ミシュランから発売されたばかりの「MICHELIN POWER5」(以下「パワー5」)。ストリートにおけるパフォーマンスの高さが注目ポイントのようだが、果たしてその実力は? 今回は、かつてWGP500で4勝を挙げるなど、ロードレースの世界で輝かしい実績を誇る岡田忠之氏をアドバイザーに迎え、自身もジムカーナ競技やツーリングなどでバイクを楽しむ平嶋夏海ちゃんがツーリングテストを実施? 走行後の対談の模様をお届けします!
ツーリングで分かった「MICHELIN POWER 5」の実力!
岡田「今日はミシュランの『パワー5』を、ミドルクラスの人気モデル2台(ホンダ CBR650R、ヤマハ XSR700)で試乗してきました。一日走ってみての感想はどうだった?」
平嶋「私にいきなりその質問ですか?(笑)」
岡田「いやいや(笑)。正直に乗った感想をどうぞ」
平嶋「昨日が雨だったので、途中、ちょこちょこ濡れてる箇所もあったんですけど、全然普通に通り過ぎちゃったし、ワインディングも『滑るかも…』とか不安に感じることが全然なくて。走っている途中、ずっと安心して乗れたことが、まず一番大きい感想かなって思います。ちょっと荒れた道を走っても怖くなかったし、変な切れ込みとか気になるクセもなくて、楽しくツーリングできました」
岡田「うん、何も違和感なく乗れたよね。僕が今日いちばん感じたのは、1日乗っても全然腰が痛くならないってこと(笑)。冗談に聞こえるかもしれないけど、これってとっても重要なんです。僕は1日走り続けるようなツーリング取材だと、たいがい腰が痛くなるんですよ。まず最初に首都高で感じたんだけど、道路の継ぎ目とか、センターのギャップの乗り心地が、かなり柔らかいんだよね。あとは峠に行った時に、路面の悪いとこでも全然突き上げがなくて、すごくストレートスルーな印象を受けました。僕はパワー5をサーキットでしか評価したことがなかったんだけど、今日初めて一般道を走ってみて、いろんな状況下で、このタイヤのパフォーマンスが感じられましたね」
平嶋「公道だと、いきなり路面状況が変わるじゃないですか。そういう変化にタイヤがついていってくれるというか、乗り心地をサポートしてくれてるんだなってことは、私も思いました。でも、そもそも疑問があって、街乗りはサーキットと違って、“ギリギリを使って攻める” みたいな状況は少ないじゃないですか。そういう時にタイヤの違いを感じるには、何を意識すればいいんですか? たとえば高速道路なんて、大きな加速も、急ブレーキも、よほどのことがないとしないですよね」
岡田「さっき平嶋さんは『あまりタイヤのことがわからない』って話してたけど、僕が言った “ギャップの追従性がいい” というのは、サスペンションがストロークする前の、ほんとに細かなタイヤの動きを指してるんです。たとえばギャップを乗り越える時や、乗り越えて地面に落ちた時に、サスが動く手前のほんとにちょっとしたタイヤの微妙な動きって言うのかな。僕はレースをやってたし、開発もしてきて、そういう部分の経験をたくさんしてきたから、すごくよくわかる方だとは思うけどね。高速道路には、たまにドーンッと来るような大きなギャップがあるけど、ああいう時はタイヤもサスペンションも大きく動く。でもほんとに細かなタイヤの動きは、風船をたわませてるような感じって言えばいいのかな…」
平嶋「小石を踏んじゃったくらいの、小さな動きってことですか?」
岡田「そうそうそう。それくらいの動きが、タイヤのキャラクター的な部分を一般的な高速道路で感じ取れる、唯一の場面かなって思います。あと、このパワー5は、反発力が結構あるんですよ。だからアクセルを開けた時に、一度タイヤが潰れてから伸ばしてくというか、タイヤが潰れた時の反発力を上手くグリップにつなげるようなパターンと構造なんです」
平嶋「タイヤの反発かぁ…。レベルが高い話になってきました(笑)」
岡田「それに、タイヤの違いを感じ取れる場面といえば、峠を攻めたりした時の、直立姿勢からバンクしていった時のグリップの変化もそうだね。要はそのタイヤによって、イン側に向かっていく性質だったり、ハンドルのキレ角、つまり舵角がついて曲がってくタイヤなのかとか、キャラクターがいろいろあるんです。バワー5に関しては、新たに開発した新設計のパターンを採用してるから、ドライでもウェットでも大丈夫。新素材のシリカが入ったことで、ウォームアップ性の良さや、タイヤの存在感が、どんな状況でも全く違和感なく感じられます。だからフィーリングもより楽しくなるし、余計な心配を考えずに済む。今までのスポーツタイヤのイメージから、ウェットに不安感を持ってる人でも、履けば違いがすぐにわかると思うよ」
平嶋「ところでこのタイヤは、スーパースポーツでワインディングに行きたい派と、トコトコのんびり走りたい派なら、どっちのライダー向きのタイヤなんですか?」
岡田「どっちも大丈夫。同じ『ミシュラン パワー エクスペリエンス』シリーズには、よりスポーツ寄りの“パワーGP”とか、よりサーキット向けの“パワーカップ2”とか、スリックタイヤに近い方向でパフォーマンスを発揮するタイヤもあるんだけど、パワー5でサーキットを走っても充分にいけます」
平嶋「ええっ、パワー5でサーキットもいけるんですか?」
岡田「うん。充分楽しめますよ」
平嶋「じゃ、どっちも楽しみたい人にもオススメのタイヤなんですね」
岡田「そう、どんな用途でも対応できるタイヤだからね。今回はそれぞれのバイクの指定空気圧で走ったけど、高速走行も、ゆっくり走るのも、何も問題なかった。パワー5のように、バイクを倒し込んでいった時に、軽い走行感の中にもずっと接地感が残るタイヤ特性は、なかなか出せないものなんです。今までの僕の経験上、軽いと急にグリップが抜けたりするタイヤが多い。やっぱりその辺は、MotoGPでの経験で培われたものが反映されたタイヤってことなんだと思うね」
平嶋「その良さは見た目だけじゃわからないから、やっぱり乗ってみないとってことですね!」
岡田「そうだね。実際に乗ってみれば、絶対に安心感の得られるタイヤだと思います。自分がいま履いてるタイヤと比較したら、すぐわかると思うので、皆さんぜひ一度試してみてください」
MICHELIN POWER 5 サイズ表
フロント
120/70 ZR17 (58W)
リア
160/60 ZR17 (69W)
180/55 ZR17 (73W)
190/50 ZR17 (73W)
190/55 ZR17 (75W)
200/55 ZR17 (78W)
ちなみに、今回は「ミシュラン グリーンガイド」でルートを決定!
今回、岡田忠之さんと平嶋夏海ちゃんはテストツーリングのルートにミシュランの「グリーンガイド」を使用。ミシュランと言うと、レストランガイドが有名ですが、実は観光地のガイドもあるんです。外国人の日本観光用なので、英語版なんですけどね。
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みんなのコメント
やっぱりピレリで落ち着きそうだ