フェラーリの耐久レースカー部門責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、9月1日にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたWEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』で優勝したにもかかわらず、イタリアのブランドはトヨタとのパフォーマンスの差を縮めるために「まだやるべきことがたくさんある」と語った。
■「予選のトヨタのパフォーマンスは理解できない」
小林可夢偉へのペナルティは「奇妙」とコンウェイ。「直線でアクセルを戻すだなんて……」/WEC第6戦
アメリカ・テキサス州でのイベントでは、ロバート・シュワルツマン/イーフェイ・イェ/ロバート・クビサから成るサテライトチームの83号車が、ル・マン以外のWECラウンドでのフェラーリ499P初の優勝を果たした。
しかしこの勝利は、6時間レースの残り45分で7号車トヨタGR010ハイブリッドがイエローフラッグ違反でドライブスルーペナルティを受けた後に達成されたものだった。小林可夢偉は余裕のリードを手にしていたが、このペナルティ消化によりシュワルツマンに続く2番手へと後退した。
「ライバルとの差を縮めるために、まだやるべきことがたくさんある」とカニッツォは記者団に語った。
「我々の最高のライバルたちには、まだ大きな差がある。インテルラゴスでも、そして今日も、その差を縮めるためにもっと頑張らなければいけない」
「彼らはドライブスルーから素早く、イージーに回復した。タイムを失うことなく、全車を追い抜くこともできた。これは(次戦の)富士に向け、我々が修正しなければならない点だ」
トヨタは予選でのパフォーマンスは低調だったが、決勝では最速の車両として急浮上。7号車GR010ハイブリッドはグリッド9番手、姉妹車の8号車は12番手から順位を上げていった。
とりわけ7号車はレースが進むにつれてパフォーマンスを上げたように見え、可夢偉は最後のダブルスティントでレース最速ラップを記録し、レース全体でミシュランのミディアム・コンパウンドをうまく使っていた。
「予選でのトヨタのパフォーマンスは理解できないものだった」とカニッツォは付け加える。
「彼らはかなり慎重だったように見える。だがレースのスタート以来、トヨタはとても素晴らしかった」
「彼らは簡単に追い抜いていった。これは、我々がシミュレーションに基づき予想していたことだった。彼らはコース上で最も速いクルマだった。彼らはリスクを冒すことなく、パフォーマンスを適切に管理して、先頭に立つことができた」
「今日、我々はこの(トヨタの)ドライブスルーにより幸運を得たが、そうでなければ彼らが先頭に立っていた」
フェラーリはCOTAの序盤にワン・ツー・スリー体制を築いたが、ポールポジションを獲得した51号車はレース開始から2時間も経たないうちに競争から脱落。そしてミゲル・モリーナ/アントニオ・フォコ/ニクラス・ニールセンの50号車は、他の2台の499Pほどのペースがなかったようだ。
ル・マンを制し、2戦を残してランキング3位に立っている50号車のトリオは、最終的には3位表彰台に立ったものの優勝した83号車からは26秒遅れだった。
カニッツォは50号車のオースティンでの苦戦について尋ねられたとき、すぐには答えることができなかった。
「アベレージ・ペースではそこそこだったが、50号車は他の車両ほど素晴らしくなかったので、見直さなければならない点があったのは事実だ」と彼は認めた。
「レース後半のペースを見ると差はなかったので、ギャップを保つことができた。しかし、間違いなくライバルの方が速かった」
トヨタがペースでフェラーリより優位だったことを認めつつも、カニッツォは、レース序盤にレクサスのLMGT3車両との接触し、後にドライブラインの末端に問題が生じたで51号車を失ったことで、イタリアのブランドがトヨタ7号車の状況を「より困難に」する機会を失ったことを強調した。
「83号車では、すべてが完璧だった」と彼は語った。
「戦略を変えて、それが功を奏した。しかし、愚かな接触で1台を失ったという事実が、苦い思いをさせている」
「最後まで3台が走っていれば、おそらく結果をもう少し最大化できただろう。何とも言えないが、結果は違っていたかもしれない」
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みんなのコメント
裏を返せばル・マン以外でも速さを出してきたら超絶脅威なんだけれども。