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受け継がれるDNA ロールス・ロイス・スペクター 新EVの試作車へ同乗 ゴールの25%段階

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受け継がれるDNA ロールス・ロイス・スペクター 新EVの試作車へ同乗 ゴールの25%段階

正しいDNAを受け継いだクルマ

ロールス・ロイスの技術者によれば、同乗させてもらったスペクターのプロトタイプは、目指すゴールの25%程度の状態だという。それでも、唸らされるほどの乗り心地と静寂性を実現していた。

【画像】ブランド初の純EV スペクター ロールス・ロイスとベントレーの現行2ドアモデルも 全93枚

目標とする基準がいかに高いのか、伺い知れる事実だといえる。多くのプレミアム・サルーンが備える質感に、すでに到達していたのだから。

今回、新しいロールス・ロイスを味見させてもらったのは、スウェーデンの北、北極圏が迫るアリエプローグという町の郊外に広がる一般道。開発責任者のイェルク・ワンダー氏と一緒だ。

「間違いなく、成功したシーズンだったといえるでしょうね。正しいDNAを受け継いだクルマとして、初期ステージの良い段階にあります」。と、ワンダーが満足気に運転席から話す。

プロトタイプの助手席に座る筆者も、ロールス・ロイスらしさをしっかり感じ取れる。世界で最も静かで、最も快適なクルマとして、既に充分評価できる仕上がりに達している。

ワンダーが、凍結した路面をうれしそうに運転している。オンデマンド・トルク機能を確かめながら。クルマの安全性を高めつつ、予測的に制御しているようだ。大きなロールス・ロイスは、至って安定したまま不安感なくコーナーを抜けていく。

純EVで目覚ましく高まる快適性や洗練性

パワートレインの動力性能やシャシーの洗練具合は、かなり高いようだ。スペクターの操縦性を、一層スポーティなものに引き締めたいという考えはあるのだろうか。

ワンダーが答える。「これはクーペなので、操縦性を高めたい気持ちはあります。ですが、快適である必要性もあります。スポーティ過ぎる特性は、わたしたちのクライアントには適していません」

「ステアリングは、極めて正確でなければなりません。ですが快適で、安全だと感じることも求められます。クルマに乗せられているという感覚なしに」

開発テストは、細かいセッティングの領域に進んでいる。スペクターの複雑なシステムが、すべての気象条件や道路環境で正常に機能するのか、確認する段階にあるそうだ。

「非常に暑い状況での動作についての知見はあり、予測もしています。今は、この(極めて寒い)環境でテストする段階です」

スペクターの開発で重要なポジションにいるのが、マーティン・クリスティー氏。ロールス・ロイスのシニア・エンジニアとして、多くのモデルの最終調整に携わってきた経験を持っている。

電動化技術へ取り組む現在の同社について聞いてみた。「沢山のおもちゃを手にした、子供のようですね。実現できる内容には、呆れてしまうほどです」。と笑顔を浮かべる。快適性や静寂性、洗練性を目覚ましく高めることが可能なのだろう。

完全な沈黙に人間は我慢できない

スペクターの開発で技術者を悩ませていることの1つが、歩行者にクルマの接近を知らせるノイズ。ほぼ走行音を発しないため、後方から走ってくると気付かない可能性が高い。

従来からロールス・ロイスは静かで落ち着いていた。だが、内燃エンジンとエグゾーストが備わらない純EVのスペクターは、別次元といえる水準を獲得しようとしている。

車内を完全な沈黙状態にすることも可能だという。しかし、それが最適とも限らないようだ。同社技術者のミヒアル・アヨウビ氏が説明する。

「クルマのノイズの発生源には、エンジンやエグゾーストのほかに、気流や回転するタイヤなどがあります。純EVでも後者の2つは存在します。ノイズを残すか完全に消すか、顧客へ選択させることも可能ではあります」

「しかし、完全な沈黙に人間は長時間耐えることができません。ある程度の小さなノイズが必要です」

風切り音については、可能な限り低減させるエアロダイナミクス・パッケージを開発済みだという。ロードノイズも、タイヤの供給元と協議し調整を進めているそうだ。

「サプライヤーは、わたしたちとの仕事に嫌気が差していたようですが」。と冗談交じりにアヨウビが振り返る。要求は相当に高いのだろう。

「タイヤは道路とクルマを結ぶ唯一の接点。エネルギー効率やノイズ、安全性、動的能力など、膨大な仕事をこなす部品です。ロールス・ロイスが履くものとして、完璧であることが求められます」

ロールス・ロイスの純EV時代を切り拓く、スペクター。完成が楽しみでならない。

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