長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はイギリスGPの週末を振り返る。
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【2024年F1第12戦イギリスGP ベスト5ドライバー】
【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第11戦】不必要な接触で沈んだふたり。チャンスを逃さなかったラッセル
■評価 10/10:945日ぶりの勝利。強さを失っていないことを示したハミルトン
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選2番手/決勝1位
長い長い年月を経て、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がついに表彰台最上段に戻ってきた。945日ぶりの勝利を収めるのに、まさにこれ以上理想的な場所はなかっただろう。ハミルトンは、イギリスGPを決して楽に制したわけではない。コンディションが悪化し始めた時に、ピットストップの優先権を得るために、チームメイトを抜き去り、最適なラップでスリックタイヤに戻してリードを奪い、終盤は、ソフトタイヤを14周、うまく持たせて、チャンピオンシップリーダーの攻撃に耐えてみせた。イギリスGPの日曜日、我々は、プレッシャーの下でも完璧なレースをしてみせる、昔と変わらぬハミルトンの感動的な走りを見ることができた。
■評価 9/10:苦しい状況でも2位を確保する王者フェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選4番手/決勝2位
この週末、最速のマシンを持たなかったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だが、チャンピオンシップの勝ち方を知っていることをしっかり示してみせた。現実的には5位が妥当と思われるなかで、戦略でマクラーレンの2台を打ち破り、ジョージ・ラッセルのリタイアの恩恵を受けて2位でフィニッシュした。予選ではQ1でコースオフし、危うくすべてが台無しになるところだったが、その後は冷静に戦った。
■評価 9/10:キャリア最高潮を迎えているヒュルケンベルグ
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選6番手/決勝6位
2週連続でニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は6位でフィニッシュした。週末を通して、トップチーム以外のベストの位置に立ち、正々堂々とアストンマーティン2台に勝利した。どういうコンディションでもチームメイトより速く、今のヒュルケンベルグはキャリア最高の状態といってよく、ハースはその恩恵を受けている。
■評価 8/10:再び優勝のチャンスを逃したノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選3番手/決勝3位
またしてもランド・ノリス(マクラーレン)はチャンスを逃してしまった。レース直後の彼の様子を見ると、逃したチャンスの重みを非常に深刻に感じているようだった。予選では、Q3の小さなミスでフロントロウをつかめなかった。レースではコンディションが悪化すると、ライバルよりもそれに適したセットアップをしていた恩恵を受けて、トップに浮上。セカンドスティントではハミルトンを3秒リードしていた。ところがスリックタイヤへの交換が1周遅かったために2番手に落ち、その後、タイヤの寿命が足りず、フェルスタッペンにも抜かれてしまった。
■評価 8/10:戦略に足を引っ張られたピアストリ
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選5番手/決勝4位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)にも優勝のチャンスがあったが、彼も戦略が原因でそれを逃した。雨の強さが増すなかで、ピアストリはスリックタイヤで1周長くステイアウトし、その結果、約20秒を失った。最終スティントでは最速で、リーダーのハミルトンとのギャップを8秒縮めてみせた。最初のピットストップでマクラーレンがノリスに続いてピアストリをピットに入れ、ダブルスタックをしていたらどうなっていたかと、考えずにはいられない。ピアストリは予選は完璧ではなく、最後の周回のタイミングが悪く、5番手にとどまった。
【ベスト6以下のドライバーとその戦い】
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選1番手/決勝リタイア
=評価 8/10:予選ではハミルトンに僅差で勝ったが、レースでは明らかに負けており、その後、トラブルでリタイアした。
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選7番手/決勝5位
=評価 7/10:週末を通して冷静さを保ち、SF-24から最大限の力を引き出した。フェルスタッペンを追ったが、あやうくコースオフしそうになって諦めた。
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選8番手/決勝7位
=評価 7/10:予選でアロンソに勝ったストロールは、より有利なピットストップ戦略の恩恵を受け、決勝でもチームメイトの前でフィニッシュした。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選10番手/決勝8位
=評価 7/10:予選ではトラフィックに阻まれて、決勝では濡れた路面でスリックタイヤで1周多く周回したことが響き、チームメイトより下位に終わった。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選9番手/決勝9位
=評価 7/10:予選ではQ3に進出し、決勝では貴重な2ポイントを稼ぎ、チームを驚かせるとともに自分でもびっくりしていた。
角田裕毅(RB):予選13番手/決勝10位
=評価 7/10:RBは今回も不調だったが、角田はそのなかで最善を尽くし、チームメイトをしのぎ、1ポイントを稼いだ。
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選17番手/決勝12位
=評価 6/10:今回はマシンのパフォーマンスが高かったが、Q1で敗退。レースではうまくリカバリーしたものの、ポイントには届かなかった。
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選12番手/決勝11位
=評価 6/10:非常にポジティブな週末を過ごし、好結果を出した。ただ、チームメイトには常に及ばなかった。
バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):予選16番手/決勝15位
=評価 6/10:チームを率いて頑張り続けたが、コース上で最も遅いマシンでは、ポイント争いに加わることは無理だった。
ダニエル・リカルド(RB):予選15番手/決勝13位
=評価 5/10:予選でも決勝でもチームメイトに匹敵するパフォーマンスを見せることができなかった。
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選18番手/決勝16位
=評価 5/10:戦えるマシンではなく、早い段階でインターミディエイトに換えたことで、チャンスを失った。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選20番手/決勝スタートせず
=評価 5/10:FP2で愚かなミスを犯した。グリッド降格が決まっていたため、レース用のセットアップに集中したにもかかわらず、レースではギヤボックスのトラブルにより、スタートすらできずに終わった。
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選11番手/決勝14位
=評価 4/10:今のルクレールは苛立ちを募らせている。予選Q2でミスをしたことで、トップ10に入れず、決勝では捨て鉢のタイヤギャンブルにより、保証されていた6位を手放す結果になった。
周冠宇(キック・ザウバー):予選14番手/決勝18位
=評価 4/10:再びボッタスに届かなかった。早い段階でのインターミディエイトへの交換という賭けにより、悲惨な週末がさらに悪化した。
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選19番手/決勝17位
=評価 2/10:ペレスはできるだけ早く、今のスランプから抜け出す必要がある。Q1でのコースアウトは許容できることではないし、早めにタイヤを交換するギャンブルをしたことからも、彼が完全に迷走していることが分かる。
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