くなっているが、200万円以下では2017年式ぐらいまで狙える。
2.2Lディーゼルターボ車も狙えるが、総じて走行距離は10万kmオーバー車が多い。一方の2.4Lガソリン車は走行距離がまだ10万km以下の中古車が多いのでこちらが狙い目。快適装備が充実したパワーパッケージを積極的に狙いたい。
最上級の豪華さを手頃な価格で味わえるエルグランド
エルグランドのフロントスタイル
最後に取り上げるのは、2010年8月に登場した現行型日産エルグランド。現行型エルグランドは、日産の最高級ミニバン用として最適にチューニングを施した低重心の新プラットフォームを採用し、乗用車のような安定感のある乗り心地と大人7人がゆったりと座れる快適性を両立したのが特徴だ。
搭載するエンジンは、最高出力280psを発生する3.5L V型6気筒エンジンと最高出力170psを発生する2.5L 直列4気筒エンジンの2種類。組み合わされるトランスミッションは、エクストロニックCVT-M6を採用。ドライバーのアクセル制御や運転状況、走行環境を検知しながら最適な変速制御を行うアダプティブシフトコントロールを採用し、すぐれた走行性能と燃費性能を両立している。
駆動方式が従来のFRから前輪駆動のFFに変更。さらにフロント/リアサスペンションともに、アルミ製リンクを採用し、バネ下荷重を軽量化。リアには優れた操縦安定性と乗り心地を実現するマルチリンクサスペンションを採用しているのがポイントだ。
快適装備として、助手席シートと2列目シートの3席で同時に使えるトリプルオットマンを採用。シート一体型の大型オットマンとシートクッション全体で身体を支持することで体圧を分散し、長時間ドライブ時の快適性を向上している。
特に7人乗りの2列目シートには、クッション一体型オットマン、シートバック中折れ機能、3層構造パッドを同時採用したコンフォタブルキャプテンシートを採用。人間工学的に優れたこれらの機能により、乗員の血流を妨げず、長時間ドライブ時の快適性が持続。なお、トリプルオットマンと中折れ機能付2列目シートの同時採用となっている。
エルグランドも長いモデルライフで改良が加えられている。2012年11月の一部改良では、「踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)」を採用した。
この機能は、本技術はアラウンドビューモニターの4台のカメラと超音波ソナーを使い、駐車操作などの低速走行時、運転者がブレーキと間違えてアクセルを踏みこんでしまった場合などに、クルマが誤操作を検知して、壁などに衝突する事故のリスクを軽減してくれる。
2014年1月に現行型エルグランドはビッグマイナーチェンジを行い、内外装を変更。外観は250XGを除く全グレードで、ヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパーのデザインを一新。フロントグリルは大型化し、全周をクロームメッキで囲むことで押し出し感と高級感を高めた。
インテリアは、ハイウェイスター プレミアムに、カラードクロームを配した深みのある専用グラデーションブラックメープルフィニッシャーを採用。さらに、手の込んだアンバーアクセントスペシャルステッチを施したダイヤ型キルティングのブラックメタリックレザー(本革)と組み合わせ、特別感と高級感を演出する「グランドブラックインテリア」として新設定している。
最大のポイントはラゲッジスペースで、3列目シートに前方向240mmのスライド機能を追加。これにより3列目シートに人が座っていても後部ラゲッジ長を拡大することを可能とし、使い勝手を向上させている。
2018年2月にエルグランドは一部改良を行い、先進安全装備を全グレードに充実させた。「LDW(車線逸脱警報)」や「インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)」、「進入禁止標識検知」のほか、緊急時のブレーキをアシストする「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」、先行車や対向車のライトや周囲の明るさを検知し、ヘッドライトを自動的に上向きと下向きに切り替える「ハイビームアシスト」を標準装備している。
また、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる衝突の防止を支援する「踏み間違い衝突防止アシスト」については、前方の歩行者に対しても察知し作動するように、機能向上を図っている。
さらに、高速道路などでの長距離ドライブ時にドライバーの運転負荷を低減する「インテリジェントクルーズコントロール」を「250XG」グレード以外に標準装備とした。
2020年10月、現行型エルグランドは2度目のマイナーチェンジを行い、内外装を変更。さらに安全装備も全方向から運転をサポートする360° セーフティアシストを全車標準装備するなど充実させている。
現在、現行型エルグランドの中古車は約1,260台流通していて、そのうち約700台が200万円以内で手が届く。大きく内外装が変わった上、ラゲッジルームの利便性が向上した2014年式以降でも約172台流通しているので、このモデルを積極的に狙いたい。
本命はレギュラーガソリン仕様の2.5L車だが、敬遠されがちな大排気量、ハイオク仕様の3.5L車ならば、快適装備が充実した上級グレードが手に入ることも。極上の移動空間を手に入れたい!というのであれば、3.5L車が狙い目だ。
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