現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 車名の語源は「ロミオとジュリエット」! 名車アルファロメオ「ジュリエッタ」の足跡

ここから本文です

車名の語源は「ロミオとジュリエット」! 名車アルファロメオ「ジュリエッタ」の足跡

掲載 更新 2
車名の語源は「ロミオとジュリエット」! 名車アルファロメオ「ジュリエッタ」の足跡

姉より先に登場したジュリエッタ

 戦前は、GPレースやスポーツカーレースで活躍する傍ら、とびっきり高性能かつ随分と高価なスポーツカーを少量生産していたアルファロメオ。戦後は一転、レースによってノウハウを培ってきた高性能車、というコンセプトはそのままに、ツーリングカーやスポーツカーを量産し、比較的手ごろな価格で供給することになりました。

修理代は2000万円オーバー? 23年所有する「アルファロメオGT1600ジュニア」オーナーの泣き笑いエピソード

 そしてそれを具現化した第1弾は1950年に発表された1900シリーズ。その成功によってさらなる“次の一手”となったのが1954年の秋にデビューしたジュリエッタです。 ジュリエッタは、アルファロメオの“ロメオ“と“ジュリエット“に掛けたネーミングでしたが、妹(ジュリエッタは、妹を意味する接尾語をジュリアに付け加えたもの)の方が姉より先に登場したのは皮肉でした。

 この姉妹は揃って大ヒット商品となり、アルファロメオの、自動車メーカーとしての基盤を揺るぎないものに変えていきました。今回はこの孝行姉妹の妹ジュリエッタのプロトタイプも含めた歴史を振り返ってみることにしました。

ボディタイプは3車形がラインアップされていた

 4ドアセダンのベルリーナ、2ドアクーペのスプリント、そして2ドアオープンシーターのスパイダー。この3車形がラインアップされたジュリエッタですが、トリノ・ショーで最初に登場したのはスプリントでした。

 そして半年後にベルリーナとスパイダーが登場することになるのですが、今回プロトタイプを紹介するのはスパイダーの方です。1台は、2015年にリニューアルした、ミラノにあるアルファロメオ歴史博物館(Museo StoricoAlfa Romeo)で出会っています。 ステージの上に展示されていて撮影が限られてしまい、相違点を巧く引き出せていませんが、ほかのジュリエッタ・スパイダー3台はいずれも市販モデル、それもマイナーチェンジ(MC)後の個体です。 黒い個体は2015年にレトロモビルで出逢った1台で、赤と白の個体はそれぞれイタリアのサン・マルティーニ・イン・リオ自動車博物館、高知県の四国自動車博物館で撮影したものです。 よく見ると三角窓の処理などに違いが視られます。ちなみに、MC前は三角窓そのものが装着されていませんでした。 しかしもっと注目すべきモデルはゴールドとホワイトの2トーンに塗り分けられた個体です。これも2015年のレトロ・モビルで出逢った1台です。ヘッドライトを少し後退させて樹脂のカバーを装着するとともに、ノーズを少しだけ延ばしてスムースなラインにまとめたことで、3台の市販モデルや、アルファロメオ歴史博物館で出逢ったプロトタイプとはまったく違ったイメージを醸し出しています。 じつはこれ、ベルトーネが手掛けたプロトタイプで、デザインを担当したのは当時ベルトーネに在籍していてスプリントのデザインも担当していたフランコ・スカリオーネです。

ボディ形状によってデザイナーが異なっていた

 ややこしい話になるので一度まとめておくと、ジュリエッタの3車形のうち、最初に登場した2ドアクーペのスプリントはベルトーネのスカリオーネがデザインしています。 半年後に登場した4ドアセダンのベルリーナはアルファロメオの社内デザイン、またベルリーナと同時にデビューしたオープンシーターのスパイダーはピニンファリーナの工房で仕上げられていました。 ピニンファリーナで仕上げたスパイダーは、スプリントやベルリーナと同様に、センター部分に盾型のグリルを置き、その左右の低い位置にサイドグリルを配していて、ジュリエッタのファミリーフェースであることが一目瞭然です。 それとは反対に、スプリントと同じベルトーネ(のスカリオーネ)がデザインしたスパイダーの方は、スプリントやベルリーナとはまるで別モノのフロントビューを見せていることに驚かされます。空力に凝ったデザイン手法を得意としていたスカリオーネならではのデザインと言ってよいでしょう。

 ただし、このスカリオーネ版のスパイダーは、生産車(市販車)としてはコストが掛かり過ぎると判断されたことなどから、結局お蔵入りになってしまったようです。展示パネルでは詳しい出自は語られていませんでしたが、レトロ・モビルに展示されていたのは2台製作されたうちの1台だったようです。

ザガートモデルも存在したジュリエッタ

 いずれにしても、スプリントやベルリーナの流れを汲んだデザインでスパイダーを仕上げたピニンファリーナのデザイナースキルに驚かされるとともに、自らデザインしたスプリントとはまた違ったテイストを持ったフェイスでスパイダーを仕上げたスカリオーネの才能にも感服です。流石高名なデザイナーです。

 ところで、ジュリエッタは、ここで紹介した第一世代以外にも、1977年に登場した第二世代、2009年に登場した第三世代と、通常のモデルチェンジではなく一度消えては蘇ることを繰り返してきました。多くの根強いファンがいればこそ。 また今回紹介した第1世代のジュリエッタにはスプリント以外にも、魅力的なクーペがいくつか存在しています。レースで大破したスプリント・ベローチェ(SV)にザガート製の空力的に優れ、また軽量化も追求したアルミボディを架装したスプリント・ベローチェ・ザガート(SVZ)などはその好例でしょう。 SVZには幾つかのバリエーションが生まれることになりましたが、この魅力的なボディと、ハイパフォーマンスさを併せ持った、ジュリアの一層魅力的なクーペについては、第二、第三世代のジュリエッタも含めて、また別の機会に紹介することにしておきましょう。

こんな記事も読まれています

「君はその一瞬一瞬すべてにふさわしい」レッドブル代表がフェルスタッペンの戴冠を称賛。懸命に作業に取り組んだクルーにも感謝
「君はその一瞬一瞬すべてにふさわしい」レッドブル代表がフェルスタッペンの戴冠を称賛。懸命に作業に取り組んだクルーにも感謝
AUTOSPORT web
[ダイハツ]に期待しかないよ!? 今後作ったらアツい[クルマ]を語ってみた
[ダイハツ]に期待しかないよ!? 今後作ったらアツい[クルマ]を語ってみた
ベストカーWeb
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
フェルスタッペン、王座確定のため、マネジメントモードで5位フィニッシュ「自分のレースを心掛けた。最高の気分」
AUTOSPORT web
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
HRC/ホンダ渡辺社長がフェルスタッペンを祝福「4連覇をサポートし続けられたことは誇り。さらなる高みを目指し支援する」
AUTOSPORT web
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP

みんなのコメント

2件
  • アルファロメオって、各車にまつわるエピソードがいちいちカッコいい。
  • 750スパイダーは生涯の内で手に入れたい車。本当に美しい。

    フランコ・スカリオーネの最高傑作はTIPO33/2ストラダーレ。

    V8 2000CC MR、生産台数18台のみで、実車は見たことあるが手に入れるのは絶対無理。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

399.0439.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.01180.0万円

中古車を検索
ジュリエッタの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

399.0439.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.01180.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村