「他人の目を気にしてクルマを選ぶなんてバカバカしい!!」なんて人もいるだろう。でも、「ふ~ん」と受け流されてしまうようなクルマよりは、「おおっ」と思われるクルマに乗っていたほうが嬉しくはないだろうか? いや、嬉しいに決まっている!!
なんてことを考えるなか、著者がつい先日、アラフォー世代が集まる同窓会に参加。男女ともに参加者はほぼクルマに興味なしの面子。しかし、そんな彼らだってクルマには乗っている。ということで、彼らが会場に乗りつけたクルマ(ノンアル派のクルマのみになってしまったが)のなかで「おおーっ」と注目を集めた(ネタになっていた)クルマの傾向をチェックしつつ、迷惑を顧みずどんなクルマを「かっこいい」と思うかについて深堀りしてみた!
ハッタリ上等! お値段以上!! クルマ好きじゃない人たちの琴線にも触れまくるクルマたち
実は「自分のクルマが他者からどう見られているかが気になる」と密かに思っている人に参考にしていただきたい。
文/藤原鉄二、写真/ダイハツ、トヨタ、日産、ビー・エム・ダブリュー ジャパン、マツダ、メルセデス・ベンツ日本
高いやつじゃなく「高そう」なやつでいいんです
女性人気が高かったMAZDA3 SEDAN。落ち着いた雰囲気のセダンのほうが「高そう」というイメージは抱きやすいのかも。15Sなら228万8000円
クルマ好きではない一般の人たちはぶっちゃけクルマの価格なんてまったく知らない。要は「高い」ではなく「高そう」であれば、実際は高かろうが安かろうが、さらには新車だろうが中古車だろうが、旧モデルであろうが、そんなことはまったく関係ないのだ。
実際、同窓会当日、偶然にも国産車の新型と旧型が駐車場に並んでいた。名前は伏せるがフルモデルチェンジで大きく見た目が変わったクルマ。さらにグレードも新型のほうが上だった。
しかし、みんな新型ではなく旧型に乗っている人物のほうに「いいクルマ乗ってんじゃん」「景気いいねー」と……。つまり、新型より旧型のほうが「高く」見えたらしい。そう、ハッタリをきかせたり、見栄を張りたいだけなら「高い」ではなく「高そう」なクルマでいいのだと実感。
ちなみに、クルマをまったく知らない人ほど、セダンやクーペのほうが「高そう」と感じている傾向が強かった。絶滅危惧種とは言われつつも、セダンやクーペボディの安定感は抜群。Z世代と言われる若い世代は少々異なるかもしれないが、アラフォー世代には下手なスポーツカーよりも「高そう」に見えるらしい。
お薦め1「MAZDA3 SEDAN」
「世界一美しいクルマ」を受賞したデザインの威力は満点! クルマを知らない人たちには直感的に「高そう」と感じるらしい。当日、MAZDA3 SEDANオーナー(女性)がいたのだが、けっこうワーキャー言われていた。
MAZDA3 SEDANは中古車なら100万円台から程度の良いものがたくさんそろっている、さらに、新車でも15Sなら228万8000円で買えてしまうのは嬉しい!! それも税込み。モデル末期ということを鑑みてもこれはお買い得。
オーナーは新車購入だったが、価格以上に高級車に見られると語っていた。「オヤジ臭くないファミリーカーって感じ」との感想も。ファミリーカーって……とちょっと悲しくなるが。
お薦め2「日産 スカイライン」
圧倒的安定感。知名度はもちろんだが、フロントフェイスの押し出しの強さもピカイチ! クルマを知らない人でもスカイラインの名は知っている。さらに中古車なら200万円代のものがわんさかある。これほどコストパフォーマンスならぬ、ハッタリパフォーマンスの高いクルマがあるだろうか!
ちなみに、その昔、中古ながらGT-RのR34をハアハアしながら頑張って買ったことがあるという男性が1名。彼によると、もはやGT-Rは価格的に殿上人。スカイライン400Rの中古なら中古なら頑張ってイケそうな気がすると、中古車サイトを探っている最中とのことだった。
たしかに、400Rの新車価格は500万円オーバーだが、中古車市場では300万円代のものも出回っている。これも買いなのでは?
デカさは正義らしい!?
2020年8月にマイナーチェンジを迎えたハイラックス。347万1000円~387万6000円と新車価格は多少高めではあるが、クルマを知らない人にとってはピックアップトラックの迫力は格別のようだ
今回の同窓会ではフォード エクスプローラースポーツトラックで乗りつけてきた女性が。ダンナさんがモトクロスバイク好きだからというのが選択の理由。すると会場は大盛り上がり。特に女性陣は「すごい」「かっこいい」と大絶賛。自分ではそんな大きいクルマは怖くて運転できないけれど、高そうでうらやましいという感想も。
実際は、中古で250万円くらいで手に入れたという。人間は大きなものに畏敬の念を抱くものなのだ……。
しかし、デカいクルマは燃費が悪い、自動車税が高いなど、ランニングコストの悪さが大きなデメリット。今回のフォードスポーツトラックオーナーも、1ナンバーで高速割引がない、1年車検であったのが難ありで、つい最近デリカD:5に乗り替えたとか……。
お薦め1「トヨタ ハイラックス」
激減しているピックアップだが、逆にクルマを知らない人たちにとっては新鮮。押し出しの強さゆえ「すごいクルマに乗っている!」と直感的に思わせるパワーがある。ただし、ハイラックスの場合は中古車でも300万円後半からの価格帯が多く、少しお財布には厳しいか……。
お薦め2「トヨタ ハリアー」
モデルチェンジ以降、ワイド&ローのフォルムがさらに強調され、ハリアーはこれまで以上に高級車の匂いがプンプンするクルマに。トップグレードは600万円超とお高いが、ガソリン車のエントリーモデルのSなら税込みでも312万8000円と、見た目の高級感のわりにはお買い得。
中古車は300円超のものが多数とかなり高めで推移している現状を考えると、Sを新車で手に入れるというのがハッタリ重視ならベストな選択か!?
ブランド力最強の「ベンツ」「ビーエム」
2019年にフルモデルチェンジとなったメルセデスベンツBクラス。1.4リッターのコンパクトカーではあるが押し出しの強さは十分。400万円代で最強のブランド力をいかんなく発揮できる!
「ベンツ」「BMW」のブランド力は絶大。この2ブランドはクルマを知らない人でもパッと見ただけで「あっ、ビーエムじゃ~ん。稼いでるー」みたいなノリで、オーナーは会話の中心人物になってしまうのだ。
もちろん、ポルシェも破壊力満点と思いきや、ちょっとパワーがありすぎ!? もちろん、今回に限ってのことかもしれないが。クルマを知らない人にとってはものすごく高いクルマと、「ものすごく」がついてしまうらしい。中古車市場では、そこそこの年式のものがベンツやBMW並みの価格で手に入るのだが……。
「ポルシェとかフェラーリとかはなんか引くかなぁ」「ねたみ100%なんだけど、なんか嫌味な感じがしちゃうかも」という辛辣な意見も。ブランド力といってもほどほどがいいようだ。
お薦め1「メルセデス・ベンツBクラス」
日本での人気が高いのはCクラス。走行距離短めで200万円代から程度の良いものが多く出回っている。
しかし、ここで推したいのはBクラス。コンパクトカーとミニバンの中間のような存在で、コンパクトで実用性も高い、まるで一般的なファミリーカー。にもかかわらず、フロントグリルにはメルセデス・ベンツのエンブレムが燦然と輝く! 控えめながらハッタリもきく。中古車の相場も150万円~250万円と手頃なのも嬉しい。
お薦め2「BMW3シリーズ」
クルマ好きにとっては面白味を感じないかもしれないが、中古車では程度が良いものが多く流通している3シリーズは、やはり買い! 中古車市場では300万円後半~400万円代のものが多めと、車格が違うので当然ではあるがメルセデスベンツBクラスと比較すると少しお高め。ただし、女性ウケは抜群。見栄がはれるハッタリカーとしてのコスパは最上級なモデルだ。
新車が欲しいなら、コンパクトカーの1シリーズもお薦め。新車でも300万円から手に入るというBMWのエントリーモデル。中古車なら100万円代から程度の良いものが見つかる。
実用性が低めのクルマに乗る人は心もお財布も潤沢!?
2022年9月に限定1000台で発売予定の20周年特別仕様車の先行受注がわずか5日間で終了
人をいっぱい乗せられないなど実用性は微塵も感じられないが、そういうクルマに乗っているということは、表現は悪いかもしれないが「クルマ道楽」ができる、経済的にも心にもゆとりがある証拠と感じるらしい。
「若い人がそういうクルマに乗っているとちょっと無理しているのかなぁと思うことがあるけれど、アラフォーくらいの人が乗っていると、本当にゆとりがあるから乗っているんだなぁ。うらやましいと思う」という声も聞かれた。
当日の参加者で唯一クルマ大好きの男性(スカイライン400Rの中古を物色中の出世頭)が乗っていたのがS660。これは「ほー」と、かなりの大人気だった。オジさんこそスポーツカーに乗るべきと実感!!
お薦め1「ダイハツ コペン」
たしかにS660も捨てがたいが、新車価格が198~315万円だったのに対し、すでに100万円、200万円プラスのプレミア価格がついているものはザラ。ということで、お薦めしたのは新車でも買えるコペン。
この種のクルマで20年も頑張っているのはスゴい。内外装着脱構造「DRESS-FORMATION」により着せ替えができるというのもポイント。オープンカーを見かけることがなくなった昨今、オヤジがオープンカーでさっそうと街を走る姿はなかなかイケてるはず。新車でも200万円以下で購入できるし、中古車であれば100万円以下のものも多数!
お薦め2「平成ABCトリオ」
一世を風靡した平成ABCトリオは実用性ほぼゼロ……。しかし、アラフォー以上の世代が乗っていれば周囲の人は「セカンドカー」と疑わない。当然、中古車でしか手に入らない平成のエポックメイキングな3台だが、そもそもバカ売れしたモデルではないので中古車価格が高めなのがちょっと難あり……。
AのAZ-1が安くとも200万円代、Bのビートは価格帯は広いがやはり200万円超が平均、400~500万円といったプレミア価格のものも多い。Cのカプチーノは100万円代のものも手に入る状況にあるが、当時の新車価格とほぼ同等の価格。このように軒並み高値であるのが難点か。
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カラダだけデカくて頭は空っぽだし
何を求めるかにはよりますが、とても楽しい車なのに…