私事になるが、今シーズンは筆者のボスである自動車評論家・国沢光宏氏が全日本ラリーに、ワンボックスカーのハイエースで参戦(史上初!)していることもあり、筆者は10月24日に開催された北海道の地方戦を含め計4戦ラリーに帯同した。
今年はイベントなどでも現行モデル(200系)のハイエースに触れる機会も何度かあった。本稿では少ない経験ながら実際に触れてわかったハイエースの凄さ、奥深さを挙げていきたい。
フルサイズピックアップ初のHV搭載!! トヨタ 新型タンドラの進化度は?
文/永田恵一、写真/ベストカーWeb編集部、CAST RACING、TOYOTA
[gallink]
改めて実感したハイエース 4つの「凄い」ポイント
写真がラリー仕様になったハイエース。働く車のイメージからは想像できない姿だが、近年ではキャンパーとしての需要も高まっており、さまざまな「表情」を持つのも同車ならでは
●ハイエースの凄さ/【1】ユーザー層の幅広さと豊富なバリエーション
ハイエース=ワークユースというイメージが強いかもしれない。しかし、実際にはワークユースはもちろん、ワークユース兼乗用車、10人乗りワゴンならミニバン・バイクを運ぶトランポやキャンパーとして……など、用途は実に幅広い。
また、いろいろなニーズがあるだけにハイエースは、把握できないほどバリエーションが豊富なのも大きな魅力だ。
●ハイエースの凄さ/【2】カスタマイズの幅広さ
200系ハイエースは登場から17年が経つが、コンスタントに売れ続けているだけに、路上を少し見るとわかるとおり、既存の台数は莫大だ。そのため【1】とも密接に関係し、アフターパーツも「ないものはない」というくらい豊富だ。
この好循環で予算に合せた自分好みのハイエースが「作れないことはほぼない」というのも、ハイエースからユーザーが離れない理由の1つだろう。
●ハイエースの凄さ/【3】ユーザーのアクティブさ
ハイエースのイベントやオフ会には多くのオーナーさんが集まる。そんな場でオーナーさんと話すと、多くのオーナーさんがアクティブなことに気がつく。まあ、ハイエースはワークユースをはじめアクティブに使われることが多いだけに、それも当然と言えば当然かもしれない。
ちなみに筆者の父は70歳を超えてもハイエースの兄弟車のレジアスエース・スーパーロングバンで毎日仕事に行っており、年齢の割にアクティブなハイエースオーナーの1人だ。それだけにハイエースのオーナーさんは若く見え、年齢不詳なことも少なくない(笑)。
また、ハイエースのオーナーさんにはイメージ通り職人さんも多いため、簡易なキャンパーにする際の内装関係の作業などはオーナーさんが自作パーツで自ら行うこともよくあるそうだ。
あらゆる意味で優れた驚異の「コスパ」
市販モデルのハイエースバン。「競技車両にしてみると思った以上にボディが堅牢で驚いた」とはチーム関係者の談だが、数十万km走っても根をあげない信頼性こそ真骨頂だ
●ハイエースの凄さ/【4】コストパフォーマンスの高さ
現在、ハイエースの新車価格は236万3500円からだ。この価格は一見すると安くないようにも見えるが、長い目で見ると安い。その理由はハイエースの信頼性・耐久性の高さに尽きる。
筆者の父のレジアスエース・スーパーロングバンも新車から13年30万km近く走っているが、商売道具なので整備もそれなりに行き届いているのもあり、未だ元気一杯だ。
また、日本でもハイエースは何十万km走っていることは珍しくなく、オフ会ではオーナーさん同士が多走行自慢大会をするそうだ(笑)。
ハイエースは人気の高さに加え、信頼性・耐久性の高さも基盤にリセールバリューがいいのは有名だが、使い込んだクルマでもきちんとした値が付くという点に加え、ある程度の年式・走行距離からは中古車で重要となる、この2つの要素が極端に言うとあまり関係ない傾向にある点も凄い。
さらに、日本での役目が終わっても、輸出され海外でライフラインのように走っているのだから、この点はハイエースの信頼性・耐久性の高さに加え、日本のトヨタが海外でも部品の供給をはじめとしたとてつもないネットワークを持っていることの象徴でもある。
これがハイエース!? 働く車をラリー車にして実感した「奥深さ」
写真は同乗試乗イベントでのひとコマ。ハイエースがグラベルを猛然と走る姿も圧巻だが、同乗してみると意外な乗り心地の良さに驚かされる
10月にあった北海道でのラリーの際には、ラリーのベースとなるサービスパークすぐ近くの公園で、「北海道ハイエースフェスティバル」というイベントも開催された。
このイベントではドライバー兼車両制作者・喜多見孝弘さんが、ハイエースのラリー本番車をドライブし、グラベルのサッカー場で同乗走行会を実施。喜多見さん開発のハイエース用パーツ「CAST」の販売を担当する丸徳商会(埼玉県深谷市)が所有するデモカーとノーマルハイエースの乗り比べなどが行われた。
イベントでは筆者も短時間ながら3台のハイエースを乗り比べられたので、ここからは3台のショートインプレッションをお届けしたい。
●市販車のハイエース
ノーマルハイエースはかなり新しい4ナンバーバン、2.8Lディーゼルターボ6速AT+4WDの9人乗りというマニアックなモデルだった。
ハイエースはオーナーさんや仕事で乗ることがある人以外あまり乗ることがないだけに、たまに乗ると非日常なせいなのか楽しいクルマで、それはこのノーマルハイエースも同じだった。また、ハイエースのディーゼル車は2017年11月のモデル以降、3LのKD型+4速ATから2.8LのGD型+6速ATになっており、スムースかつより力強い走りとなっていた。
また、久しぶりに乗って驚いたのが乗り心地だ。筆者が乗ったことのあるノーマルハイエースは2013年11月にマイナーチェンジされたバンの「スーパーGL」で、こちらはとても乗り心地が良くビックリした記憶があるが、それ以外では芳しくないイメージしかなかった。
それが新しいモデルでは足回りに改良があったのか、4WDのためか理由は不明ながら、特に悪さを感じない良い意味で無難な乗り心地となっており、改良を続けるトヨタとトヨタ車体の姿勢には感心した。
●デモカー1号車
写真はデモカー1号車。足回りを特別に仕立て上げると、エンジンはノーマルのまま(!)とは思えないシャープな走りを披露。ある意味、マニア垂涎の一台か!?
デモカー1号車は、丸徳商会の営業車で、2LガソリンのAT車ベース。メンテナンス面など機械式LSDの弱点がなく、しっかりLSD効果のあるサイレントLSDで、喜多見さんが主宰するサンコーワークスの看板商品の1つ「ネオチューンダンパー」(※多くのノーマルカーが使う複筒式ダンパーのオイルをスペシャル品に換え、乗り心地とハンドリングを同時に改善するもの。仕様もオイルによって希望の乗り味に調整可能で、デモカーはオーソドックスなコンフォート仕様)、CASTの足回りパーツが各種装着された快適仕様だ。
足回りのトータルチューンで、ハイエースとは思えないしなやかな乗り心地やハンドル操作に対する正確さが向上していることにより、ひと言で言うと「快適&運転していて楽」に仕上がっており、このハイエースに営業で乗るスタッフさんは運転による疲れが少ないに違いない。
クルマ好きも満足させる「走りが楽しいハイエース」!?
国沢氏がドライブしたラリー本番仕様のハイエース。86などに混じって豪快にドリフトする姿は異様な迫力だったが、今回試乗したデモカーの2号車は、こちらをロードカーに仕立てたといえる1台
●デモカー2号車
こちらは2Lガソリンの5速MT(!)ベースとなるラリーのレッキ車(※ラリー前のコースの下見に使うクルマ)だ。
1号車との違いはダンパーがターマックラリー仕様のネオチューンとなっている点とタイヤを最大積載量の変更のうえでスポーツタイヤに換えたこと、インテリアはセミバケットシートとアフターパーツのステアリングが装着されている。
2号車はいわば全日本ラリーに参戦するハイエースのロードカー版で、例えるならニュル24時間レースを走った初代86のレーシングカーと、初代86前期型の最後に100台限定車であったコンプリートカーのGRMNのような関係だ。
乗ってはじめに驚いたのが、ハイエースのMT車は初めてだったこともあり、シフトフィールが剛性感タップリの「いかにもプロ用」だったことで、クルマ好きならこのMTだけでも楽しいだろう。
ラリー仕様のサスペンションというと乗り心地が悪そうなイメージがあるかもしれないが、ラリーはターマックでも荒れた舗装を走ることが当たり前なのでそんなことはまったくなく、スポーツモデルのいいサスペンションのように「硬いけどしなやか」にサスペンションが動き、不快感はまったくない。
コーナーも、ステアリングが小さくなっていることもあり、シャープにクリアでき、クルマ好きがハイエースに乗るならこんな仕様も楽しいと思う。
◆ ◆ ◆
ハイエースは乗るたびに奥深さを実感するクルマである。
そんなクルマなだけに登場から17年経ってもコンスタントに売れ続けており、これほど完成され、発展性も広い200系ハイエースは、もしかすると永久に不滅なクルマなのかもしれない。
ARKカムイラリーに出場した国沢光宏氏。ハイエースの普段とは違う一面を「走る実験室」で実証。働く車に留まらない驚くべきポテンシャルも人気の秘訣かもしれない
[gallink]
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
約360万円から! 日産が豪華な「新型3列シートSUV」発表! めちゃ「上質インテリア」採用した“高級ブロンズ仕様”仕上げに「カッコいい」と反響あり!
車についてる「謎のぐるぐる」ボタン何に使う!? 使ったら「ダメ」な状況も? 知っているようで知らない「正しい」使い方とは
マジ?「車検」通らなくなる!? 夏から「ロービーム検査」一部で開始、対象エリアは? 要注意すべきクルマの特徴とは
トヨタ“新型”「ルーミー」まもなく登場!? 全長3.7m級で「背高&スライドドア」採用の「ハイトワゴン」! デビュー8年「大人気モデル」どうなるのか
マツダ新型「“NE”ロードスター」!? パカッと開くリトラ復活!? 美しすぎる流麗デザインがカッコイイ「次期型モデル」の予想CGに反響も
650馬力で858万円ならドイツ製EVよりお得? [ヒョンデ アイオニック5 N]の楽しさはもはやガソリン車を超えた!?
クルマで「タバコ」を吸うので車内が臭います。カーエアコンに臭いが染み付いているようですが、何か良い方法はありませんか?
より厳しい基準で検査が不正扱い……トヨタの検査に隠された衝撃事実! そして不正が多発する意外なワケ
6速MTがアンダー220万円! スズキの「快速スポーツカー」なぜ買い得? モデル末期の「スイフトスポーツ」が魅力的すぎるワケ
マジ?「車検」通らなくなる!? 夏から「ロービーム検査」一部で開始、対象エリアは? 要注意すべきクルマの特徴とは
みんなのコメント
クルマの出来は良いが
乗ってる人間がなぁ〜
そんな奴らと同じに見られたく無いから
自分は別のクルマ
ガテン系筋肉頭の人が好んで乗る事…….