先回7月との試乗状況の差
トヨタGR86とスバルBRZを乗り比べてみた。
<span>【画像】トヨタGR86/スバルBRZ どう違う?【ディテール比較】 全109枚</span>
場所は、神奈川県箱根周辺の一般道路である。
筆者にとって、2モデルの乗り比べは今回が初めてではない。
2021年7月、袖ケ浦フォレストレースウェイ(千葉県袖ケ浦市)でじっくり乗っている。
その際、房総半島に大きな雨雲が押し寄せており、袖ケ浦はゲリラ豪雨に見舞われた。
試乗の時間もちょうど雨が強まった時で、第1コーナーや各種ヘアピンの内側には大きな水たまりができている状態。
そこに思い切って突っ込みながらの走行となった。
また、最終コーナー手前には、起伏のある上部から斜め下部にかけて雨水が川のように流れており、80km/h程度で通過するとクルマ全体が進行方向左側に車幅1つ以上も横っ飛びするような路面状況だった。
新型コロナ感染症予防の観点から、プレゼンテーションは事前に動画で視聴した上で、袖ケ浦フォレストレースウェイのピットエリアには各種の技術展示をみることができた。
また試乗後にはトヨタGRの製品企画、またスバルの商品企画の統括者らと共に感染対策を十分した状態で意見交換することもできた。
その袖ケ浦でのGR86とBRZの比較試乗で、筆者にとって最も印象に残ったのは
「GR86は動きの先読みがしやすい」という点だった。
その点について、トヨタGRの関係者は……。
技術的な差は理解すれど……
トヨタGR86の動きの先読みのしやすさ「フロントの差が大きいのではないか?」(トヨタGR・車体/サスペンション開発関係者)という見解を示した。
フロントのハウジングの素材が、GR86は鋳鉄製であるのに対して、BRZはアルミである。
この重量差と路面からのステアリングを通じてドライバーに伝わる路面状態に関する情報の入力の差が、筆者が感じた土砂降りで水たまりの中をガンガン走るサーキット走行でも「先読みがしやすい」と感じた要素の1つだった、といえるだろう。
そのほかにも、GR86とBRZの技術面での差は、リアのスタビライザーの取付方法や、サスペンションのバネレートやショックアブソーバー、さらにエンジンを制御するECUのマッピングなど様々ある。
ウエット状態のサーキット走行では、そうした差をはっきりと実感することが難しかった。
また、袖ケ浦フォレストレースウェイ走行中に路面がドライの状態も若干あったのだが、オンとオフがあるていどはっきりしたアクセルワークや、ステアリングを切る速度が一般道路に比べると早いなど、一般道路とサーキットでは、クルマに求められる出口戦略が違うため、GR86とBRZとの差を、開発チームたちが想定していたほど、メディア側に伝わらなかったのではないだろうか。
だからこそ、今回の一般道路での試乗の意義が大きい。
GR86/BRZ こんなに違うのか?
まず、スバルBRZの6MTに乗った。
すでに各方面で記事化されているように、乗りやすく、普段使いに良いと感じる。
ひとことで言うと、疲れない。
正確には、2ドアスポーツカーとしては、疲れにくい。
別の言い方をすると、雑味(ざつみ)がない。
時計の針を少し戻すと、2012年2月の初代BRZ発表前に、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)でインフィールドでおこなわれた一部報道陣向け試乗会での第一印象は、「まるで四輪駆動車のように物凄く走行安定性が高いFR」という高評価。
反面「フロア振動など様々な部分での雑味がもう少しなくなるとクルマの質感が上がるはずだ」というものだった。
それから初代は段階的に改良を重ねていったが、雑味という観点では、新型は初代後期と比べて明らかに大きく解消している。
プラットフォームとして見れば、他のスバル車のようにグローバルプラットフォームへの刷新ではなく、初代を改善しているのだが、走りの質感は一気に上がっている。
こうして一般道路で走らせると、それを強く感じる。
試乗を終えたメディア関係者からは「軽いと表現される方が多い」(スバル車体開発担当者)という。
アクセルワーク、ブレーキング、ステアリングの切り出しなど、スッキリ感が強く、それが「軽さ」という表現につながるのだと思う。
一方、GR86は……。
トヨタGR86、GRらしくあれ
トヨタGR86は「攻めたクルマに仕上がっている」という印象を強く持った。
一般道路での2速から3速で走行する速度域では、BRZに比べて明らかにサスは硬く感じる。
また、アクセルレスポンスがかなりクイックなECUマッピングになっていることを痛感した。
BRZで2速のところを3速、また3速のところを4速で走りたくなった。
また、ハンドリングでは、BRZでは少ない舵角でスゥーとコーナーの内側に入っていくのに対して、GR86はしっかり操舵して、さらにアクセルを踏み込んでクルマ全体をしっかり旋回させたくなるセッティングであることがわかった。
ワンメイクレースやラリーなど、モータースポーツのベース車としては当然の仕上げ方なのだと思う。
試乗後、意見交換したトヨタ関係者は「スポーティカーではなく、スポーツカーを作った」と言い切る。トヨタとしてのGRらしさを表現したかたちが、この走り味なのだ。
この後、GR86のATにも試乗したが、ECUマッピングはBRZと共通で、またMTより若干の重量増が奏功して、上質スポーツカーを日常的に気軽に味わえる出来栄えだと感じた。
GR86とBRZは、かなり性格の違う兄弟である。
その違いを、ユーザーは販売店での短時間の試乗のなかでも十分感じ取れると思う。
是非、2車の比較試乗をお勧めする。
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みんなのコメント
しかし、価格がお高い!
現実的に言って、若者には厳しい。
頑張って、または無理して購入しても、また維持費も掛かる。
スズキのスイフトのような価格で、軽量、少排気量のFRクーペを世に出すチャレンジングなメーカーは現れないものか。
速くなくたっていいんだ。
お求めやすくて、維持費も掛からず、軽くて、楽しければ。
かつてのような、AE86のような若者エントリーモデルの復活を!
必ずニーズはある!
収益は見込めなくとも、将来の車好きを増やすことも必要では?