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航続距離は500km!?新型BEV「bZ4X」にトヨタの本気を見た!

掲載 更新 83
航続距離は500km!?新型BEV「bZ4X」にトヨタの本気を見た!

世界的には遅れていたようにも見えた、自動車界の巨人、トヨタのBEV(バッテリーEV=電気自動車)戦略がいよいよ幕を開けた。TVCFでも公開されているように、トヨタは2030年までに30車種におよぶBEVを市場に投入すると宣言している。そしてその第一弾が、2020年年頭の箱根駅伝に突如、登場して大きな話題を呼んだ、スバルとの協業から誕生したトヨタbZ4X(スバル版はソルテラ)だ。すでに袖ヶ浦レースウェイでのプロトタイプの試乗を終えているが、まずはトヨタbZ4Xの概要を、今知る限りの情報を元に紹介したい。

見ての通りのSUVのカテゴリーに属するbZ4Xは、スバルと新規共同開発したBEV専用プラットフォームを採用する。ボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1600mm。ホイールベース2850mm。比較的近いトヨタのSUVであるRAV4と比較すれば、全長で+95mm、全幅で+20mm、全高は-60mm。ホイールベースが+160mmと、長く、幅広く、しかし全高を抑えたパッケージングとなる。トヨタBEVの第一弾を、セダンでもワゴンでもミニバンでもないSUVとしたのは、SUVが世界的に今、もっともブレークしているジャンルであることが大きく、またクルマの構造から、床下にバッテリーを敷き詰めやすいからでもあるという。

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BEV性能の要となるバッテリーは、トヨタとパナソニックの協業によるプライム プラネット エナジー&ソリューションズ製(サプライヤー)である。つまり、自前ということになり、そのぶん、供給はもちろん、設計など、多くの部分で有利に働くことは間違いないところ。bZ4X用としては、新開発大型バッテリーセルを用い、リチウムイオンバッテリーは電池セル数96個、定格電圧355.2V、電池容量201Ah、総電力量71.4kWhとされている。低重心化の実現はもちろんのこと、安全性や冷却、そして10年後に90%を目標とする世界トップレベルの電池容量維持率などに徹底的にこだわっている点も注目ポイントだ。航続距離は500km程度と予想。開発陣に聞くと、WLTCモードの約80%の実走行距離を目指しているというから、1充電で約400km、東京~軽井沢の往復が無充電で可能になるかも知れない。

また、モーター、トランスアクセル、インバーターを完全に一体化したコンパクト構造も見どころ。フロントユニットは前後方向が410mmと短く、リヤユニットは高さが303mmと低く、ただでさえロングホイールベースが生み出す室内空間の拡大に寄与している。

堂々感あるSUVらしくも、未来感と空力にもこだわったエクステリアの内側は、薄型化されたインパネ、バスタブのような空間演出によって、想像以上に広々とした先進感溢れる空間だ。ドライバーからすれば遠い位置にある独立したフードレスのトップマウントメーター、大型センターディスプレイ、幅広のセンターコンソール、そしてパノラミックな前方視界が特徴的だが、モーターショーの参考出品車で注目されたワンモーショングリップ&ステアバイワイヤと呼ばれる操縦桿のようなステアリングは不採用。まずは中国向けで、日本を含むその他の市場は順次、装着車を設定する、とのことだ(残念!!)。現時点の日本仕様は、フツーの円形ステアリングとなる。



BEVにとって冬の寒さは大敵だ。なぜなら、ヒーターこそが、バッテリー消費に大きな負担をかけるからである。従来のBEVに乗るユーザーが、冬、ヒーターを使わず、厚着して乗車していたりするのは、その苦肉の解決策だったのである。

が、このbZ4Xでは、ECO switchにより、シートヒーター、ステアリングヒーター、空調吹き出し温度、風量を自動でコントロールして乗員の周囲のみを省電力で暖める制御を採用。さらに輻射ヒーターによって無風・無音の遠赤外線暖房まで用意。下肢部分を効率的に温めてくれる機能も持ち合わせる。つまり、暖房によるバッテリーの消費を最小限に抑えてくれるというわけだ。なお、トヨタのbZ4Xとスバルのソルテラでは、前後席のシートヒーターの電熱部位が微妙に異なることが判明している。

bZ4XはBEVであると同時に、SUVでもある。駆動方式は1モーターの前輪駆動=2WD、前後2モーターの四輪駆動=4WDを揃えているが、最低地上高は本格的な200mmとされていて、走破性にも特化したBEVということになる。ここで気になるのは、AWD(オールホイールドライブ)で世界的に名をはせるスバルとの協業によるメリットだ。ズバリ、それはスバルのAWD技術のひとつ、X-MODEの搭載に表れている。X-MODEは雪道や雲泥路といった悪路で空転したブレーキをつまむことで脱出性能を高める機能で、モードとしてはスバル車でおなじみの2モードを採用。つまりSNOW/DIRT、DEEPSNOW/MUDとなる。しかしbZ4X、スバルのソルテラでは、その基本機能に加え、新開発制御のGrip Controlを用意する。滑りやすい登坂路、下り坂で、センターコンソール前端にあるX-MODEスイッチ、およびその右隣りの+-のスイッチを操作することで、2/4/6/8/10km/hの一定速度を維持してくれるのだ。よって、アクセル、ブレーキペダル操作なしに、安全な一定速度でステアリング操作に集中できることになる。

無論、日常、オンロードでも威力を発揮してくれる走行性能として、回生ブーストが用意されている。アクセルペダルを緩めるだけで回生ブレーキによる減速度を増大させ、減速してくれる、いわゆるワンペダル機能である。車両の減速において、実走行の80km/h以下では約80%をアクセル操作でカバーできるというトヨタの調査もあるぐらいで、電動車ならではの機能、制御が使えることになる。

bZ4XはSUVであり、長い航続距離を生かし、アウトドアなどの楽しみを増幅してくれる移動手段となりうることから、フロアボードを上下2段に置き換えられるラゲッジスペースの容量も気になるところ。実車での計測では、開口部地上高720mm(開口部段差なし)、フロア奥行き975mm、フロア幅970~1440mm、天井高775~825mm(フロアボード位置による)。床下収納あり・・・ということになる。

RAV4が同665mm(開口部段差なし)、1020mm、1150~1345mm、805mm((フロアボード位置による)という関係だから、全長、ホイールベースが短いRAV4のほうがやや広いラゲッジスペースを持つことになる。これには理由があって、クロスカントリーテイストを強めた現行RAV4の場合、その使われ方から、後席居住スペースよりラゲッジスペースを優先したパッケージングになっているからだ。では、bZ4Xの後席居住性はどうかといえば・・・それは次回、サーキットにおける2WD/4WDの試乗記とともに報告させていただきたい。

文/青山尚暉
写真/トヨタ・青山尚暉

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みんなのコメント

83件
  • 航続距離・性能・デザインと、素晴らしい出来栄えだと思う。ただ、600万円超えは庶民にとってはちょっと高く、なんとかもう少し価格をおさえてほしい。 
  • どうして日本の自動車評論家はヒョンデのEVばかり取り上げて日本のEVはまともに取り上げないのか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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