世界トップクラスの自動車技術の好例
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
堂々とした車格をたたえるベントレー・コンチネンタルGT V8コンバーチブル。狭い交差点を直角に曲がるのは、得意分野ではない。
それでも、世界トップクラスの自動車技術を知りたい人にとって、ダイナミックな走りっぷりは、素晴らしい実例となる。より優れたクルマを望む人にとっても、期待はずれになることは、まずない。
タイトなコーナーが近づいてきたら、侵入速度が多少速すぎても構わない。ブレーキを引きずりながらステアリングを切り、トランスミッションは2速に落とす。クルマは内側へと食い込んでいく。
旋回が始まったらコーナーの出口を捉え、手首を滑らかに動かす。アルミとスチール、レザー、ウッド、光ファイバーにゴムなどで作られた2.3tの車体は、見事にクリアする。
アダプティブ・エアサスペンションとアクティブ・アンチロールバー、トルクベクタリング機能付きの四輪駆動システムは知的に制御。明確なロールや揺れ、無駄な抵抗は一切排除され、ボディが望んでいるかのように曲がる。
落ち着いた車内にいると、まるでコンチネンタルGTを包む外の世界が回転しているかのよう。放牧地の牛がなぜ飛ばされないのか、不思議に見えてしまう。
クーペでもコンバーチブルでも、V8エンジンでもW12エンジンでも、最新のコンチネンタルGTは、極めて高水準な性能と、機敏な操縦性を獲得している。でも、もしスポーティなグランドツアラーがご希望なら、選ぶべきはV8エンジンの方だろう。
見事な調和に仕上がったインテリア
W12エンジンより軽量で、ハンドリングはわずかに鋭い。エグゾーストノートも、刺激的だ。AUTOCAR英国編集部の中でも、最も支持が高い。
0-100km/h加速なら、4秒程度でこなせるパワーも備える。今回英国で試乗した、コンバーチブルでも変わらない。
クーペのコンチネンタルGT V8と同様に、コンバーチブルも4シーター。異なるのは、雨風を凌ぐのが電動ソフトトップになることだけ。走行中でも48km/h以下でなら開閉が可能。ボタンに触れるだけで、20秒で頭上には大空が広がる。
ソフトトップを収容する都合で、リアシートの空間はクーペほど広くはない。充分な空間は残っているとはいえ、長時間乗っていられるのは子供程度だろう。
インテリアは、ベントレーらしく贅を尽くした素材が用いられ、実際に触れた時の印象も素晴らしい。どんな大人でも満足できるはず。
レザーとウオールナットが組み合わされたダッシュボード。クラシカルな操作スイッチと、美しい装飾が施された計器類。LEDのアンビエントライトとタッチモニターが、そこへ融合している。これほど見事な調和に仕上がるとは、実際に目にするまで想像できないと思う。
ドライバー正面のスピードメーターとタコメーターは、精細にモニターへ描き出されたもの。電源が落ちるまで、メーターが物質として存在しないとは、気づかないかもしれない。
ダッシュボードの中央にも、ワイドなインフォテイメント・システム用モニターが据えられる。好まなければモニターを反転させ、クラシカルな時計のみの眺めに変えることもできる。
扱いやすさとパフォーマンスを兼ね備えたV8
クーペからルーフを切り落とすために、車体は補強され、車重は170kg増えている。2.3tもあるクルマだから、割合的な増加は大きくはない。コンチネンタルのパワートレインは、まったく意に介さず、ボディを進める。
一方で走行時の洗練性は、わずかだが明確に影響を受けている。それに気づくか、気にしないかは、ラグジュアリーモデルをどう楽しみたいかで変わる。
金色のリングで縁取られた、トランスミッション・トンネル上のスターターボタンを押す。遠くから、V8エンジンの艷やかなサウンドが響いてくる。ルーフがないぶん、エンジンが放つ脈動を、ドライバーは直接的に感じ取ることができる。
同じボタンの外周リングを回し、ドライブモードを選ぶ。デュアルクラッチATは、わずかにぎこちない。変速の振る舞い自体は良いのだが。
パワートレインは、常にドライバーを満たしてくれる。ラグジュアリーなグランドツアラーに求める、扱いやすさと秀逸のパフォーマンスを兼ね備えている。W12気筒では得られない、鋭いレスポンスとサウンド、気持ち良い吹け上がりも楽しめる。
ハンドリングは、オプションのベントレー・ダイナミック・ライドを装備していれば、コンフォートからスポーツ・モードへ切り替えると、コーナリング時の明確な違いを体験できる。試乗車にも装備されていた。
スポーツ・モードでは、常に80%以上のトルクがリアタイヤへ伝わるように制御される。サスペンションもスポーティさを増す。
走りのベストバランスはベントレー・モード
ステアリングの操舵感は、重すぎず、軽めと呼べる。期待通り、フロントタイヤへ伝わるトルク感は排除しつつ、手のひらへの路面の情報は残されている。
車重のあるラグジュアリーなグランドツアラーだけあって、グリップの限界値は手前にあってもおかしくない。それでも、コンパクトなスポーツサルーンのように、自由度とバランスを保持し、大きなボディの向きを変えていける。
タイトなコーナーを攻めても、クルマの限界値がどこにあるのか、明確には見えてこない。まるで何か特別な力が働いているかのようだ。しかも、かなりの高い次元にある。
スポーツ・モードでは、路面の起伏を通過するとシャシーへストレスが加わり、不規則な振動がわずかに感取される。ベントレー・モードを選べば、姿勢制御とハンドリング、乗り心地の最良バランスが得られる。
コンフォート・モードを選んでも、クーペと同等の揺るぎないソリッド感と上質な乗り心地は得られない。ソフトトップは高速域でも見事に風切り音を遮るが、16万ポンド(2112万円)以上のラグジュアリーGTに期待するほど、外界との隔離感は高くはない。
いずれも、グランドツアラーに対する価値観で受け止め方は変わると思う。ルーフを開いて、特別なクルマとの時間を楽しみたいと考えるオーナーなら、クーペとの些細な違いは気にならないはず。
オーナーを幸福で満たしてくれる
ベントレー・コンチネンタルGT V8コンバーチブルは、夏の季節に、宛もなく道を流すための崇高なモデルだ。しかもエキゾチックなオープントップのライバルモデルより、扱いやすい。クーペと同等の走りを叶えた事実は、優れた技術力を証明してもいる。
筆者のラグジュアリーモデルに対する理想像では、カブリオレではなく、クーペのエレガントなルーフラインも大切な要素ではある。クーペならではの、包まれ感のある雰囲気にも強く惹かれる。
どちらを選ぶべきか、自身の理想像と照らし合わせるのが良い。もちろん、ラグジュアリーなコンバーチブルに強く心を奪われているのなら、クーペを勧めることほど野暮な話はない。
1つ確かなのは、ベントレー・コンチネンタルGT以上に豊かで華やかなクーペもコンバーチブルも、ほとんど存在しないという事実だ。
2020年の技術の粋を投入したモデルでも、オープントップのドライビング体験には、少しの我慢が強いられる。それを理解していれば、ベントレー・コンチネンタルGT V8コンバーチブルは、オーナーを幸福で満たしてくれるに違いない。
ベントレー・コンチネンタルGT V8コンバーチブル(英国仕様)のスペック
価格:16万7000ポンド(2204万円)
全長:4850mm
全幅:1964mm
全高:1399mm
最高速度:318km/h
0-100km/h加速:4.1秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:260g/km
乾燥重量:2335kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/5750rpm
最大トルク:78.3kg-m/1960-4500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
仕方ないのでダイハツ店でGRコペンに試乗してきました。
午後からは天気も良く、オープンで幸福で満たされましたw
V8ターボから絞り出されるスペックを余すことなく路面に伝えてる証拠。
8速DCTは大トルクに対応してるポルシェのとみた。
ラグジュアリーでありグランドツアラーでもある。
唯一無二の車種ですね。