フェラーリの業績が絶好調だ。2022年上半期の総売上高は前年同期比21%増の24億7700万ユーロ(約3538億円)、総生産台数は前年同期比23%増の6706台。2年連続で前年実績を上回る成績を挙げている。
なぜフェラーリの最近の業績がここまで好調なのか? モータージャーナリストの西川淳氏が分析する。好調の背景には、ガソリンエンジンモデルへの旺盛な需要だけではない要因があった!
フェラーリがコロナ禍でも絶好調! やっぱり魅惑のガソリンエンジンが牽引?
本文/西川 淳、写真/フェラーリ、ベストカー編集部
■フェラーリの業績絶好調! ミドシップスポーツカーが牽引
V8ガソリンエンジンモデルがフェラーリの好調を支える。写真は2019年11月に発表されたFRクーペ「ローマ」。価格は2682万円
2022年上半期。多くのジェネラルブランドが販売台数を減らすなか、ハイエンドブランドの好調ぶりが大いに目を引く。ロールスロイスやベントレー、ランボルギーニといった超高級ブランドが軒並み前年同時期を上回る成績を挙げ、営業利益でも過去最高を記録するブランドが相次いだ。
なかにはジャーマンプレミアム御三家(アウディ、BMW、M・ベンツ)のように台数こそ減らしたものの利益で前年実績を上回ったブランドも多くあり、このあたり、コスト削減や生産量減少による値引き減少はもちろんのこと、グループの抱える高級ブランドが好調であったことや、高収益な上位モデルやSUVへの積極的な生産移行などが功を奏したと言っていい。
要するに“高いクルマだけが売れに売れた”。そんな今年の上半期を象徴する出来事が、フェラーリの超好業績だ。総生産台数は2年連続で前年同期比プラスとなり、その数値も前年比23%増と、経営者としては笑いが止まらない状況だろう。
車種別での実績では、ハイブリッドシステムを積んだ新型車の登場もさることながら、ローマやポルトフィーノMといったFRのGTスポーツモデルやF8シリーズといったミドシップスポーツカーが牽引しており、この表層的な現象だけを見ると、フェラーリの好業績はV8ガソリンエンジンモデルの人気が支えており、純内燃機関モデルが最後の華を咲かせているようにも見えることだろう。
けれども、それはあまりに短絡的な見方であると言わざるを得ない。なぜならフェラーリのようなハイエンドブランドの生産計画は数年前から決まっており、顧客のオーダーもそれとほとんど同時に入っている。会社としてはその計画に応じて粛々と生産しているだけで、増産は基本的にできないし、よほどの事態が起きないかぎり減産もない。
(ジェネラルブランドとは違って)世界的な半導体不足がこの手のハイエンドブランドにさほど影響を与えなかったのは、もちろん高価ゆえにコスト増にも耐えうるという側面もあったが、そもそも生産台数が極めて少なく(多くても年間1万~1.5万台)、計画的であったからに過ぎない。
もちろん、電動化が本格的に始まる前のピュアな内燃機関モデルへの旺盛な需要が数年前から起きていたという事実からすると、結果的にガソリンエンジンモデルがフェラーリの今の好業績を支えていると言うことはできる。
■ガソリンモデル人気だけではない好調の要因とは?
電動モデルも売れゆき好調なフェラーリ。ブランド初となるSUV「プロサングエ」についてもハイブリッドグレードの人気は高い
けれども注目すべきは日本市場でもデリバリーのはじまったプラグインハイブリッドの296GTB&GTSは既存のガソリンモデル以上の人気を博しており、すでに納車まで1、2年待ちという状況だ。9月にデビューするマラネッロ初のSUVについても初期のガソリングレードはもちろんのこと、その先のハイブリッドグレードまで全世界からのオーダーが舞い込んでいて、新規オーダーも難しい状況にあるという。
マラネッロは来年以降も続々とニューモデルを投入する予定で、その数は26年までに15モデル! 販売台数のうち6割は電動モデル(ハイブリッドおよびEV)で内燃機関も4割あると言うから、ガソリンモデルが特に人気を博しているとは言い難い。つまり、フェラーリは電動化の進むこれからも売れ続ける。
ミクロに見ても、数年前の時点でまだ見ぬ存在だった296シリーズやSUVといった新型車を手に入れるために、まずはポルトフィーノやF8を手に入れておく必要があった、と言う顧客も多い。ガソリンモデルがどうしても欲しかった、と言う方も中にはいらっしゃっただろうが、その先の電動跳ね馬はもう要らないと彼らが思っているかというと、そういうことでもなさうだ。
今後はハイエンドブランドの電動化も一層進んでいく。フェラーリもランボルギーニもフルバッテリー駆動のEVを25年代には市場へと投入すると宣言ずみだ。そのプロセスにおいて、今、デリバリーされている最新モデルを含む過去の純ガソリンエンジン搭載車へのノスタルジーがさらに高まり、価値が上昇する可能性はもちろん高い。
けれどもそのことと、フェラーリの最新の業績が好調であることとは必ずしもリンクしないと思う。今となっては用意周到なマーケティングプランのもと、最後の内燃機関から電動化への道筋を歩んできたブランド戦略の勝利、というべきだろう。純ガソリンモデルであるかどうか、ではなく、フェラーリだから売れている。
背景には、世界の混沌がいっそう深まっていくという状況のなか、貧富の差は広がったというよりかは以前に比べて顕在化し、人々の行動が制限されるなかでひとつの有効で確実な“お金の使い道”としての高級車マーケットが潤っているという状況もあった。
いつなんどき、この活況に終止符が打たれるともかぎらない。けれどもそれまではフェラーリを筆頭とするハイエンド・ラグジュアリーカービジネスは大いに潤い続けると言っていいだろう。
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