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本当の本気で「事故ゼロ」を目指すホンダが描くモビリティの未来

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本当の本気で「事故ゼロ」を目指すホンダが描くモビリティの未来

 2022年11月2日、ホンダは「人と分かり合える独自のAI、協調人工知能『Honda CI』を活用したCIマイクロモビリティ技術」を公開した。ホンダはこの技術によって、人とAIを使った乗り物が、「CI/Cooperative Intelligence」によって人と協調しながら交通事故ゼロでストレスのない、そして誰もが自由な移動の喜びを得ることを目指す、という。本稿ではその技術と思想を紹介の一端を紹介します。ホンダは、自社が掲げる「事故ゼロ社会」をどうやって実現させるのか。本当にそんなことが可能なのか。

文/西村直人、写真/西村直人、ホンダ

本当の本気で「事故ゼロ」を目指すホンダが描くモビリティの未来

■2050年に本気で「事故死者ゼロ」に

さかのぼること1年前。2021年11月25日、ホンダは「2050年交通事故死者ゼロに向けた、先進の将来安全技術」(以下、2050年事故死者ゼロ)を世界初公開した。

 筆者(西村直人)は昨年、その内容を前編と後編に分けて2度、本誌に寄稿している。

【前編】どうやって実現? ホンダ「2050年交通事故死者ゼロ」目標の本気度と現実
【後編】ホンダが二輪で考える先進安全の今 世界中で事故をなくすための方策とは?

「事故死者ゼロ」をスローガンとして掲げ、安心・安全を謳うメーカーは多いが、ホンダの本気度合いはすこぶる高い。なにせ2050年時点、世界に現存しているホンダの二輪&四輪が関与する交通事故死者ゼロという壮大なスケール感だからだ。

 2021年3月、ホンダは世界初の自動化レベル3技術を含む「Honda SENSING Elite」を搭載した「レジェンド」を発売したが、衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全技術は装着率こそ高いものの、対応できる道路環境や運転状況は限られる。なのに、29年後の2050年には事故死者ゼロというのだから、やるべきことは多い。

2021年にホンダは世界初の、公道走行可能な運転支援技術レベル「レベル3」機能を搭載したレジェンドを発売。その後、残念ながらレジェンド自体が生産終了となってしまった

 具体的には、2050年までに市販されるホンダ車が通信技術などで、もしくは後付けの先進安全技術などを活用し、過去に販売されたホンダ車を含めて守らなければならないから難易度はとても高い。

 ちなみに「2050年事故死者ゼロ」プランでは、2030年の交通事故死者数が2020年時点の半減になるよう最初の目標が設定され、次の目標として2050年にゼロとする2段階のシナリオが描かれている。

 そして、今回の「Honda CIを活用したCIマイクロモビリティ技術」こそ、2050年事故死者ゼロを実現するキーテクノロジーの一つであり、2030年頃の実用化を目指す技術。同時に、2050年事故死者ゼロシナリオの第一段階にあたる。

■「人がしたいこと」を理解する…これは……『ナイトライダー』!!

「CI」を直訳すれば「協調型知能」だが、ホンダではそこに織り込む高度な機能から「協調型人工知能」としてCIを位置付けている。具体的には、人が発する言葉や身振りをHonda CI(システム)が光学式カメラや通信技術を使って捉え、人の意図、つまり“人がしたいこと”を理解しようと試みる。

 そして、人に対してHonda CIが「あなたの意図を私はこう理解しました! 合ってますか?」と、リンクしているスマホ専用アプリ内のチャットや合成音声(TTS/Text to Speech)を駆使して、リアルタイムで問いかけてくるのだ。筆者も体感してみたが、これがなんとも健気で愛くるしい。

ホンダが構想する「CI(Cooperative Intelligence)」の概念図。「人間の代わりに操作する」というより、人と人の間に立って仲介し、衝突や摩擦を無くす思想のようだ

 もっとも、こうしたアルゴリズムは7年ほど前からAIチャット機能として民間のWebサービスなどに用いられている。そのうえで、Honda CIはこの一連の技術のなかで一歩も二歩も先を行く。

 なぜか? 人の理解を一発で理解することにこだわらず、シークタイムを極限まで減らし、数回の意思疎通を図りながら確実に効率良く、人がしたいことへの答えに近づくからだ。無駄がないからシステム(CPU)の使用電力も少なく、当然、発熱量も低い。

 しかも、既存のAIチャット機能がテキスト(文字)を中心とした理解促進であるのに対し、Honda CIでは人の声色や言語の階層までもディープニューラルネットワークを駆使して整理整頓しながら、真の意図へと近づいていく。そう、アメリカのテレビ番組『ナイトライダー』に登場したAI車両「K.I.T.T.」の中枢神経そのものを、ホンダは2030年に実用化する!

『ナイトライダー 』シーズン 1 バリューパック [DVD]は2,370円。シーズン1は1982年に放映開始。シーズン4(1986年4月)まで放映された

「K.I.T.T.」のようなHonda CIは、「Honda CI マイクロモビリティ」に搭載される。2022年時点、Honda CI マイクロモビリティは、(1)1名~数名の乗員数を想定した搭乗型マイクロモビリティとして「CiKoMa/サイコマ」、(2)ユーザーの特徴を記憶・認識し追従するマイクロモビリティロボットとして「WaPOCHI/ワポチ」、の2タイプが想定され、それぞれ実用化に向けた技術実証実験を茨城県常総市の「水海道あすなろの里」や「アグリサイエンスバレー」などで行なっていくとのこと。

■「夢」がある技術

 発表に先立って催された取材の場では、(1)CiKoMa/サイコマと、(2)WaPOCHI/ワポチのスタディモデルに触れた。

 将来的に搭乗型を目指す(1)CiKoMa/サイコマには、ホンダのCIとして前述した「意図理解・コミュニケーション技術」と、高精度なHDマップがなくても自動走行が可能な「地図レス協調運転技術」が組み合わされる。今回はその「意図理解」のパートを背高ノッポ・モビリティで実演しつつ(見るだけ)、「地図レス」のパートを超小型モビリティ(認定車)のホンダ「MC-β」にシステムを搭載して実走行(こちらは同乗)した。

ホンダのCiKoMa/サイコマ。ゴルフカートのように見えるが(実際ベースはゴルフカートだが)、最先端技術が搭載された試験車

 MC-βでは地図レスで自動化レベル4~5相当の自動走行が行なわれる。HDマップを持たない代わり、前後左右の光学式カメラ(前後は複眼)を使って道路状況を読み取りながら、完全自律で自動走行をやってのけた。それだけでなく、搭載するHonda CIにMC-β車内に設置されたジョイスティックを使って意図を伝えると、たとえば次の交差点で右左折してくれる。その際、Honda SENSING Eliteなどで培った自動化技術をフルに活用しながら、Honda CI独自のアルゴリズムを加えて安全に走り切る。

CiKoMa/サイコマのインテリア。めっちゃシンプル

 さらにCiKoMa/サイコマには、協調安全運転支援技術として2021年11月の2050年事故死者ゼロで紹介された「Honda知能化運転支援技術」のうち「見落としリスク報知」が搭載されるが、今回は4人乗りのゴルフカートをベースにした専用車に搭載されていた(見るだけ)。

 続いて(2)WaPOCHI/ワポチ。これは認識させたユーザーを人混みでも、似た背格好の人が多くいてもトラッキングし続けて、ユーザーについて行く電動マイクロモビリティロボットだ。活用例として荷物を積載することで楽に歩行ができたり、人混みではユーザーの前を先導し歩きやすさをサポートしたりすることが想定されている。

WaPOCHI/ワポチ。人混みの中でも特定のユーザーを見分けてトレースすることができる

 Honda CIには夢があるなと思っていたら、Honda SENSING Eliteの生みの親である杉本洋一氏が開発の根底から携わっているという(開発責任者であるチーフエンジニアは安井裕司氏)。今回の取材は久しぶりに驚きの連続だった。

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みんなのコメント

7件
  • 本当の本気で「ベストカー無くなって」
  • クルマは悪くない、悪いのはそれを使う人間と言い放って、事故防止対策を絶対にしないトヨタグループ

    ホンダは真面目だと思う。頑張って欲しい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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