1996年に第1作が製作・公開されてから、今回で7本目となるトム・クルーズ主演による世界的大ヒット作品「ミッション:インポッシブル」シリーズ。その最新作「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」の見どころを、映画評論家の永田よしのり氏に紹介してもらおう。(Ⓒ2023 PARAMOUNT PICTURES.)
トム・クルーズ自ら演じるアクションシーンは必見!
今回はタイトルに「~ PART ONE」とあるように、物語は2024年公開予定の次回作「~ PART TWO」に続く大長編作品となっている。ちなみにタイトルの「デッドレコニング」とは「推測航法」という意味で、航行した経路や進んだ距離、起点などから過去や現在の位置を推定、その位置情報をもとにして行う航法のこと。まさに本作はさまざまな予想できない試練の中から敵組織に迫って行く、という意味がタイトルから表されているのだろう。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
そもそもが1967年から1973年まで米国で放送されていたテレビドラマ「スパイ大作戦」。当時から人気は高く、続編の「新スパイ大作戦」が1988年に制作・放送、日本でも1991年に放送された。一度聞けば耳に残るテーマ曲、諜報員たちに届けられる指令はテープによって届けられ「このテープは自動的に消滅する」の台詞を子供たちはいろいろなシチュエーションで真似したりしたもの。
そんな「スパイ大作戦」を現代風にアレンジし、トム・クルーズがIMF(インポッシブル ミッション フォース)のエージェント、イーサン・ハントとして主演。これまでのシリーズ6作品の全世界興行収入は35億ドル以上(BOX OFFICE MOJO 調べ)を稼ぎ出す大ヒットシリーズとなったのだ。
スパイ映画といえば「007」シリーズも双璧の作品だが、「ミッション:インポッシブル」シリーズはトム・クルーズのキャラクターもあり、「007」よりも快活でアクションシーンもド派手なのがポイント。しかもその苛酷で危険なアクションシーンもトム・クルーズ本人が望んで演じているのが驚嘆に値する。トム・クルーズ現在61歳、恐るべしだ。
世界各地で繰り広げられる攻防。もちろん、カーアクションも!
イーサン・ハントに課せられた今回の指令、それは全人類を脅かす新兵器を悪の組織の手に渡る前に見つけ出し確保する、というもの。そんなイーサンにIMF所属前の逃れられない過去を知る男が迫り、アブダビ、ローマ、ヴェネツィア、ノルウェーなど世界各地で命を賭けた攻防が繰り広げられることに。いかなる犠牲を払っても今回のミッションを成功させなければならないイーサン、仲間のためにもある決断を迫られることになるのだが・・・。
今回のアクションシーンの白眉は、断崖絶壁からオートバイで空中にダイビングする場面。このシーンを撮影するために1万3000回以上のオートバイ ジャンプ訓練、500回以上のスカイダイビング訓練、1年以上の期間をリハーサルに費やし、さらに本番では7回も撮影、ベストな映像をチョイスしたという。他にも、列車の上での敵との攻防、ビル群でのパラシュート降下、滑走する飛行機にしがみついたり、スカイダイビング、ヘリコプター落下シーン、ローマでのカーチェイスと、アクションシーンは連打されていく。
アクションに使用される車種も、BMW 5シリーズ、クラシカルなフィアット 500(それでもEVにコンバートされているようだ)、アルファロメオ アルファ159のパトカー、・・・などなど。日本車が登場しないなぁと思っていたら、じつはカーアクションを撮影するためにカメラを搭載して追走しているのが日産 GT-Rだそうだ。画面には登場しないが、メイキングシーンなどには写っているのかもしれない。
とにかくトム・クルーズが人生を賭けて撮影している本シリーズ。今作品を観るとすぐに「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO」の公開まで1年も待てない!と思う人が続出することは間違いないだろう。(文:映画評論家 永田よしのり)
「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」
●監督・脚本:クリストファー・マッカリー
●出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、レベッカ・ファーガソン、ほか
●配給:東和ピクチャーズ
●上映時間:164分
●2023年7月21日より公開中
Ⓒ2023 PARAMOUNT PICTURES.
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