予期しないだけに、けっこう焦る!?
バイクを運転中、停止状態から発進してシフトアップしていったら、エンジンが大きく空回りしてまったく加速しない症状に見舞われる時があります。突然の出来事に「もしかしてエンジン壊れた!?」とかなり焦りますが、これは「ギア抜け」という現象です。
【画像】これが「常時噛合式」のトランスミッションです! 画像で見る
ギア抜けはどちらかと言うとシフトアップ時に起こりやすいですが、シフトダウンした時になることもあります。
まるでニュートラルに入れたような状態になりますが、もちろん1速→2速のシフトアップではなく、それ以外のギアチェンジの際に起こりますが、いったい何が起こっているのでしょうか?
常に噛み合っているハズなのに、何が抜けるの?
MT(マニュアルトランスミッション)のバイクの変速機の多くは「常時噛合式(じょうじこうごうしき)」という構造です。たとえば6段変速のバイクの場合は6組の変速ギアが常に噛み合った状態で回転しています。
「常にギアが噛み合っているなら、そもそも何が抜けるの?」とも感じますが、ギア抜けはシフトアップなどの変速時に起こります。
ということで、常時噛合式トランスミッションの変速する仕組みを考えて見ましょう。
構造図を見るだけで頭が痛くなりそうですが……前述したように6セットの変速ギアが噛み合っていて、ギアには「軸に固定されたギア」、「軸に固定されずフリーに回転するギア」、「軸に噛み合っていてスライドするギア」の3種類があります。
そのため、クランクシャフトからクラッチを介して伝わるエンジンの回転は、1セットの変速ギアを経てドライブスプロケットに伝わり、その他の5セットの変速ギアは空回りしています。
構造図はニュートラルの状態ですが、たとえばアウトプットシャフトの4速のギアを右側にスライドして、ギアの側面のドッグがアウトプットシャフト側の1速ギアと噛み合うと、「インプットシャフトの1速ギア→アウトプットシャフトの1速ギア→アウトプットシャフトの4速ギア」という経路が出来て、1速の変速比でドライブスプロケットが回転します。
そして2速にシフトアップするには、1速の時にスライドさせたアウトプットシャフト側の4速ギアを元の位置に戻しつつ、アウトプットシャフト側の6速ギアを左にスライドさせて、アウトプットシャフト側の2速ギアにドッグを噛み合わせます。
すると「インプットシャフトの2速ギア→アウトプットシャフトの2速ギア→アウトプットシャフトの6速ギア」という経路になって、ドライブスプロケットが2速の変速比で回転するわけです。
ドッグが噛み合わないのが「ギア抜け」
……どうでしょう? 常時噛合式トランスミッションの仕組みはかなり難解と思われますが、変速の際にギアが軸上をスライドして、ギアの側面のドッグと呼ばれる突起が隣のギアのドッグ孔に嵌まったり、もしくはドッグ同士が噛み合うことでエンジンの回転が伝わっていく、ということが分かれば十分です。
そして本題の「ギア抜け」ですが、これは主にライダーのシフトペダルの操作が不完全なために発生します。
シフトペダルを操作すると、シフトドラムが回転して、ドラムに刻んだ溝に沿ってシフトフォークが動き、ギアをスライドさせます。
そしてギアの側面のドッグが、隣のギアのドッグ孔にキチンと嵌まることで、ギアチェンジが完了します。
ところが、ギアが完全にスライドする前にシフトペダルをツマ先でかき上げる(もしくは踏み下げる)操作を止めてしまうと、ドッグが嵌まらずに(隣り合ったギア同士が噛み合わずに)空回りしてしまいます。
するとニュートラルの時と同様に、すべてのギアが空回りする「ギア抜け」の状態になるため、アクセルを開けるとブワ~ンッ! と激しい空ブカシになるわけです。
「ギア抜け」を防ぐには?
常時噛合式トランスミッションの変速の仕組みを知ると、ギア抜けを防ぐには「丁寧なギアチェンジの操作が大切」ということが理解できると思います。
中でもシフトペダルの操作が重要で、「ギアをスライド→ドッグが嵌まる」という2段階のプロセスをしっかり完了するまで、ツマ先の力を抜かずに操作しましょう。
ポンッと蹴り上げるのはNGで(ギアはスライドするがドッグが嵌まっていない=ギア抜け)、「カッ、チャン」とダブルアクションで押し上げ(踏み下げ)るのが良いでしょう。
近年のバイクのトランスミッションは、ドッグの形状や材質の進化によって、かなりギア抜けしにくくなっています。とはいえシフトペダル操作を丁寧に行なわないと、ギア抜けを起こさなくても、シフトフォークやギアのドッグ部分などに大きな負荷がかかり、徐々に傷んでいきます(摩耗や欠損など)。
これらの部品の傷みが進むと、相応にキチンとシフトペダルの操作を行なっても頻繁にギア抜けが起こるようになってしまいます。
というワケで、「操作ミス」から「故障」に発展しないように、丁寧な操作を心掛けましょう。
そして旧車や走行距離の長い中古車の中には、変速機構が傷んでしまったためにギア抜けしやすい車両も少なからずあります。修理(傷んだパーツを交換)するには、車種によっては車体からエンジンを降ろしたうえで、ほぼ全バラに分解する必要があり、かなり費用がかかります。これは信頼できるショップで、購入前にキチンと確認するのが得策です。
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みんなのコメント
でもそれより発進から2速へ上げたと思ったらNだった事の方が圧倒的に多い。乗り始めの頃はブィーンとアクセル回しちゃってたけど、今となってはシフトアップの感覚で「あ、これNだ」ってわかりますね