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トラディショナル・メルセデスの代表、最新Cクラス・ステーションワゴンのリアル実用度をユーザー視点で検証

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トラディショナル・メルセデスの代表、最新Cクラス・ステーションワゴンのリアル実用度をユーザー視点で検証

ラインアップ続々充実。ワゴンのディーゼルが本命か!?

 SUVに押されがちでも、ミドルサイズのドイツ勢は堅調だ。中でもCクラスは人気が高い。従来型は、セダンとワゴンを合わせて日本で10万台以上を販売。2015~2019年に年間販売台数セグメントNo1を達成した。セダンとワゴンの販売比率は現在7対3だという。
 新型のW/S206型もセダンから少し遅れてワゴンが上陸した。今回のC220dのパワーソースは、200ps/440Nmを発生する2リッター直4のディーゼルターボに、20psと208Nmを発生するISGが組み合わされている。つまりマイルドハイブリッド仕様だ。

【最新モデル試乗】これが本命!? 快適ディーゼル・ハイブリッド、メルセデス・ベンツC220dの上質感

 走り出すと、加速の立ち上がりで一瞬わずかにカドを感じるが、要求したトルクをそのとおり生み出してくれるので扱いやすい。
 静粛性は印象的だ。車外で聞こえたディーゼルっぽい音は、車内に入ったとたんに消滅。微妙なガラガラ音こそわずかに感じるものの、ほとんど気にならない。入念に対策されている。
 変速比幅の広い9速ATも効いてエンジン回転数が低く抑えられるおかげで、効率に優れるうえに非常に静かだ。素早くスムーズなエンジン再始動やタウンスピードでのリニアなレスポンス、加速の力強いブースト感は、まさしくISGの恩恵に違いない。

 注意深く観察すると、高速巡行時は、ドアミラー回りからやや風切音がする。ワゴンということもあって、後席では後方からの音の侵入を感じた。ただしそれほど気になるわけではない。
 足回りはしなやか。かつてのCクラス・ワゴンは、セダンよりもだいぶ硬かったが、旧型のW205型からそうでもなくなり、新型はセダンとの差が感じられなくなった。
 なお、従来型はこのクラスで珍しいエアサスが特徴だったが新型は未設定。通常のコイルサスでも満足のいく乗り味を実現できるとの判断から廃止された。

 ステアリングの操舵力はやや重め。切ったとおりに正確に応答するのはメルセデスらしい。近年Cクラスでは「アジリティ(敏捷性、機敏さ)」を打ち出してしており、新型は4WSも一部で設定された(5月生産分からオーダー中止)。だが標準仕様でも俊敏な回頭性は十分に味わえる。
 気になったのは、ブレーキフィールだ。これまで乗った新型Cクラスは、どれもブレーキ操作が難しい。減速度を自然にコントロールできず、「運転が下手」になってしまう。しかもクルマごとにクセや傾向が違うのでやっかいだ。

未来を感じる内装と装備。高価だがそれだけの価値がある

 室内のデザインと機能は、最上級モデルのSクラスと同等。新型は、質感もSクラスに匹敵するレベルに引き上げられた。スイッチのタッチひとつとってもクオリティ感がある。大きな画面を並べた先進的なインパネは、幅広いユーザーに大きな訴求力がある。
 メルセデスが先鞭をつけた音声コントロールが可能なインフォテインメント機能、MBUXは洗練度が増して、より使いやすくなっている。

 装備は充実。クラス初のアイテムを積極的に取り入れた。中でもARカーナビは非常に便利だ。進行方向周辺の状況がわかりやすく、ドライバーの死角になりそうな部分まで表示してくれる。歩行者を見落とす可能性が減るなど、安全性を高めるためにも役立つ。
 ヘッドアップディスプレイは多機能タイプ。多くの情報をより見やすくしようという工夫だが、ここまでドーンと大きく表示されるタイプは初めてだ。もちろん表示サイズは調整できるので、煩わしいと思えば変更可能だ。
 ステアリング部には、数多くのコントロールスイッチを配置している。使いこなすには、慣れが必要だ。AMGラインに装着されるステアリングは、ツインスポーク形状。より多くの機能を収めながら、見栄えをよくするためのアイデアだろうか。

 室内は十分に広い。後席の居住性は、ホイールベースの拡大やパッケージングの進化で各部のクリアランスが増しており、従来よりも広く感じられる。
 荷室も広くて使いやすい。少しでも容積を稼げるようギリギリまで攻めた開発過程がうかがえる。メルセデスらしく見た目の質感も高く、テールゲートの開閉と連動したトノカバーのような装備も付く。後席が3分割可倒式なので、中央に長尺物を積んで両サイドにゆったり乗員が座ることもできる。

 価格は、セダンが599万円、ワゴンは625万円がスターティングプライスになっている。数字を見る限り旧型に比べてかなり高くなった印象を受ける。しかし、そのぶん標準装備のレベルはかなり引き上げられている。
「充実の装備から考えると、総合的には決して割高ではない」とインポーターは説明している。
 Cクラス・ワゴンの直接的なライバルは、BMW3シリーズ、アウディA4、ボルボV60。それぞれ個性が明確なモデルたちだ。新型は、走りや機能はもちろん、先進性やデザインなど、非常にわかりやすい魅力をいくつも身につけたように思える。

通知表/メルセデス・ベンツC220dステーションワゴン・アバンギャルド 価格:9SATC 705万円

総合評価:75点

Final Comment

ブランド性にふさわしい完成度
気がかりはブレーキとシフトセレクター

 全体的に評価は高めになった。メルセデスらしく、やはり高い完成度を誇る。評価が低いのはブレーキに関する項目で、なぜか従来型の最終モデルと比べても劣る。また、メルセデスの右ハンドル車に乗るたびに「何とかすべきではないか」と思うことが、右側コラムにあるシフトセレクターだ。メルセデスにしか乗らないというユーザーならよいが、ウインカーレバーが右にある日本車に乗る機会のあるドライバーは、誤操作の可能性がある。いろいろな意味で注意を要する。

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みんなのコメント

14件
  • 国産車はライバルにされていないという現実。
    そうですよね〜
    3年か5年後に真似た装備を付けさせて頂きます。
  • メルセデス性能悪すぎ。ええかっこしいの車 まったく意味のない車。最低や、ぶさいくやしな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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