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時代にフィットするサステイナブルで愛らしいEV、フィアット「500e」の魅力

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時代にフィットするサステイナブルで愛らしいEV、フィアット「500e」の魅力

アイコニックなデザインで世界的に高い人気を誇るフィアットのコンパクトカー“500”に、電動モーター仕様のEV「500e」が加わった。100年に一度と言われる大変革期にある自動車業界においてEVの投入はもはや既定路線だが、このモデルは偉大な先達の名を継ぐにふさわしい仕上がりとなっているのだろうか。

装備面も現代的にアップデート

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 フィアット500(チンクエチェント)の歴史は古く、初代はいまから90年近く前の1936年に登場した。“トポリーノ”(ハツカネズミ)の愛称で親しまれたそれは、大衆向けの廉価車として大いに人気を博し、1955年までに累計60万台が世に送り出された。

 2代目は“ヌオーヴァ”(新しい)500として、リアエンジン後輪駆動(RR)の新方式を採用(初代はFR)。日本の軽自動車よりも小さいサイズながら大人4人が乗れ、その可愛らしいデザインも含めて広く支持された。日本のアニメ映画にも登場していたから、500と言えばこのモデルを思い出す人も少なくないだろう。

 ヒット作となった2代目のデザインテイストをしっかりと受け継いだのが、現代の500である。ヌオーヴァ500の発売から50周年にあたる2007年に登場した現行型は、フィアット・パンダの車体をベースにした前輪駆動(FF)の4人乗りコンパクトカーで、やはりそのアイコニックなデザインが受け、さまざまなバリエーションモデルを展開しながらいまも同社の屋台骨を支えている。

 そして今回、次世代のシティコミューターとして登場したのが、電動モーターを採用した「500e」である。一見するとパワートレインだけを変更したバリエーションモデルかと思いきや、ホイールベースは延長され、ボディもわずかに大きくなった新機種という位置付けだ。デザインは500のイメージをしっかりと受け継ぎつつ、LEDを効果的に配したライト形状とするなど、EVらしい先進性を加味したものとなっている。

 インテリアは丸みを帯びた優しいデザインを主体に、7インチのデジタルメーターと10.25インチ・タッチパネルモニター、その周囲に各種機能スイッチを配置。本来ならばすべての機能をモニターに集約してすっきりさせたいところだが、あえてそれをせず、ひと目で機能がわかるメカニカルなスイッチが残されている。そこに新世代EVでも使いやすさを最優先した姿勢が現れていて、フィアットの見識が感じられる。上級グレードにはアダプティブクルーズコントロールを始めとした先進運転支援システムを充実させるなど、装備面でも現代的にアップデートされているのもユーザーとしては嬉しいところだ。

EVとコンパクトカーの美点が見事に融合

 そして何より感心するのが走りのよさである。コンパクトな車体に瞬発力の高い電動モーターを搭載したEVということもあって、街中では取り回しがしやすくきびきびと走り回れるのはもちろん、ドライブモードによってはアクセルを離すだけで停止まで可能なワンペダルドライブもできるのがありがたい。また、従来型の弱点ともいえた乗り心地が500eでは大幅にブラッシュアップされているのも見逃せない。500のガソリンモデルはホイールベースの短さにともなう前後方向の揺れが強く、ひょこひょことした乗り心地になっていたが(それもひとつの個性だった)、500eではわずかとはいえホイールベースが延長され、また車体の低い位置にバッテリーを敷き詰めたことによる低重心化と重量増が奏功しているからだろう、しっとりとした安定感の高い乗り心地が味わえるようになった。それだけでずいぶんと印象は好転し、使い勝手の良さやEVならではの瞬発力の高さと静かさで、実用車としてのレベルが大幅に高まったように思う。

 つまり、500eはEVとコンパクトカーの美点が見事に融合したモデルに仕上がっているというわけだ。デザイン性や存在感の高さ、もちろん使い勝手の良さを兼ね備えており、それだけで所有欲が満たされるのは間違いなく、我々の暮らしに彩りを添えてくれるのが500eというクルマ。歴代モデルがそうであったように、500eもEVだからというエクスキューズなしに積極的に選びたくなる、サステナブルな時代に息長くフィットしていくであろう一台なのである。

ガソリン車と比べてホイールベースは20mm長く、全長/全幅ともに60mm、全高15mm大きくなった500e。駆動用バッテリーは床下に敷き詰められ、フロントに搭載した電動モーターが前輪を駆動する。

ヌオーヴァ500のアイコニックなデザインを現代的に解釈した500eのアピアランス。「こ」の字型のデイタイムLEDライトはガソリンモデルとも異なるテイストで愛らしい。

インパネ周りも500e独自のデザインとなり、デジタルメーターや10.25インチ・タッチパネル式モニターを備えるなど、先進性に溢れる仕立てとなった。そのいっぽうで機械式スイッチも多く使いやすい。

500eには「Pop」(450万円)「Icon」(485万円)のほかにオープントップの「Open」(495万円)の3つのグレードが用意され、後2者には写真のエコレザーシートがおごられる。

500eではドアオープナーが内外ともに電磁式となる。インナードアハンドルのポケットにはヌオーヴァ500のイラストとMADE IN TORINOのレタリングが施されるなど、遊び心にも溢れる。

給電口は右リアに配置。500eでは200Vの普通充電と急速充電に対応するが、後者では標準装備のCHAdeMO用アダプターを介する必要がある。1充電あたりの航続距離は335kmを標榜する。

<SPECIFICATIONS>
フィアット 500e アイコン
ボディサイズ:全長×全幅×全高:3,630×1,685×1,530mm
車重:1,330kg
駆動方式:FWD
モーター最高出力:87kW(118PS)/4,000rpm
モーター最大トルク:220Nm(22.4kgm)/2,000rpm
価格:4,850,000円

問い合わせ先:フィアット 0120-404-053

TEXT:桐畑恒治(AQ編集部)

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