標高4302mの山道を登る世界一過酷なレース
アメリカで有名な公道レース、毎年6月に開催される第98回「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」の2020年大会暫定エントリーリストが、現地時間1月16日に発表された。
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パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、アメリカ・コロラド州にあるパイクスピークという山の峠道を、誰が一番速く登りきるかタイムを競う単純明快なヒルクライム・レース。スタート地点の標高は2862mだが、山頂付近にあるゴール地点の標高は4302mと高い。そのため、走って(登って)いくにつれ酸素が薄くなり、ゴール付近での内燃機関のエンジン出力は約30%低下するといわれている。
全長20km、コーナー数156のコースは、以前は未舗装のダート部分も多く存在していたが、2012年には道路全域が舗装されている。このヒルクライムの初開催は1916年で、同じアメリカで開催されているインディ500(インディアナポリス500マイルレース)に続く、世界で2番目に歴史のあるレースである。
競技はコースを1台ずつタイムアタックする。コースとなるのは、普段は観光有料道路として使用されている道路を使用し、レースの時だけ一般車は完全閉鎖される。決勝前の1週間がレースウィークとして練習走行ができるものの、練習走行及び予選走行はこのコースを3分割して行われているため、スタートからゴールまでを通して走行することができるのは、決勝日に走る1回のみとなる。
参戦車両もさまざまで、2輪/4輪ともに参戦ができたが、近年2輪選手の死亡事故が相次いだことから、昨年大会後の2019年7月に、2020年大会の2輪部門の一旦休止が発表されている。また、今回はコース全面舗装後初の4輪のみの大会となる。
そして、例年通り、1月を迎え、エントリーが締め切られた後の最初の暫定エントリーリストが公開された。この時点ではエントリーは済ませているものの、ドライバー名や車両名が決定していないチームも数多い。現時点でのエントリー数は62台と、昨年の最初の暫定リストが102台(四輪74台、二輪28台)だったことを考えると大幅なエントリー数減となっている。
昨年参戦した日本人3選手が今回もエントリー
気になる日本人選手のエントリーだが、昨年参戦をしている3選手が今年もエントリーリストに名を連ねた。
まずは、昨年パイクスに初参戦した吉原大二郎選手(#86 2013年式トヨタ・86)。ルーキーイヤーとなった前回大会では、練習走行から好調で、予選セッションでは全体で7番目のタイムを出したものの、アッパーセクション手前でマシントラブルに見舞われ、リタイアとなっている。
そのリベンジともいえる今回は、マシンをGRスープラ(#90 2020年式トヨタスープラ/タイムアタック1クラス)に乗り換えて参戦する。
次は、今回で3回目の参戦となる小林昭雄選手。過去2回ともに天候悪化によるコース短縮の憂き目に遭っており、これまでのところ、決勝で全コースを走れずボトムセクションのみの走行。今回こそは全行程をアタックしたいところだ。
ちなみに使用車両は、これまでと変わらずポルシェ911GT3 996(#249 2000年式ポルシェ911GT3)となるが、参戦クラスは、タイムアタック1クラスからオープンクラスへ変更している。
東洋人初のFIAモンテカルロラリー優勝(2006年)の経験もある、トップラリードライバーの奴田原文雄選手も参戦。パイクスピークでは、2012年に「#230 トヨタ・モータースポーツTMG EVP002」を駆り、EV(電気自動車)クラス優勝(総合6位/10分15秒380)も経験している有力株だ。
2018年からは日産リーフで参戦を開始しているが、小林選手同様、2年連続で短縮コースでの出走となってしまっている。今回も電気自動車での参戦となるが、GLMのトミーカイラZZ(#230 2020年式 GLM Tommy Kaira ZZ)での参戦となるようだ。参戦クラスは、最強マシンがそろうアンリミテッド・ディビィジョンとなる。
ここ数年恒例ともいえる天候の悪化でコース短縮がなされているが、今年は2輪部門が無いので、午後の天候が崩れる前には全車がレースを終えることができることを期待したい。現時点では、エントリー内容がすべて公表されていないエントラントが11台ある。パイクスではおなじみのリース・ミレン選手の名前もないが、今後エントリーリストが更新されていけば、おなじみの面々が出そろうかもしれない。
6月22日(月)には車検が行われ、翌23日(火)から各日3時間ずつの4日間の練習走行セッションが行われ、休息日を挟んで、6月30日(日)に98回目となるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの決勝が行われる。
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