遅れて登場したDOHC搭載モデル
ホンダ・シビックのホットバージョンと言えば、先頃新型が登場したタイプRが思い起こされるだろう。初代においてはRSというグレード名が使われていたこともあり、シビックのスポーツモデルと言えば「R」の文字の印象が強いが、1980年代後半、それはSiという名であった。三代目および四代目シビックにおいては、シリーズのメインはSOHC搭載車であり、DOHCエンジンを載せたホットモデルはSiを名乗っていたのである。
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【画像41枚】細部まで再現されたシビックSiと、その制作工程を見る!
ここでお目にかけているのは、そんな三代目シビックのSiを、1/24スケールのプラモデルで再現した作品である。これは自動車模型専門誌「モデルカーズ」280号(2019年)のホットハッチ特集に合わせて制作されたものだ。以下、そのときに掲載された作者・飯塚氏による解説をお読みいただこう。
「今回のテーマである『ホットハッチ』。アラフォー以上のクルマ好きには、なんだか胸がキュンとするキーワードではなかろうか。1970年代の排ガス規制への対応がひと段落し、クルマ文化の成長に伴って出てきたこのジャンル――小さなボディにちょっとパワーのあるエンジンを詰め込み、心をくすぐる外観を纏って現われたヤンチャ坊主たち。
お金はないけど楽しいクルマに乗りたい運転がうまくなりたい、といった若者たちの絶大な支持を得たそれらは、先駆者であるプジョー205やゴルフGTI等にも似た、走りだけではない小洒落たアイテム感も漂わせていて、頻繁にそんなクルマたちの特集をしていた『Tipo』誌などを読み漁っていた頃が懐かしく思われる。
さて、ホンダのヒストリーからそんな車種を探り出すと、シティ・ターボや、DOHCを積んだシビックSiが思い浮かぶ。中でも三代目シビックは、国内外で獲得した数々のアワードが示す通り、それまでのシビックとは一線を画す非常にセンスフル且つ斬新なデザインで、大きな話題となったモデルである。更にシビックSiは、次のEF系ではVTEC搭載のSiRへと進化し、1997年にはホンダ・ホットハッチの頂点とも言えるEK9タイプRへと昇華していった。
一方、サーキットでの活躍も忘れることはできない。1985年から全日本ツーリングカー選手権に参戦したシビックSiは、1987年に初のクラスタイトルを獲得。その後、世代を変えながら1993年まで、7シーズン連続クラス3のタイトルホルダーとなっていった。
Si化とともにキットの気になる点も解消
今回はそんな三代目、通称ワンダーシビックを、タミヤの25iをベースに魅惑のSiグレードへと改造した。大まかな改造ポイントと対応策を以下、書き出してみよう。
●外装……(1)ボンネットパワーバルジの追加――プラ板から切り出して貼る(グループAキットから流用も可) (2)給油口の鍵穴を削り取る (3)サイドのDOHCデカール追加――自作デカールで対応 (4)Siリアエンブレムの追加――グループAキットから流用 (5)リアガーニッシュの塗装色を黒からクリアーレッドに変更 (6)前後バンパーのボディ同色化 (7)ホイールをタミヤのバラードスポーツCR-Xから流用
●内装……(1)ステアリングホイールの改造――キットパーツをベースに (2)フロントシートヘッドレストの改造――タミヤのシティ・カブリオレのものが近いので流用 (3)シート塗装色がSi専用色となる
以上のポイントを押さえていけば、Siへの改造には比較定容易にトライできるであろう。さらに、本作例では細かな部分を現代流にアップデートしてみた。まずは、元々省略されてしまっているノーズ先端の分割線を彫り込む。R400のテンプレートを使い、タガネで注意深く彫り込んだが、この線はくれぐれも直線で引いてしまわないよう注意していただきたい。
次にヘッドライト内部の表現だが、ワンダーシビックのヘッドライトはブラックのインナーハウジングの奥にメッキのリフレクターが存在する構造だ。しかも、このブラックとメッキの比率が非常に難しいので、メッキ部とブラック部を調整しながら表情を決めていった。その他、細かなディテールアップは写真のキャプション(注:追って公開する後編のものを含め)をご覧いただきたい。
ワンダーシビックのキットも、2011年頃の再販以来、店頭で見かけることはなくなってしまった。部品点数も少なく、ビギナーからベテランまで十分に楽しめるキットであるだけに、タミヤにはぜひ再リリースを期待したい。
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