2009年6月、レンジローバーへの新しい5L V8ユニット搭載が発表された。自然吸気とスーパーチャージャーの2本立てという構成はそのままに、スポーツとヴォーグの両方にそれぞれ2種のユニットが採用された。ここでは2009年11月の導入早々に行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年1月号より)
完全新設計となる直噴5L V8エンジンを搭載
BMW、フォード、タタと親会社が変わっても、レンジローバーの本質は変わらない。世に数多く存在するオフロード4WDとは一線を画す価値観を持ち、悪路走破性に関して一家言持つブランド、そのあり方は簡単には変わらないし、ユーザーにとってもおいそれと変わってもらっては困る貴重なメーカーでもある。
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とはいっても、エコや環境問題が叫ばれる自動車業界にあって、大きくて重いSUVが厳しい状況に置かれているのも事実。レンジローバーにとって生きにくい時代ではあるが、そういった状況をただ黙って見ているわけにはいかない。これまでも改善が重ねられてきたが、今回の変更は時代に求められてということだろう。
最大の注目点は完全新設計となる直噴5L V8エンジンの搭載。このエンジンはランドローバーとジャガーの共同開発によるもので、ジャガーが先に搭載した新世代AJ-V8と基本的に同じ。これまでNAが4.4L、スーパーチャージドは4.2Lだったが、今回は両仕様とも5Lとなるのも同じだ。ただし、オフロードなど悪路走行をふまえて、苛酷な状況下でもエンジンが機能するよう、潤滑系や防水性などを中心にレンジローバー独自のチューニングが加えられている。
このエンジン変更の目的は、動力性能を向上させながら燃焼効率を上げてCO2排出量を抑えること。150バールのスプレーガイデッド式ガソリン直噴システム、可変カムシャフトタイミング、可変バルブリフトなどにより、理想的な燃焼を追求している。緻密に燃料噴射量とそのタイミングを制御する直噴システムは、NAで11.5、スーパーチャージドで9.5という高い圧縮比も実現している。
この結果、NAで375ps/510Nm、スーパーチャージドで510ps/625Nmを実現しながら、10・15モード燃費は6.0km/L、5.5km/Lを達成(ともにスポーツの燃費データ)。燃費性能を7%ほど改善しながら、動力性能を大に向上させたことになる。ZF製6速ATにも改良が加えられ、ロックアップ領域は広がっているので、その効果もあるのだろう。ちなみに、スポーツとヴォーグそれぞれに2種のエンジンが設定される。
たおやかで滑らかな動きは有り余るパワーがあってこそ
今回の試乗では、スポーツの5.0 V8とヴォーグの5.0 V8スーパーチャージドに乗ることができた。
まず、スポーツのNAモデルに乗る。よりオンロードでのスポーツ性能を高めたというこのモデル、たしかにレンジローバーらしい走り味を残しつつ、足が硬めに締め上げられ、ステアリングもダイレクトな印象だ。5.0L NAも十分にパワフルかつ静粛で、「若々しいレンジローバー」という個性がより明確になったように思う。
一方、ヴォーグのスーパーチャージドモデルに乗ると、やはりこれこそレンジローバーだと思わされる。インテリアに漂う雰囲気、走りはじめの身のこなしから、スポーツとはひと味もふた味も違う。スポーツと比べると動きが緩いと感じるが、走り込むとそのたおやかさが悪路では必要なのだと実感する。しなやかで滑らか、優しくて柔らかい、そのマナーはやはりレンジローバー以外のなにものでもない。
V8スーパーチャージドはまさに余裕たっぷり。2630kgという重量を感じさせないし、息切れというものはないかのようで、とてもアクセルを全開まで踏み込むことはできなかった。
そして、悪路を走破するという目的は同じでも、ジープやゲレンデヴァーゲン、ランドクルーザーとは生い立ちが違うことを今さらながら感じさせられた。牧草地や原野が続く広大な領地を走るためにイギリスの貴族層が必要としたのがレンジローバーであり、このモデルには機能性や機動力だけではなく、優雅さや快適性、絶対的な安心感のようなものがある。
今回の変更はエンジンだけではなく、走りのメカニズム、内外装にも手が加えられている。
テレインレスポンス、ヒルディセントコントロール、グラディエント・リリースコントロール、ハイドロリック・リアブレーキブーストなどの電子デバイスの強化をはじめ、スーパーチャージドモデルにはダンパー設定を連続的に行うアダプティブ・ダイナミクスシステムやブレンボ製6ポッドキャリパーを採用。スポーツのスーパーチャージドはさらにテレインレスポンスにダイナミックモードを追加、パドルシフトも装備されている。
このほかサラウンドカメラシステムの新採用や、ヴォーグにはデュアルビュー・ディスプレイやバーチャルインストルメントパネルも備える。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:小平 寛)
レンジローバー スポーツ5.0 V8 主要諸元
●全長×全幅×全高:4795×1930×1810mm
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:2490kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4999cc
●最高出力:276kW(375ps)/6500rpm
●最大トルク:510Nm/3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●10・15モード燃費:6.0km/L
●タイヤサイズ:255/50R19
●車両価格:754万円(2009年当時)
レンジローバー ヴォーグ5.0 V8 SUPERCHARDGED 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1955×1880mm
●ホイールベース:2880mm
●車両重量:2630kg
●エンジン:V8DOHCスーパーチャージャー
●排気量:4999cc
●最高出力:375kW(510ps)/6000-6500rpm
●最大トルク:625Nm/2500-5500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●10・15モード燃費:5.5km/L
●タイヤサイズ:255/50R20
●車両価格:1554万円(2009年当時)
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