■「熱源」の有無がこんなにもエアコンの効きを左右するとは!
EV(電気自動車)に10年乗っている私(国沢光宏)ながら、直近の猛暑で初めて認識したことがあります。
電気自動車、凄い暑い日でも超快適なのです。
こうすれば車内はキンキンに冷える!?「炎天下+渋滞」で暑い車内を冷ます方法とは
電気自動車は、たとえ外気温40度でもカーエアコンはバリバリに効くし、1年で最も直射日光強いこの時期ながら、太陽の熱射だって気になりません。それでいて電費の悪化は十分に容認出来るレベルです。
なぜ電気自動車が酷暑に強いか分析してみたら、完全に納得できました。
まずカーエアコン。驚いたことに外気温40度になっても、ルーバーから出てくる冷気はキンキンに冷たいです。
乗った直後こそ「あっちっち!」と感じるけれど、あっという間に冷たい風が出てきて快適になります。
加えて、全ての窓ガラスに断熱を採用している上、車体の断熱性も高いらしく、直射日光による遠赤外線を感じません。酷暑の中をクルマで走っていて感じるまったく無しです。
まずカーエアコンのシステムを簡単に紹介しておきましょう。
送風口から冷気を噴き出させる「冷源」は、液体のフロンガスを気体にするときの潜熱から作られます。汗が乾くときに身体を冷やすのと同じ理屈です。
気体になったフロンガスはラジエターと同じような構造になっている「コンデンサー」で冷やすと、再び液体になります。エアコンの冷媒に使われるフロンガス、60度まで冷えたら液体に戻るのです。
したがって理論上、外気温60度までなら冷たい風を作り出せます。
しかし、外気温40度以上になると、エンジンルームの中はラジエターから出る熱気も混ざり(コンデンサーはラジエターと並んでいる)限りなく60度に近づいてしまいます。
こうなると冷気を生み出す効率が悪化。とくに渋滞などのノロノロ走行や、信号待ちなどエンジンルームに風の入りにくい状況ではかなり厳しくなります。
したがって外気温40度を超えると、皆さんが感じる通り「走っていればエアコン効くけれど、渋滞では冷えにくくなる」ということになります。
ただし、電気自動車は全く状況が違います。
エアコンのコンデンサーの付近には、湯たんぽのような熱源無し。外気温40度ならフロンガスはコンデンサーを通ることで、余裕を持って気体から液体に変われます。
しかも液体になった時の温度も、60度を大きく下回るのです。全体の効率からすれば、外気温が10度以上低い時と同じレベル。
そんなことから、外気温40度になってもエアコンの効きは「全く変わらない」と言って良いほどです。
私は、酷暑日続出となった6月30日に愛車の電気自動車、日産「リーフ」で東京都の23区内を走行してみました。
オートエアコンは25度設定です。
道路上は輻射熱があるせいか、16時31分時点で車載の外気温表示も39度に。そんな状況下でも電費6km/kWhと、通常から10%も落ちていません。
もう少し細かく書くと、走行72kmで消費した電力12kWh。私の家は電力が余っている夜間に充電すると12.73円/kWhのため、走行コストは153円となります。
この気温でカーエアコンを使うと、ハイブリッド車でも燃費はガックリ落ちる。普段なら燃費25km/L走るプリウスだって10%以上ダウンします。
22km/Lとしたら、走行72kmのプリウスのガソリン代は550円。電気自動車の方がはるかにエネルギーコストが低くて快適でした。
恥ずかしながら、電気自動車が抜群にエアコン効くということを、電気自動車歴10年目にして初めて認識しました。
この件、SNSで書くと今年の酷暑で電気自動車乗りの皆さんが感じているらしい。日産の開発者に聞くと、ナント軽EVの「SAKURA」もエアコンはバッチリ効くとのこと。
何よりエンジン車でドア開けて降りたときの車両下側から来る「もわっ!」という熱気は全くありません。これまた新鮮な驚きだったりします。
だったら燃料電池車トヨタ「MIRAI(ミライ)」のカーエアコンも同じように効くんじゃないだろうか? と思って走ってみたら、これもまた抜群に効きます。
考えてみたらエンジン車、温暖化ガスの二酸化炭素を出すだけでなく、直接大気に熱を放出しています。
そんなことで酷暑になって以後、クルマに乗るときは全てリーフにしていましたが、明日からはMIRAIも積極的に乗ろうと思った次第です。
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