<完全自動運転に向けエンジニア1200名態勢を整えたトヨタ>
2021年4月、AIや自動運転などの次世代事業を担うトヨタのウーブン・プラネット・ホールディングスが590億円の大型買収案件を発表して話題となりました。
買収先は北米でライドシェア事業などを展開するLyft(リフト)社の自動運転部門である「Level 5(レベル5)」。これにより、アメリカで実績のあるトヨタの自動運転部門のTRI(トヨタ・リサーチ・インスティチュート)と合わせて1200名規模の経験豊富な自動運転関連エンジニアによるドリームチームが生まれたとトヨタはアピールしています。
ちなみに、社名でもある“レベル5”とは自動運転の区分においてゴールとなる「完全な自動運転」を実現していることを意味します。はたして、レベル2相当の運転支援システム(「レクサス LS」と「ミライ」に設定されたアドバンスドドライブ)を出したばかりのトヨタが、近い将来に自動運転レベル5を実現することは可能なのでしょうか?
<レベル5とはすべての条件下で運転を任せられること>
あらためて、自動運転に関する現状を整理してみましょう。自動運転レベル5はすべての条件下でシステムに運転操作を任せられる自動運転テクノロジーのことで、完全自動運転と呼ばれることもあります。
たとえば、現時点でホンダだけが量産車に搭載している“自動運転レベル3”は条件付自動運転と呼ばれ、自動運転が可能な条件を外れたときには、即座にドライバーが運転を引き継げるよう待機していないといけません。
レジェンドの自動運転レベル3は「高速道路の同一車線で50km/h以下の渋滞中」という条件でのみ作動します。実用的にはかなり限定されていますが、まずは自動運転レベル3の条件範囲を広げることが、完全自動運転につながると考えているわけです。
<レベル4からレベル5ではなく、レベル3からレベル5になる>
なぜ自動運転レベル3からレベル5へつながると考えられているかといえば、自動運転レベル4というのは特定の環境における別の自動運転テクノロジーとして進化しているからです。
トヨタも東京オリンピック・パラリンピックの選手村で「e-Pallet(イーパレット)」と名付けた小型EVバスを運用することを発表していますが、これは典型的な自動運転レベル4の乗り物で、エリアを限定したコミューターとして進化すると考えられているのです。
イーパレットは基本的に事前の計画通りに走行し、管理センターからの遠隔操作による緊急停止も考慮して運用されます。こうした内容からも、公道を自由自在に走る現在のマイカーに代わるレベル5の乗り物と、レベル4の乗り物は異なるものと考えるのが妥当です。トヨタが自動運転レベル4のモビリティを実用化しても、そのままレベル5に進めるかといえば答えはノーで、高速道路や一般道といった複雑な混合交通の中で自動運転を実現するためには、ひとつ下のレベル3的なアプローチでの知見が必要なのです。
<社会が自動運転を受け入れる土壌づくりがカギ>
トヨタが市販化したLSやミライのレベル2技術(前述のアドバンスドドライブ)は、ようやく運転支援システム(レベル0~レベル2の範囲)の最上級に到達したという段階です。ということは、今回1200名のドリームチームを結成したといっても、一足飛びに完全自動運転の実現というのは難しいでしょう。
トヨタにとっては、まず自動運転レベル3の量産が重要なはずです。自動運転実現のためにもっとも重要なのは、テクノロジーの進化でも、法整備でもなく、社会受容性という意見もあります。いくら技術が進んでも大衆に受け入れられないと普及は難しいのです。
トヨタという安心・信頼を象徴するブランドが自動運転レベル3を実現し、その作動範囲を徐々に広げて、自動運転を受け入れる社会的な土壌がつくられることが、完全自動運転の実現に必要なのです。
そう考えると、自動運転レベル5のロードマップは技術的な要素だけでは描けないことがわかります。現時点での社会受容性を考慮すると、完全自動運の実現はかなり難しいと考えるのが妥当なのかもしれません。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
写真:トヨタ、Lyft Level5
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自社で出来ないなら、出来る所を買収すればいいのさ、と