運営元:外車王SOKEN
著者 :往 機人
限定350台がすでに完売!「マークXGRMN」とそのルーツ、かつて一世を風靡した「マークII」の変遷を振り返る
去る11月19日に、芦ノ湖スカイラインの中程にある「芦ノ湖スカイラインレストハウス フジビュー」の駐車場を借り切って、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニetcという蒼々たる顔ぶれの華やかなクルマたちを集めたミーティングがおこなわれました。
「GOGOmtg(ゴーゴーミーティング)」と銘打って開催されたこの集まりは、今回で2回目となります。
大のクルマ好きで、HOC(平成オーナーズクラブ)というクルマ好きグループの代表を務める「やまけん」さんが、自身のコネクションを通して交流の場を設けようと開催されたのがこのミーティングです。
集まってきたクルマ達は、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニetcという蒼々たる顔ぶれで、1台1台細かく話を聞いてみたくなるような車種ばかり。
しかもそのHOCのメンバーが中心になっているので、オーナーさんの多くが30代と年齢が若いというのもこのミーティングの特色です。
ミーティングに集まった車両はどれも素通りできないものばかりでしたが、その中でも気になった現行のスーパーカーを中心にピックアップして紹介していきたいと思います。
■2020年式 フェラーリ・812 GTS
1台目に紹介するのは、フェラーリ最後の12気筒モデルではないかといわれている「812 GTS」です。
オーナーは、フェラーリとポルシェが大好きという「ガリガリ」さん。
この812GTSまでに8台ほどのフェラーリを乗り継いでいるそうです。
ポルシェは「ケイマン・GT4」を所有しているそうで、「812 GTS」とともにそれぞれのメーカーを代表するエンジンを堪能できる体制ですね。
ちなみにこの個体は、フェラーリ純正の「カーボンオプション」装着車輌だそうです。
黒いホイールと赤いブレーキキャリパーが見分けるポイントですね。
ウワサではそのオプションだけでレクサスが1台買えてしまうとか……。
この「812 GTS」は、フェラーリのフラッグシップモデルに代々採用されてきた自然吸気のV型12気筒を搭載する最後のモデル(限定生産モデルのデイトナSP3とプロサングエは除く)といわれれています。
オーナーの「ガリガリ」さんもそれが購買動機の決め手だったそうで、F1のイメージと直結する高回転の官能的なサウンドを堪能しているそうです。
ちなみに「812 GTS」のネーミングの由来は、800馬力の12気筒エンジンを搭載するGTカテゴリーのスパイダー(Spyder=オープントップ車の意)となっています。
フェラーリのネーミングのルールは複雑で、数字が1気筒あたりの排気量を表していたり、排気量と気筒数の組み合わせだったりと統一されていませんでしたが、この「812」のように数字が馬力を表すパターンは初だそうです。
ただ、どれもエンジンのスペックから取られていることを考えると、いかにエンジンを重要視しているかが窺えますね。
なめらかな曲面のボンネットを開けると、そのV型12気筒エンジン(F140GA型)がお目見えします。
排気量は6,498ccで、800psを8,500rpmで発揮するという高回転型のユニットです。
ふつう、6.5リットルの大排気量だと鈍重なフィーリングを想像しますが、そこはフェラーリのV型12気筒ですから、12気筒という気筒数の多さと、F1で培った高回転で高出力を発揮するための技術によって実現されています。
もちろんそのサウンドは天下一品。この音を目的にV12モデルのフェラーリを購入する人も少なくないでしょう。
800馬力の非現実的な出力によって、最高速度340キロ以上といわれる動力性能は、「アクセルを開けたらすぐスピンしそう」という心配も浮かびますが、その点は心配ありません。
超大パワーでアクセルを開けたときにスピンを防止してくれる後輪躁舵制御の「バーチャル・ショートホイールベース」や、電動パワーステアリングのトルク制御によってスリップの兆候を感じさせてくれる「ピーク・パフォーマンス・アドバイザー」などの先進制御技術によっ
て、その有り余るパワーを安心して楽しめるようにするための技術も最大限盛り込まれています。
また、ブレーキも最高レベルの制動力が与えられているというのは、外観からも分かりますね。
■2023年式 ランボルギーニ・ウラカンSTO
続いては、カラーリングが特別なモデルであることを主張している「ランボルギーニ・ウラカンSTO」です。
オーナーは「轟さん」。
クルマで走ることが大好きで、以前はS15シルビアでドリフトを楽しんでいたこともあるそうです。
この「ウラカンSTO」は納車されてまだ数ヶ月で、ロングドライブはこのイベントが初だそうです。
「轟」さんは大のランボ・フリークだそうで、V10モデルは歴代乗り継いできて、この「STO」で7台目というから驚きです。
サブネームの「STO」とは、「スーパー・トロフェオ・オモロガータ」の略で、ランボルギーニが主催するワンメイクレースの認定を表す言葉だそうです。
そのネーミングだけで見ても、市販車というよりレースカー寄りのクルマだということが伝わってきますね。
ざっとこの「STO」について紹介しておきましょう。
ベース車の「ウラカン」は、ランボルギーニのエントリーモデル「ガヤルド」の後継車です。
アウディの「R8」の兄弟車としての位置づけはそのまま引き継いでいるので、同年代の「R8」とは、シャーシ、エンジン、ドライブオレーンが共通となっています。
名前の由来はランボルギーニ伝統の、活躍した闘牛から取られたもので、語源はスペイン語の「ハリケーン」です。
この「STO」は、「ウラカン」をベースにチューニングとモディファイが加えられたロードゴーイングレーシングマシンです。
外装の75%がカーボン製のパネルで構成されていて、ベースとなった「ウラカンEVO・RWD」の1,389キロに対して50キロの軽量化を果たしています。
フロントセクションのボディパネルは一体化され、全体が前ヒンジでガバッと開く様は往年の「ミウラ」を連想させます。
その造形は全体でエアロデバイスとして働くように設計され、ダウンフォースや冷却効率などの空力性能が大幅に向上されているようです。
レーシーなリヤウイングも見せかけではなく、ポジションの変更でダウンフォース値が変えられるようです。
エンジンフードの開閉は通常のヒンジ式ではなく、フード全体が専用のクリップで固定されているため、出先での開閉は困難。
専用のエンジンマネジメントシステムで制御される5.2リットルV型10気筒エンジンの姿はフィンの隙間から覗ける部分しか見られません。
最大出力は640PSで、それを8000rpmという高回転で発揮します。
フェラーリとはまた違った音色の高回転ランボルギーニ・サウンドが、専用のエキゾーストシステムでさらに迫力アップされています。
オーナーの「轟」さんも、このサウンドがいちばんのお気に入りとのこと。
内装もバックスキン調のアルカンターラ仕上げでスパルタンな雰囲気になっています。
現行ランボルギーニのV10モデルはすべてが2ペダルに統一されているので、このほとんどレースマシンといえる「STO」も例外ではなく、7段のDCTで変速します。
そして「STO」専用の走行モード選択機能が装備されていて、通常の「STO」、サーキット用の「トロフェオ」、ウエット路面用の「ピアッジャ」が選択でき、足まわりのダンピング特性やシフトフィールが変化します。
ちなみに写真では分かりにくいですが、シートはオプションアイテムの「スポーツシート」(なかなかの価格)が装着されています。
■2012年式 ランボルギーニ・ガヤルド LP560-4 Bianco Rosso
こちらは真っ白なボディに赤のワンポイントが目を惹く「ガヤルド LP560-4 ビアンコ・ロッソ」です。
サブネームの「ビアンコ・ロッソ」とは、直訳すると「赤/白」となります。
勘の良い人はピンときたと思いますが、これは日本の国旗をイメージしたネーミングです。
ランボルギーニが日本進出45周年を記念して製作した特別仕様車で、たった10台のみ販売されました。
その1/10の希少な1台がこの個体というわけです。
オーナーは「太田」さん。
仕事の関係でメキシコに赴任していたそうで、せっかくなので赴任期間の最後に現地らしい大排気量車に乗ってみようと考えて、デザインが好きなコルベットやフェラーリなど幅を持たせて探していました。
そんな折りにこの特別仕様車の存在を知って「これだ!」と一目惚れ。
けっこう探してようやく見付けることができ、晴れてオーナーになれたとのことです。
そうして勢いで購入した「ガヤルド」ですが、実際に所有してみるとランボルギーニらしい硬派な乗り味に感動した一方で、意外と普通に乗れることに驚いたそうです。
それが功を奏して、写真の彼女と今回のように出掛けるときにも、「そんなにイヤじゃない」と、理解を示してくれていて助かるとのことでした。
エクステリアでは真っ白なボディに、ミラーとエンジンフード、そしてブレーキキャリパーに赤色があしらわれています。
クルマのスタイリングに白と赤の極端な色使いを当てはめる場合、けっこうチャカチャカして子供っぽい雰囲気に陥りがちです。
しかしこの「ビアンコ・ロッソ」はさすがランボルギーニの「チェントロスティーレ」が手掛けただけあって、上品さを感じる仕上がりでまとまっています。
国産車でこの色使いが似合うとしたらごくごく限られた車種になると思います。
カラーコーディネート以外はベースの「ガヤルド LP560-4」と共通ですが、元がけっこうスパルタンな乗り味なので、動力性能は充分以上でしょう。
エンジンは、車名にある560psを8,000回転で発生させるV型10気筒5.2リットルのランボルギーニ開発のユニットです。
時流に合わせて低燃費と低排出ガスの性能も盛り込まれているようで、アクセルを開けなければ意外と燃費は良い模様です。
外観からは見えている面積が少ないので控えめな印象ですが、エンジンフードを開くと赤色が目立つのでテンションが上がる感じがします。
内装にもしっかり赤の差し色があしらわれています。
下地がアルカンターラ仕上げのマット調で落ち着いた雰囲気のため、より赤い色が映える印象です。
「ガヤルド」ではまだ6速M/Tが選べましたが、この個体は2ペダルの「6速eギヤ」仕様ですね。
ちなみにリヤクオーターウインドウのすぐ内側に「?/10」と、限定数を示すプレートが装着されていました。
■2017年式 アバルト 124スパイダー
続いて紹介するのは、珍しい女性オーナーの「アバルト 124スパイダー」です。
オーナーは「ゆきこ」さん。
大学の卒業祝いとして贈られた車両だそうで、プリウスから大胆な乗り換えを果たしました。
せっかくなのでとオープンカーを探していた「ゆきこ」さん、この車種を選んだポイントは「他とカブらない」というところ。
実際に走っていてもほとんど同じ車種と居合わせることはなかったそうです。
この「アバルト 124スパイダー」のベースが「マツダ ロードスター(ND型)」ということはクルマ好きならほとんどの人が知っていることと思いますが、エンジンをはじめとして各部の仕様はけっこう違うようです。
マツダとフィアットの提携によって立ち上がったプロジェクトによる車種ですが、この「アバルト」の手前に「フィアット 124スパイダー」の存在があります。
日本に正式輸入されたのが「アバルト」の方なので「フィアット版」を知る人は限られますが、この「アバルト 124スパイダー」は「フィアット 124スパイダー」をベースにしたファクトリーチューン版の車種なんです。
搭載されるエンジンはマツダ製ではなく、フィアット謹製の1.4リットル直列4気筒SOHCのインタークーラー付きターボユニットです。
「マルチエア」という可変バルブ機構が備わっていて、出力と燃費に配慮された仕様となります。
「アバルト仕様」ということでチューニングが施され、ベースの160psから10psアップして力強さを増しています。
しかしいちばんの注目点は出力向上よりも「レコルト・モンツァ」製のマフラーで、ベースモデルとはひと味もふた味も違う力強い排気音を奏でてくれるようです。オーナーの「ゆきこ」さんも、その点がいちばん気に入っているとのことでした。
内装はほぼロードスターと共通ですが、いちばん目に入るステアリングの中央には「アバルト」の象徴サソリの紋章が鎮座します。
そしてややバケット形状のスポーティなシートの背が当たる面には赤いステッチで「ABARTH」の文字が記されています。
また、足まわりもベースの「フィアット版」から強化されて締まった特性になっているので、エンジンフィールと勇ましいエキゾーストサウンド、そして目の前のサソリも存在感によって、ロードスターとは違った雰囲気が味わえる……ハズです。
ちなみに一緒に映っているのは旦那さんで、ラリードライバーとして活動しているとのこと。
将来を考えてもし乗り換えるとしたら、4人乗りの「メルセデスベンツ・CLS」が欲しいと話していました。
■他にも気になったスペシャルモデルがいっぱい
時間内にインタビューしきれず、写真だけですが何台かピックアップして紹介します。
居並ぶフェラーリの中でもけっこう注目度が高かった「フェラーリ・SF90ストラダーレ」です。
「SF」とは「スクーデリア・フェラーリ」のことで、F1などのモータースポーツを扱うフェラーリのワークスチームです。
その設立90周年を記念して発売された「ストラダーレ(公道モデル)」がこの「SF90ストラダーレ」です。
記念限定車の「ラ・フェラーリ」に次ぐ2番目となるハイブリッド・スーパーカーとなります。
V型8気筒ツインターボエンジンによる780 PSに加えて前後3機のモーター出力との合計で1000psという破格の動力性能を備えているモンスターマシンです。
ハンマーヘッドの意匠のフロントマスクとメリハリのある流線型ボディはいかにも早そうな雰囲気で、最高速が340キロ以上というのも素直に受け入れられる気がしますね。
上でも紹介した「フェラーリ・812 GTS」と「フェラーリ・812スーパーファスト」が2台並んでいます。
手前の「GTS」は、おそらくこれもオプションのカーボンパッケージで、さらにシャープな鍛造ホイールに換えられていたりと、さり気なく手が加えられているようです。
そしてその奥にチラッと見える白い車両は、フェラーリとしては珍しいV8エンジンFRレイアウトの「カリフォルニアT」ではないでしょうか。
こちらはランボルギーニのフラッグシップ「アヴェンタドール」です。
パールホワイトのボディ色でエレガントな雰囲気が漂っていますが、よく見るとボディサイド下まわりの様子が純正とは微妙に異なる印象です。
フロントバンパーはLBWK製でしょうか。
スワンネックタイプのリヤウイングに本気具合を感じます。
こちらはロータスの2台です。
手前の赤い個体は「エリーゼ(フェイズ3)」ですね。
奥の青い個体は「エリーゼ スプリント(フェイズ3)」です。
カーボンパーツの使用やリヤのアクリルウインドウ化などで軽量化されたストイックなモデルです。
小柄な車体ですが、存在感はしっかり放っていました。
こちらの水色がよく似合う車両はアウディの「S5(B9型)」です。
3リットルのV型6気筒エンジンにターボ装着で354psという高性能サルーン。
流麗な面構成とハッチバックスタイルのおかげでビビッドなカラーもマッチしています。
国産スポーツカーの代表格「日産・フェアレディZ」の最新型(RZ34型)も参加していました。
おそらくこの時点では日産がバックオーダーをたっぷり抱えている状況だと思いますが、早い段階でオーダーしたのでしょう。
1970年代のS30型をオマージュしたデザインが独特のカッコ良さを表現しています。
こちらは上の「フェアレディZ」のライバル「トヨタ・スープラ(DB型)」です。
プラットフォームをBMWのZ4と共用するという新しい取り組みで生まれたモデルです。
エンジンは「スープラ」としては初となる直列4気筒ユニットもラインナップに加わっていて選択肢が広くなりました。
「フェアレディZ」とはぜんぜん方向性が違うカッコ良さのデザインですね。
参加者の同伴の人の乗るセダンかと思いきや、「メルセデスAMG S63 4MATICカブリオレ」です。
5.5リットルのV型8気筒にツインターボを装着してパワーは585ps、最大90キロ以上という鬼トルクを発揮して、2トンを軽く超えるSクラスのボディを苦もなくすっ飛ばすモンスターです。
羊の皮を~ではなく、バッファローの皮を被った怪獣でした。
奥の黒い個体は1シリーズでは最後の直6・FRレイアウトのモデルといわれる「BMW・M140i」です。
もっとも小柄な「M」ですが、3リットル直列6気筒ターボで340psを発揮するホットハッチです。
■あとがき:取材を終えて
フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなどのスーパーカーがズラッと顔を揃えたこの「GOGOmtg」の華やかな参加車両はいかがだったでしょうか?
下世話な感想ですが、このイベントの全体を見渡してのまとめとしては、「全部でいったいいくらになるんだろうか?」と思わずにいられません。
しかもそのオーナーたちのほとんどは30代という若い人たちで、その点も驚かされました。
もし外から眺めるだけだったら「若くして会社代表になった人たちがファッション感覚でスーパーカーに乗っているのだろう」なんて勝手な想像をしてしまう人も少なくないでしょう。
しかし、こうして個々に話を聞いてみると、小さい頃から憧れていたり、本当に好きで何台も乗り継いでいたりと、ベテランのマニアも顔負けの熱い想いを持っているということが感じられ、違う意味で驚かされました。
また、ヤンチャなおじさんスーパーカー乗りにありがちなアクセルを吹かすようなおこないもほとんど無く、場所をわきまえた参加姿勢にも好感が持てました。
また3回、4回と開催していって欲しいと思います。
[ライター&カメラ・往 機人]
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