現代のバイク小説の第一人者といっても過言ではない山田深夜(やまだしんや)氏の新刊が、5月14日(木)に、書店およびオンライン書店で販売開始されました。
「バイク×旅」が好きなら絶対にハマる、青森から東京を目指すロードノベル
バイクやライダーが活躍する小説を世に送り続けている山田深夜氏の新刊が、双葉社から発刊されました!
『ロンツーは終わらない』は、2011年2月に徳間書店から単行本が発刊。その後、同じく徳間書店で一度文庫化もされています。
数年の時を経て、このたび双葉文庫から復刊したのです。合わせて、表紙のイラストも新規のものに生まれ変わっています。
主人公は、38歳のツーリングライダー・岩山(無職・男性・愛車はGL1800・コワモテ・人との関りが好きではない)。冒頭の舞台は、ねぶた祭りの開催期間で盛り上がる青森のキャンプ場。
ひとり旅を満喫していた岩山。しかし何の因縁か、東京に向かいたいと話す若者・里村斗児(大学生 休学中)をリアシートに乗せることに。ここから物語は始まります。
当初しぶしぶ「近くの道の駅まで」という条件で乗せたはずが……どういうわけか追手が現れ、道中は波乱の逃走劇に。いつしか目的地は東京へ。
バイク・新幹線・トラック・バス・徒歩とさまざまな手段で南下する、ふたりを待ち受けていたものとは……? 笑いあり、涙あり、アクションたっぷりな青春ロードノベルです。
と、ざっくりとあらすじをお伝えしましたが、単行本を読んだ僕からヒトコト言わせてください。
とにかく、面白い!
とくにバイク旅が好きな方なら絶対ハマるはず。一気読み必至!
「ロンツー」とは何でしょう? webオートバイの読者のみなさまなら、ビビッと来たはず。そう、「ロングツーリング」の略です。
山田深夜氏の小説の魅力は、伏線だらけの緻密なストーリー構成をはじめ、アクションやバイクによるスピード感、登場人物のかっこよさ、センスのいいユーモアなど、いろいろあります。
なかでも「リアリティ」に関しては突出していると、僕は思います。
人から内容だけ聞くと、ぶっ飛んでいるとしか思えない展開も、いざ自分が読み進めてみると「これは実体験? ドキュメンタリー?」と感じてしまうほど。
どうして山田深夜氏の物語は、そんなに現実味を帯びているのか……。もちろん、卓越した文章力もあるでしょう。ただ、僕は取材力がものすごいんじゃないかと思っています。
今回、復刊となった『ロンツーは終わらない』(双葉文庫)には、著者本人が撮影した写真が章の切り替わりごとに挿し込まれています。
単行本から文庫化、さらに今回の復刊となり、その間約9年の月日を経ました。
今回初めて読む方へ向け、文体や表現・言い回しなどを徹底的に校正されたとのこと。つまり、ちょっと古い本だと思うことなく、最新の山田深夜作品を堪能できるわけです。
新型コロナウイルスのせいで、ツーリングすら楽しめないこんな今だからこそ、旅好きライダーにぜひ読んでいただきたい! 読後感も最高ですよ。
文・写真:西野鉄兵
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