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初代プリウス登場から約23年経過 トヨタのハイブリッド技術はいまだに世界一なのか?

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初代プリウス登場から約23年経過 トヨタのハイブリッド技術はいまだに世界一なのか?

 19997年12月に世界初の量産ハイブリッドカーとしてトヨタプリウスが登場。そのトヨタに対し果敢に挑んだのはホンダで、現在はダイハツを除き、オリジナルハイブリッドカーをラインナップしている。

 いっぽう、欧州メーカーはハイブリッドに生還し背を見せていたが、マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドを積極的に市販化。

なぜトヨタのFCV技術が鉄道に!? JR&日立と“水素電車”開発の舞台裏

 クルマの技術は、先鞭をつけたメーカーを後発メーカーが抜くというケースが多々見られる。技術とは後発が有利なケースも多い。

 そこで気になるのは、ハイブリッドカーのパイオニアであるトヨタのハイブリッド技術は、いまだに世界一なのかということだ。

 その疑問に対し、国沢光宏氏が考察する。

文/国沢光宏、写真/TOYOTA、NISSAN、平野学

【画像ギャラリー】初めて市販したのはプリウスじゃない!? トピックで綴るトヨタのハイブリッドの歴史

グローバルでの本格ハイブリッド販売はトヨタの独占状態

1997年12月に世界初の量産ハイブリッドカーとして登場した初代プリウス。それから約23年間にわたり、トヨタはハイブリッドのトップランナーに君臨

 2021年から一段と厳しくなるヨーロッパのCAFE規制(企業平均燃費)をクリアしようとすれば、燃費のいい本格的なハイブリッドが必要になってくる。2020年施行の日本CAFEも本格的なハイブリッドをたくさん売らないとクリアできない。

 そして中国まで2035年には販売台数の半分を本格的なハイブリッドにしろという規制です。

 また、ここにきてヨーロッパでは48Vバッテリーを使うマイルドハイブリッドが急増しているけれど、このタイプじゃ燃費低減効果少なくダメ。

欧州メーカーは48Vのマイルドハイブリッドを積極投入しているが、燃費低減効果は少ない。写真はボルボXC40 B5 R-Design

 かといって本格的なハイブリッドを開発しようとしても時間的に間に合わない。ヨーロッパのメーカーはマイルドハイブリッドで時間稼ぎをしながら電気自動車に移行としようとしているようだ。

 ということで本格的なハイブリッドをラインアップしているのは日本勢だけとなる。

 中でも圧倒的な強さを発揮しているのがトヨタです。

 ヨーロッパの販売台数を調べてみると、本格的なハイブリッドはトヨタばかり! アメリカも同じ状況。日本で好調な日産e-POWERは販売していないし、ホンダもほとんど売れていない。

日産はキックスをはじめとするe-POWER搭載車を海外でも販売する予定だが、現状ではe-POWERは日本以外では販売していない

トヨタのハイブリッドが盤石な4つの理由

 トヨタのハイブリッド、今度どうなるだろうか? 結論から書くと、おそらくガソリンを使うクルマとしては最後まで残るんじゃないかと考えます。

 なぜか。最大の理由として挙げたいのが圧倒的な燃費だ。トヨタ式のハイブリッド、1997年にデビューして以来、燃費で誰にも追いつかれていない。そればかりか進化している。

THS-IIにダイナミックフォースエンジンを組み合わせたヤリスハイブリッドは、街中、郊外、高速道路とどのステージでも抜群の燃費性能を持っている

 最新世代のハイブリッドであるRAV4やヤリスを見ると、1600kg以上の重いボディながら実用燃費で20km/L! ヤリスのようなコンパクトなクルマであれば限りなく30km/Lに近い燃費だったりする。

 RAV4やヤリスのハイブリッドの燃費、高速燃費を含めディーゼルよりいいのだから驚く。市街地なら圧倒的だ。

 2つ目が性能。最新世代のハイブリッドは性能面で大きく向上している。 

 RAV4のハイブリッド、0~100km/h加速8秒。3000ccクラスのガソリンエンジン搭載車に匹敵します。アクセル踏んだ時の追い越し加速や、絶対的な最高速も高くなった。

 折しも世界的に高速道路の移動速度は低下傾向。トヨタのハイブリッドで十分通用する。

RAV4 PHVの速さに注目が集まっているが、ノーマルのハイブリッドも動力性能、加速性能ともすばらしい。乗るとその速さにビックリするはず

 3つ目に価格。大量生産することにより、今やトヨタのハイブリッドは製造コストで皆さん考える以上にリーズナブル。トヨタ自ら最初のハイブリッドの4分の1以下のコストになっていると公表してます。

 その割に普通エンジンとの価格差が縮まっていないので、けっこう利益も上がっているということ。今の価格レベルで十分儲かるのだった。

 4つ目は信頼性を挙げておきたい。48Vのマイルドハイブリッド、おそらく電池交換が必要になると思う。高価なリチウムイオン電池を使うため現時点で10万円近い(数年後に値下がりする?)。

 トヨタのハイブリッドといえば、「基本的に無交換でOK」という実績を持つ。15年&20万kmくらいなら普通に使えてしまう。

トヨタの対抗馬はホンダではなく日産!?

2021年登場予定の新型エクストレイルには、大きく進化したe-POWERの搭載が有力視されている。その燃費に注目したい(画像は予想CG)

 ここまで読んで「日産のe-POWERやホンダの2モーターハイブリッドはどうか」と思うかもしれない。日産のe-POWER、間もなく出てくる次世代で、どのくらいの実用燃費を実現するかで将来が大きく変わってくる。

 トヨタと同等の実用燃費とコストだったらトヨタと人気を二分することだろう。日産のe-POWER、ポテンシャルが高い。

 ホンダは優れたシステムながらコスト的に厳しいかもしれない。トヨタより圧倒的に生産台数が少なく、加えてヨーロッパ市場は撤退を考えなければならないほどの売れ行き減になってしまった。

 アメリカ市場もトヨタのように売れておらず量産によるコストダウンという点で厳しい。実用燃費だって改良を続けているトヨタに引き離され気味。

現行フィットに搭載される2モーターのe:HEVは、モーターだけでなく高速域ではエンジンも動力源として使うなど大幅進化。しかしホンダのハイブリッドは海外で苦戦

ハイブリッドの進化の手綱を緩めないトヨタ

 ちなみに現在トヨタが開発中の次期プリウスは、燃費より動力性能を追求するという。

 確かにヨーロッパやアメリカでプリウスのハンドルを握ると、高速域での動力性能が足りない。考えてみたらプリウスのエンジンは98馬力しか無い。電池アシストを期待できない連続高速走行をしていると98馬力のエンジン車と同じ。明らかに遅いです。

THS-IIにダイナミックフォースエンジンを組み合わせた現行プリウスは、街中の加速は満足できるが、高速域での加速感には不満が残る。次期モデルではその点を改善するという

 140馬力くらいのエンジンをベースにしたハイブリッドシステムを開発すれば150km/h程度の流れは余裕で付いていけるし、200km/h巡航だって可能になってくる。

 そうなったら一段と評価が高まることだろう。前述のとおりライバルメーカーは作れない。

 ガソリンが使用禁止になるまで、トヨタのハイブリッドは強い競争力を維持できると思う。

トヨタはモータースポーツの分野でもWECにハイブリッドで積極参戦。それによりTHS-Rは年々進化している点も見逃せない

【画像ギャラリー】初めて市販したのはプリウスじゃない!? トピックで綴るトヨタのハイブリッドの歴史

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みんなのコメント

9件
  • 国沢某は現代のハイブリッドを取り上げてプリウスを抜いたとか言っていたが。お忘れか
  • トヨタ製は世界で最も効率の良いハイブリッドでしょ。
    一見EVでは出遅れてるように思われがちだが、世界の至る所で
    活躍しているハイブリッド車のデータをEVに利用できるので、
    市販化は少ないが技術力とノウハウはトップクラスのはず。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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