現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ボルボ電動化の今 XC90/XC60/XC40 長距離試乗で探る

ここから本文です

ボルボ電動化の今 XC90/XC60/XC40 長距離試乗で探る

掲載 1
ボルボ電動化の今 XC90/XC60/XC40 長距離試乗で探る

数字で見るボルボの電動化

2020年末までに、日本で販売される全てのモデルの電動化を完了させたボルボ。その後も「リチャージ」と括られるPHEVの性能強化やBEVの販売拡大など、ゼロエミッションに向けてのたゆまぬ進化を続けている。

すべての画像をみる 全71枚

その甲斐もあってのことだろう、昨22年、SUVのXC60シリーズとXC90シリーズは共に導入以来最高の販売台数をマークしたという。

特にフラッグシップでもあるXC90は導入から7年になろうとするところでの記録更新だ。聞けばその全数のうち32%、ほぼ3台に1台がPHEVだという。

そして昨年4000台以上を販売したXC60も全数の20%がPHEVと、その割合は同級のライバルに比べると明確に高い。

今回はXC60のT6 AWDとXC90のT8 AWDという2台のPHEVを中心にXC40のMHEVとBEVを織り交ぜつつ、長時間/長距離を共にしながら、パワートレインが更新されたボルボのSUVの魅力を改めて探ってみた。

まずはボルボXC60に試乗

まず乗ったのはXC60だ。T6 AWDは登場当初、2l4気筒直噴ユニットにターボとスーパーチャージャーと過給器を2丁掛けにして320ps/400Nmのアウトプットを達成、それを旧ハルデックスカップリングを介した4WDで駆動するというオーソドックスな構成だった。

現在のT6 AWDは253ps/350Nmをマークする2L 4気筒直噴ターボに加えて、前側に52kW/165Nm、後ろ側に107kW/309Nmの電動モーターを配し、ドライブシャフトを持たない電動4WDを実現している。

駆動用のリチウムイオンバッテリーは直近のマイナーチェンジで18.8kWhに強化され、満充電からのBEV走行はWLTCモードで81kmと従来から2倍以上延伸された。

これだけの距離を刻むことができれば、平日の日常的用途をモーターのみでカバーすることはたやすいだろう。

XC60とXC90は同じスケーラブルアーキテクチャーを用いているが、走りのキャラクターは意外なほど異なっていて、ひと回り車格の小さいXC60の側は想像通り機敏さや快活さを押し出している。

が、今回試乗したXC60のグレードは最もスポーティなRデザインの後継的な位置づけも担うアルティメイトで、装着タイヤも大径の21インチを履くも、その乗り心地の洗練ぶりに感心させられた。

特にバネ下の大きさを持て余さない中高速域でのしなやかで高精度なフットワークは、プレミアムDセグメントのライバルの水準に照らしても、ほぼ見劣りがない。

快活という点においては後輪側モーターの駆動力が高まり、加速やハンドリングもその蹴り出しによって新たなキャラクターを得ている点が興味深い。旋回時のアンダーステアはほぼ感じられず、ゆっくりとアクセルを踏み増していくとじんわりとイン側に引き寄せられるような挙動が現れる辺りは、内燃機とモーターの共生による楽しさの可能性を感じさせてくれる。ちょっと雪道に誘われそうなドライバビリティだ。

XC90 変化を決めた旗印

対すればXC90の挙動は重さや大きさを感じさせるもので、その車格による据わりの良さにAWDらしいスタビリティも加わり、高速道路を淡々と走り続けるような使い方でその真価を発揮するのは従来どおりだ。

パワートレインはモーター及びバッテリーの構成がXC60 T6 AWDと一緒だが、2L 4気筒直噴ターボユニットの側が317psまでパワーが高められており、低中回転域を中心としたモーターの力強いアシストと相まって2.3tを超えるボディをストレスなく加速させる。満充電からのBEV走行はWLTCモードで78kmと、XC60 T6 AWDと大差はない。

どちらにしても、家や通勤先などの定置場所に普通充電器があれば、ガソリンを使わずとも日常生活をカバーする能力を有している。

XC90の美点はきちんと使える3列シートを有する真面目なパッケージングにも現れている。内装の仕立てや質感はさすがに目慣れた感があるが、目的なき変化は良しとしないところもまたボルボの良心でもある。

ポールスターのようにスピンアウトしたブランドに革新を託すなら、ボルボの軸足はオーセンティックの側にあるということなのだろう。

先に発表されたBEVのEX90にもそんな意向は感じられる。一方で、変わると決めた時には徹底的にやるのもボルボの凄さで、その旗印となってきたのが現世代のXC90でもあるわけだ。

キャラクター強調 XC40

XC40は現在のボルボのSUVラインナップでは最も若く、最もアグレッシブに変節を遂げてきたモデルでもある。現在のラインナップは48V MHEVがシングルモーターのB3とツインモーターAWDのB4。そしてBEVがシングルモーターFFとツインモーターAWDが用意されているが、BEVは24年型からリア置きシングルモーターの後輪駆動となるため、現在のラインナップは在庫販売のみとなるようだ。

今回はMHEVもBEVも共にツインモーターの側を試乗したが、150kW(204ps)/330Nmのアウトプットを持つモーターを前後に2丁掛けするBEVの動力性能はさすがに強烈で、0-100km/h加速5秒切りという発表値以上の猛進ぶりを思わせる。ちょっとエクストリーム的な速さだ。

他社に先駆けてBEVへの置き換えを宣言しているボルボとしては、やれることをみせておきたいという可能性を強調するようなキャラクターに躾けたのだろう。

この速さを破綻なく躾けてある辺りは見識を感じるが、恐らく24年型からのシングルモーターでもまったく不足なく日常をカバーしてくれるはずだ。

3車に共通して感心したこと

今回、ボルボのSUVで長い時間を過ごして、共通して感心したことが2つある。1つはインフォテインメントのベースに採用されたアンドロイドOSだ。

いわずもがな、グーグルのプラットフォームを担うそれは、「OKグーグル」のボイスコマンドと共に音楽の再生やナビの目的地設定など、主要なコマンドがかなりの確度で反映される。

メルセデスやBMW、レクサスなど対話型AIをベースにしたシステムを独自構築するブランドもあるが、やはり分母に乗じたグーグルのそれは洗練度が一枚上手だ。

もう1つはシートの掛け心地の良さだ。最上級のXC90は言うに及ばずだが、それに準ずるホールド感や体圧分布などの勘どころをXC40でもきちんと反映できているところが立派だ。

2日間、朝から夕方までほぼ運転し通しの頭や体がピンシャンしていたのは、振り返るとこのデジタルとアナログの2点によるストレスフリー環境が大きかったように思う。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

セゾン自動車火災保険、迅速に保険金支払いへ…クラウド版「ClaimCenter」日本初導入
セゾン自動車火災保険、迅速に保険金支払いへ…クラウド版「ClaimCenter」日本初導入
レスポンス
ホンダ、中国で失速生産能力3割減、日産は北米不振で営業益99%減[新聞ウォッチ]
ホンダ、中国で失速生産能力3割減、日産は北米不振で営業益99%減[新聞ウォッチ]
レスポンス
なぜ「軽で白ナンバー」付けられた? 100万台装着のオリンピックナンバーの現状は? 9割が軽も「万博ナンバー」では変化あり?
なぜ「軽で白ナンバー」付けられた? 100万台装着のオリンピックナンバーの現状は? 9割が軽も「万博ナンバー」では変化あり?
くるまのニュース
いつでもオシャレをしていたい! 教習所はカラコンOKなの?
いつでもオシャレをしていたい! 教習所はカラコンOKなの?
バイクのニュース
【新車価格情報】輸入車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年7月20日時点
【新車価格情報】輸入車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年7月20日時点
カー・アンド・ドライバー
レクサスIS 後継は『HZ』!? 1020hpのトリプルモーターBEVセダン登場へ!
レクサスIS 後継は『HZ』!? 1020hpのトリプルモーターBEVセダン登場へ!
レスポンス
「グランツーリスモ7」大幅アップデートでクルマがよりリアルで躍動感ある動きに! ミシュランタイヤも忠実に再現!
「グランツーリスモ7」大幅アップデートでクルマがよりリアルで躍動感ある動きに! ミシュランタイヤも忠実に再現!
くるまのニュース
スズキが新型「スペーシアギア」初公開! 丸目ライト×縦グリルの“ジムニー顔”で登場! アウトドア仕様の内装がスゴい!
スズキが新型「スペーシアギア」初公開! 丸目ライト×縦グリルの“ジムニー顔”で登場! アウトドア仕様の内装がスゴい!
くるまのニュース
コンチネンタル、ソフト定義自動車や自動運転の最新技術発表へ…IAAトランスポーテーション2024
コンチネンタル、ソフト定義自動車や自動運転の最新技術発表へ…IAAトランスポーテーション2024
レスポンス
BMWジャパン、EVステーションワゴン「i5ツーリング」を披露 小澤征悦さんがオリジナル曲を演奏
BMWジャパン、EVステーションワゴン「i5ツーリング」を披露 小澤征悦さんがオリジナル曲を演奏
日刊自動車新聞
911の進化はとどまるところを知らない!パフォーマンスハイブリッドを搭載した「ポルシェ 911 GTS」の走りは?
911の進化はとどまるところを知らない!パフォーマンスハイブリッドを搭載した「ポルシェ 911 GTS」の走りは?
AutoBild Japan
名古屋~高崎が最短ルートに!? 長野の“山岳地帯”つらぬく新高速道路「上田諏訪連絡道路」のすごさとは 「地味に遠回り」解消図る超短絡路
名古屋~高崎が最短ルートに!? 長野の“山岳地帯”つらぬく新高速道路「上田諏訪連絡道路」のすごさとは 「地味に遠回り」解消図る超短絡路
くるまのニュース
小学生からEV技術者育成へ、日産が英国に世界的な訓練施設を建設
小学生からEV技術者育成へ、日産が英国に世界的な訓練施設を建設
レスポンス
「飛葉ちゃんのCB750FOUR」が青島文化教材社から1/12スケールのプラモデルで2024年11月発売予定!
「飛葉ちゃんのCB750FOUR」が青島文化教材社から1/12スケールのプラモデルで2024年11月発売予定!
モーサイ
昔じゃ考えられない「長期の夏季休暇」を設定する新車ディーラー! 最大10連休なんて店もあるが裏で苦悩するディーラマンもいる
昔じゃ考えられない「長期の夏季休暇」を設定する新車ディーラー! 最大10連休なんて店もあるが裏で苦悩するディーラマンもいる
WEB CARTOP
トヨタが「新たなクラウン」を初公開! 話題の「エステート」はどうなる? SUVやセダン以外のモデル登場は? クラウン群の行方とは
トヨタが「新たなクラウン」を初公開! 話題の「エステート」はどうなる? SUVやセダン以外のモデル登場は? クラウン群の行方とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」マフラーから白煙の原因を排気ポートから診断!
カワサキ「Z2」マフラーから白煙の原因を排気ポートから診断!
バイクのニュース
サーブ 9-3Xは派手さはないが、よくできたクロスオーバーSUVだった【10年ひと昔の新車】
サーブ 9-3Xは派手さはないが、よくできたクロスオーバーSUVだった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

1件
  • 単位統一しろよ
    出力がpsとKWあってよくわからん
    ISOではエンジン出力表記の標準はKWだろ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

924.01039.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.01115.5万円

中古車を検索
XC90の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

924.01039.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.01115.5万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村