■2年ぶりの開催…群馬パーツショー
ブランド総合研究所が2006年から毎年実施している「地域ブランド調査2021」の都道府県魅力度ランキングは44位。けれどもクルマ文化は熱い群馬県。自検協(自動車検査登録情報協会)のデータによると、令和3年3月末時点の1世帯当たり自家用車保有台数(軽自動車を含む)は約1.6台で全国4位。「一家に1台以上」が当たり前の環境だと、クルマ関連のさまざまなビジネス…自動車ディーラーやカスタマイズショップ、アフターパーツブランドが栄えるのは自明の理といえるだろう。
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加えて、県都・前橋市から至近距離に上毛三山(赤城・榛名・妙義)があり、全国的に有名なワインディングコースや林道が点在。オートキャンプやカヤック、カヌー、ウインタースポーツ、登山など、大自然のなかで楽しむアクティビティも盛んで、スポーツカーや流行りのSUV&クロカンに「乗りたい」「欲しい」と思わせる環境が整っている。
そんな「クルマ感度」の高い上州のご当地イベントが〝GPS〞の愛称で親しまれている群馬パーツショー。「真夏の祭典」として例年7月上旬に開催しているが、昨年はコロナ禍の影響で中止。今年はイベント会場のGメッセ群馬展示ホールが大規模ワクチン接種センターとして使用されるため、秋の行楽シーズン真っ只中の10月8~10日に延期された。
主催は群馬トヨタ自動車、ネッツトヨタ高崎、トヨタレンタリース群馬、トヨタL&F群馬など6社で構成される群馬トヨタグループ(GTG)。今でこそトヨタ自動車が主体となってGRガレージを全国展開するなど、ディーラーでのカスタムは敷居が低くなりつつあるが、GTGでは他社に先駆けて30年前に直営のRVカスタムショップ「RV Park」を高崎市倉賀野町にオープン。ラダーフレーム構造の本格4×4をターゲットにしたカスタムショップ「梯子車体」や、斜度30°のヒルクライム、ウォーターハザード、ロックセクションなど11のセクションで構成されたオフロードコースを併設する「RVの聖地」として長年親しまれている。豊富なカスタムのノウハウと、パーツメーカーとの太いコネクションを生かして、RV ParkがGPSの事務局になっている。
80社以上の出展メーカーが最新パーツやグッズ、オーディオなどの展示販売を行うこのイベント。お目当てのアイテムを「見て、触って、確かめられる」のはもちろん、担当スタッフと直接語り合えることから、来場者の率直な意見を商品企画や開発の参考にするメーカーも多いという。
出展メーカーは群馬に本拠を置くジャオスやIPF、クスコをはじめ、レイズやMID(マルカサービス)、ワークなどのホイールブランド、HKS、トラスト、サードなどのチューニングブランド、ジムニーカスタムでおなじみのAPIO(アピオ)、キャンピングカービルダーのM.Y.Sミスティックなどバラエティに富んでいる。さらに、歴代ランドクルーザーの展示や新型GR86の発表前特別展示も好評だった。
コロナ禍が長引いて東京モーターショーやオートサロンといったビッグイベントが軒並み中止になったが、夏以降はワクチン接種も進んで感染者数は着実に減少しつつある。それに伴い緊急事態宣言も解除と明るい兆しが見えてきたなかで、昨年中止になったGPSも2年ぶりに開催。
いつでも気軽に参加できるオンラインイベントも悪くはないが、やっぱり仲間とクルマ談義を交わしながらパーツを品定めする醍醐味はライブ(配信じゃなくて現場に足を運ぶこと)に勝るものはない。年始のオートサロンも含めて、感染対策をしながらクルマ関連のイベントが「いつも通りに」開催されることを願いたい。
■出展ブース詳細を写真で見る
●万一来場者などにコロナ感染者が確認された場合に備えて、専用サイトでの事前申し込みと入場パス(QRコード)の発行が必須。入退場時のQRコードの提示に加えて、入口ゲートに設けられた藤田エンジニアリングの除菌・除塵・消臭システム「バイバイキング」を潜り抜けて会場に入る。スーパーミクロンジェットで除菌水を直接噴霧し、衣服に付着した菌やニオイを除菌・消臭する
●アジアクロスカントリーラリー(AXCR)に参戦するTEAM JAOSの「ハイラックス2020ver.」。ジャオスとパートナーシップを結ぶTOYO TIRESや足まわりを開発するKYB、マシンを製作した群馬トヨタのロゴが誇らしい
●トヨタ色の強いイベントだが「梯子車体」の括りで、ライティングカスタムでおなじみのIPFとジムニーの老舗ショップ・APIOのJB64も展示。IPFの本社は高崎市倉賀野町にある
●新製品のフラットラックをはじめフロントスキッドバー、フェンダーガーニッシュ、アルミホイールなどを装着した150プラドが目を引くジャオスのブース
●早くも300系ランクル専用のジャオスオリジナルアルミホイール「TRIBE CROSS」が登場。サイズは20×9.0J、インセットは55と38。カラーはチタニウムゴールドとマットガンメタリック、インセット38はチタニウムゴールドのみ。予価7万9200円/1本
●群馬県最西端に位置し、平均標高1000mの高原地帯で作られる夏秋キャベツの出荷量日本一を誇る嬬恋村のブース。採れたて新鮮のキャベツを販売
●ジャオス・宮城トヨタ・トヨタ自動車の3社が協業でヤリスクロスをオフロードテイストにカスタマイズ。フェンダーガーニッシュとリフトアップスプリング、マフラーカッター、ホイールはジャオス製で、サイドモールとパイプ状のプロテクターはトヨタ自動車のプロトタイプ。来場者の反響次第では市販化される可能性も
●新型GR86のデビューで流通量が増えることが予想される初代86の中古車。既存ユーザーへの訴求や中古車の商品価値を高めるためにトヨタ自動車のクルマ開発センターから提案された86リメイクカー。空力性能を重視したエアロパーツやボディのワイド化、HKS製スーパーチャージャーの搭載、レクサスRC Fのものを流用した可変式リヤスポイラーなど架装費込みのフルコンプリート価格で500万円を目標にしている
●浅草寺などの伝統建築に使用されている高意匠チタン製品を自動車パーツに適用。写真はフューエルリッドへの施工例で、緻密な意匠形状を愛車の一部に施すことで、ワンポイントのドレスアップ効果が得られる
●オールチャンネル扱いになる以前の「トヨタ店専売」時代からずっとランクルに携わってきた群馬トヨタのプライドを感じさせる、歴代ランドクルーザー展示
●車高調サスキットや前後スタビライザー、ボディ補強パーツ、オイルキャッチタンク、スポーツマフラーなどを装着したクスコのGRヤリスRZ。いずれもモータースポーツで培ったノウハウがフィードバックされている
●本格クロカン向けのCRAG(クラッグ)、スポーツカーをターゲットにしたワークエモーション、ミリ単位でインセットをオーダーできる2ピースモデルなど、多彩なラインアップでカスタムホイールの楽しさを提案するワークのブース
●ジャパンクオリティにこだわり、企画・開発から生産管理まで日本国内で行い、クオリティとデザイン性を追求したホイールを提案するMID(マルカ・インテリジェント・デザイン)。SUVやクロカン向けのラインアップが充実
●鍛造・鋳造品ともにメイドインジャパンのモノづくりにこだわるレイズ。モータースポーツ活動で得られたノウハウをストリート用ホイールに余すことなくフィードバック。実物に触れると、細部まで隙のない作り込みと仕上げの美しさに魅了される
●「彩ユニオンとソープボックスモックカーで交通安全」のブースでは、多田哲哉氏(元トヨタ自動車GR開発統括部チーフエンジニアで日本ソープボックスダービー協会理事長)、山本君一氏(元トヨタ自動車開発ドライバーで日本のソープボックスダービー創業者で協会の副理事)、横田 衛氏(群馬トヨタグループ代表取締役社長でGPSの総責任者)のカーキチトリオによる「ちょっとチャットin群馬パーツショー2021」が催され、重力だけで直線の坂道を下り、その速さを競うソープボックスダービーの魅力や、カスタムカーの開発秘話などが語られた
<文=湯目由明 写真=澤田和久>
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