現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 小ささがウリだけど小さすぎると売れない!? 名車の称号は得ても販売で苦戦した「2ドアハッチ軽自動車」3台

ここから本文です

小ささがウリだけど小さすぎると売れない!? 名車の称号は得ても販売で苦戦した「2ドアハッチ軽自動車」3台

掲載 20
小ささがウリだけど小さすぎると売れない!? 名車の称号は得ても販売で苦戦した「2ドアハッチ軽自動車」3台

 この記事をまとめると

■2000年代初頭にはあえて規格サイズよりも小さいサイズとした軽自動車が販売されていた

いまの「軽自動車」より小さいだと!? 現物を見るとびっくりする「小さすぎる」普通車4台

■スバルR1やスマートK、スズキ・ツインは小さいことで個性を演出していた

■残念ながら市場ニーズも小さく商業的に成功したとはいえなかった

 軽規格サイズよりもはるかに小さい軽自動車があった

 ご存じのように、軽自動車という規格はエンジン排気量とボディサイズの制限によって定まっている。その誕生から何度か見直されているが、現在の規格となったのは1998年秋のことで、具体的にはエンジン排気量は660cc以下、ボディサイズは全長3.4m・全幅1.48m・全高2.0m以下となっている。

 軽自動車の売れ筋がホンダN-BOXやスズキ・スペーシアのようなスーパーハイトワゴンとなっているのは、規格によって限定された寸法を最大級に利用したパッケージが評価されているという部分は大きい。取りまわしのいい小さなボディと快適に過ごせる広いキャビンを両立していることが軽スーパーハイトワゴン人気につながっている。

 そうしたスーパーハイトワゴンが軽自動車のメインストリームとなる以前、2000年代前半には、当時の主流であるスズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴなどのハイトワゴンへのアンチテーゼとして、「あえて規格サイズよりも小さくする」ことで特別感を出し、差別化しようという商品企画が立ち上がったことがある。

 現在でも軽自動車はパーソナルユースが多いが、ひとり乗りモビリティに徹底的にこだわり、プレミアムという付加価値で勝負しようとしたのが、2005年に誕生したSUBARU R1だ。ボディサイズは全長3285mm×全幅1475mm×全高1510mm。上質なインテリアには後席も用意され、4人乗りとはなっていたが、実質的には2シーターという空間だった。

 パワートレインは可変バルブタイミング機構付き4気筒DOHC「EN07」型エンジンにスバルが先鞭をつけたCVTを組み合わせたもの。当時にして155/60R15サイズのタイヤにアルミホイール標準装備というのは非常に贅沢。デビュー当時はモノグレードでFFに加えてAWDが用意されていたのはスバルらしい。

 デビュー当初は最高出力40馬力の自然吸気エンジンだけの設定だったが、すぐさま64馬力を発するスーパーチャージャーエンジンも設定、プレミアムなアンダー規格サイズ軽乗用車としての個性をいっそう輝かせたことも印象深い。

 残念ながら市場ニーズがあまりにもなかった

 そんなSUBARU R1のライバルとして挙げられることが多かったのは、非常に珍しい輸入車の軽自動車「スマートK」だ。

 忘れられてしまったかもしれないが、そもそもスマートというブランドとはダイムラーとスウォッチがコラボレーションして生まれたもの。それまでの自動車とはまったく異なるブランド戦略と、手軽で手ごろなシティコミューターという商品戦略が特徴だ。もっともスウォッチは量産化の前に手を引いてしまったため、結果的にはダイムラー(メルセデス)のサブブランドとなっていまに至る。

 そんなスマートが1990年代後半に生み出した最初のモデルが「MCCスマート」だ。全長2.5m、0.6リッターターボエンジンという組み合わせは、「日本では軽自動車として売れるのでは?」という声もあったが、全幅が軽自動車規格を数センチ超えているため日本でナンバーをつけようと思うと小型車登録となってしまう。

 もちろん、その状態での正規輸入もあったが、日本法人の尽力もあって、2001年には軽自動車サイズに収まる「スマートK」が誕生する。エンジニアリング的には、リヤタイヤやフェンダーを狭めることで全幅を1470mmに収め、軽自動車として成立させている。

 6速AMT(MTベースのAT)は若干のクセこそあったが、当時の軽自動車で6速というのは希少。さらにリヤエンジン・リヤドライブという駆動方式もあいまって、非常にプレミアムな軽自動車として市場に認知されていったと記憶している。なお、スマートKのボディサイズは全長2560mm×全幅1470mm×全高1550mm。0.6リッターターボの最高出力は55馬力だった。

 上記2台と異なり、完全にベーシックニーズを狙ったアンダー規格サイズの軽乗用車がスズキ・ツインだ。2003年に生まれたツインは、全長2735mm×全幅1475mm×全高1450mmという非常にコンパクトなボディを持つシティコミューターとして生まれた。ボディを小さくしたのは小まわり性能を狙ったもので、最小回転半径は3.6mとキャブオーバーの軽トラ並み。これをFF車が実現しているのだから驚異的だった。

 パワートレインは、当時の最新エンジンである3気筒DOHC「K6A」型で、5速MTや3速ATと組み合わせられた。さらにエンジンと4速ATの間に薄型モーターを挟むマイルドハイブリッド仕様も生み出されていたのはトピックスのひとつ。純エンジン仕様はベーシックユース、ハイブリッドはプレミアムという住み分けだった。

 最廉価グレードでは税抜き49万円という超安価なモデルとして誕生したツインであっても「アンダー軽サイズのプレミアム路線」を狙っていたのだ。

 この時代には「あえて規格より小さくすることで贅沢さを演出」するという商品戦略が、複数の企業において同時進行していたといえる。

 これは偶然ではないだろう。自動車の開発にかかる予算を考えれば、まったく勝算のない商品企画が通ることはあり得ない。つまり、1990年代後半からの市場調査において、贅沢な軽自動車を求めている層が存在しているという結果が出ていたのだろう。

 現在の表現を使えば「ダウンサイザー(子育て期が終了したことで大きなクルマからコンパクトモデルに乗り換える人など)」向けの商品企画としてアンダー規格サイズのプレミアムモデルが考えられたといえる。

 では、なぜSUBARU R1、スマートK、ツインといったアンダー規格サイズの軽乗用車は商業的に成功しなかったのだろうか。これについて明確な回答をするのは難しい。市場ニーズがなかったわけだが、規格より小さな軽自動車が売れる未来がないともいえない。

 もっとも、200万円を超える軽スーパーハイトワゴンのカスタム系が好調に売れている現実をみると、比較的予算に余裕のあるダウンサイザー向けの商品企画の正解はそちらだったというのが、現時点での結論といえそうだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【新車価格情報】輸入車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年7月20日時点
【新車価格情報】輸入車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年7月20日時点
カー・アンド・ドライバー
レクサスIS 後継は『HZ』!? 1020hpのトリプルモーターBEVセダン登場へ!
レクサスIS 後継は『HZ』!? 1020hpのトリプルモーターBEVセダン登場へ!
レスポンス
「グランツーリスモ7」大幅アップデートでクルマがよりリアルで躍動感ある動きに! ミシュランタイヤも忠実に再現!
「グランツーリスモ7」大幅アップデートでクルマがよりリアルで躍動感ある動きに! ミシュランタイヤも忠実に再現!
くるまのニュース
スズキが新型「スペーシアギア」初公開! 丸目ライト×縦グリルの“ジムニー顔”で登場! アウトドア仕様の内装がスゴい!
スズキが新型「スペーシアギア」初公開! 丸目ライト×縦グリルの“ジムニー顔”で登場! アウトドア仕様の内装がスゴい!
くるまのニュース
コンチネンタル、ソフト定義自動車や自動運転の最新技術発表へ…IAAトランスポーテーション2024
コンチネンタル、ソフト定義自動車や自動運転の最新技術発表へ…IAAトランスポーテーション2024
レスポンス
BMWジャパン、EVステーションワゴン「i5ツーリング」を披露 小澤征悦さんがオリジナル曲を演奏
BMWジャパン、EVステーションワゴン「i5ツーリング」を披露 小澤征悦さんがオリジナル曲を演奏
日刊自動車新聞
911の進化はとどまるところを知らない!パフォーマンスハイブリッドを搭載した「ポルシェ 911 GTS」の走りは?
911の進化はとどまるところを知らない!パフォーマンスハイブリッドを搭載した「ポルシェ 911 GTS」の走りは?
AutoBild Japan
名古屋~高崎が最短ルートに!? 長野の“山岳地帯”つらぬく新高速道路「上田諏訪連絡道路」のすごさとは 「地味に遠回り」解消図る超短絡路
名古屋~高崎が最短ルートに!? 長野の“山岳地帯”つらぬく新高速道路「上田諏訪連絡道路」のすごさとは 「地味に遠回り」解消図る超短絡路
くるまのニュース
小学生からEV技術者育成へ、日産が英国に世界的な訓練施設を建設
小学生からEV技術者育成へ、日産が英国に世界的な訓練施設を建設
レスポンス
「飛葉ちゃんのCB750FOUR」が青島文化教材社から1/12スケールのプラモデルで2024年11月発売予定!
「飛葉ちゃんのCB750FOUR」が青島文化教材社から1/12スケールのプラモデルで2024年11月発売予定!
モーサイ
昔じゃ考えられない「長期の夏季休暇」を設定する新車ディーラー! 最大10連休なんて店もあるが裏で苦悩するディーラマンもいる
昔じゃ考えられない「長期の夏季休暇」を設定する新車ディーラー! 最大10連休なんて店もあるが裏で苦悩するディーラマンもいる
WEB CARTOP
トヨタが「新たなクラウン」を初公開! 話題の「エステート」はどうなる? SUVやセダン以外のモデル登場は? クラウン群の行方とは
トヨタが「新たなクラウン」を初公開! 話題の「エステート」はどうなる? SUVやセダン以外のモデル登場は? クラウン群の行方とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」マフラーから白煙の原因を排気ポートから診断!
カワサキ「Z2」マフラーから白煙の原因を排気ポートから診断!
バイクのニュース
サーブ 9-3Xは派手さはないが、よくできたクロスオーバーSUVだった【10年ひと昔の新車】
サーブ 9-3Xは派手さはないが、よくできたクロスオーバーSUVだった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
6月販売ランキング、NーBOX首位返り咲き!ダイハツ・タント3位に浮上!(24年6月の全乗用車 国内販売登録ランキングTOP20とブランド別販売台数 )
6月販売ランキング、NーBOX首位返り咲き!ダイハツ・タント3位に浮上!(24年6月の全乗用車 国内販売登録ランキングTOP20とブランド別販売台数 )
カー・アンド・ドライバー
スバルから新「凄い4ドアセダン」登場! 300馬力超えの水平対向ターボエンジン搭載!? 謎の「X FUTURE」が九州を走る!?
スバルから新「凄い4ドアセダン」登場! 300馬力超えの水平対向ターボエンジン搭載!? 謎の「X FUTURE」が九州を走る!?
くるまのニュース
巨大リアウイングがそびえ立つ! 670馬力の史上最強・最速のWRX 米国スバル「WRXプロジェクト・ミッドナイト」登場
巨大リアウイングがそびえ立つ! 670馬力の史上最強・最速のWRX 米国スバル「WRXプロジェクト・ミッドナイト」登場
VAGUE
夜間も車が停めやすい! 埋め込み型ソーラーライトが便利 
夜間も車が停めやすい! 埋め込み型ソーラーライトが便利 
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

20件
  • ********
    ライターさん、ツインは実はハッチバックじゃないんだよ。
  • cha********
    現在もスマートに乗ってます。20年以上経ちますが、リッター18km走ります。
    NーBOXも乗ってますがリッター14km…
    メルセデスが作る小排気量も悪くなかったのかな。
    私はスウォチが作ったこの車が大好きです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村