この記事をまとめると
■「スピンドルグリル」といえばレクサスの顔とも言えるデザインだ
「伝統」に勝つため「攻め」続ける! レクサスのデザインがウケる理由
■スピンドルグリルの歴史は10年以上もある
■レクサス初のBEV「RZ」や「RX」には新たにスピンドルボディが採用されている
独自路線を行くレクサスのグリルに関する話
レクサスといえば、いまや独自の形状を持ったスピンドルグリルがデザインの要となっていますが、昨年登場した新型RXではその進化版であるスピンドルボディが大きな話題です。では、このスピンドルボディとは一体何なのか? 今回は歴代のレクサス車からその成り立ちについて考えてみます。
上下のグリルを統合したスピンドル形状
1989年、初代セルシオ=LSとして展開が始まったレクサスですが、スピンドルグリルが正式に導入されたのは2012年の4代目GSからと、意外なほど最近のことです。もともとは、2007年登場のIS Fのロアグリルに与えられた台形と、アッパーグリルの逆台形の組み合わせがその源流と言われています。
第1世代と言える当時は、センター部のボディ色またはブラックの横バーによって上下を分割した表現でした。これは、一足先にシングルフレームグリルを提唱したアウディの手法に似ています。ちなみに、スピンドル=紡錘形のネタ元がトヨタ自動車の前身である豊田自動織機だという話は、どうやら都市伝説の類のようです。
続く第2世代は、横バーが消え、グリルが大きな1つのカタマリになったもので、2015年にマイナーチェンジされたGSや、同年の4代目RXあたりから導入されました。現在に続くスピンドルグリルのイメージが定着した形状と言えます。
そして3世代目と言えそうなのは、2017年登場のLCでの表現です。トヨタの北米スタジオCALTYによるエクステリアは極めて流麗であり、これにマッチさせるべくグリルも大きな曲面で構成、第2世代に比べるとよりボディとの一体感が強くなっています。
この流れは2020年にビッグマイナーチェンジが行われたISや、やはり同年にマイナーチェンジされたLSでも近い表現が見られます。巨大なグリルでありながら浮いて見えない、ボディにまとわりつくような造形です。
BEVだからこそできるボディ一体型グリル
スピンドルボディは当面の解決策?
第4世代は、まさにいま展開されているさまざまな試みです。たとえば、次世代レクサスデザインの第1弾である新型NXでは、グリルの枠を黒くしてボディとの隔絶感を減らしました。さらに、新型LXでは枠自体を取り払い、横桟のみでスピンドル形状を作っています。
第1~4世代までの流れを見ればわかるとおり、スピンドルグリルの歴史は「どうやってボディとマッチさせるか?」の連続でした。レクサスの個性を打ち出すには十二分な素材とはいえ、上下左右に大きなこのグリルを料理するのはなかなか難儀なのです。
そうしたなかで登場したのが、RZの「スピンドルボディ」という提案です。多くのメーカーのBEVに準じたグリルレスを採用し、外形のみを残した独特の形状ですが、ただ、これはBEVという特殊な条件での例外的な造形でもあります。
それよりも、10年以上の試行錯誤とRZの振り切った表現の融合である新型RXの手法が、ある意味レクサス本道の「スピンドルボディ」と言えそうです。これは上海で発表された新型LMも同じで、ボディとグリルをグラデーションでつなげたこの造形が一体化の極みであり、スピンドルグリルの当面の解決策と言えそうです。
さて、今後スピンドルグリルはどうなるのでしょうか? レクサスは、とりわけ海外市場での個性の確立のため「常にチャレンジする」姿勢をとってきましたが、トヨタブランドが新しいプリウスやシエンタなどでシンプル回帰しているように、そろそろ本質的なデザインに向かうべきではないかと思えます。
せっかくボディとの一体化にたどり着いたのですから、1周まわって冒頭のIS Fのようにオラオラ感のない、落ち着きのある表情に昇華するのもアリなのではないでしょうか。
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みんなのコメント
のハリボテなのは周知の事実だけど、
もっとまともなデザインに出来なかったんかい