トヨタの新しいホットハッチ「GRヤリス」は都会ではどうか? 小川フミオがリポートする。
超本格的なホットハッチ
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取りまわしのよいサイズで、かつ楽しい。かつてのミニ(クーパー)がすぐロンドナーに受け入れられたエピソードを思い出させるのが、トヨタが2020年9月に発売した「GRヤリスRZ」だ。パワフルなエンジンと、マニュアル変速機が魅力である。
GRヤリスのオリジンともいえる「ヤリスWRC」は世界ラリー選手権で大活躍中。2021年は4月開催の第3ラウンド「ラリークロアチア」が終了した時点で、ランキング世界トップ。2位のハンデ(現代)を28ポイントも引き離している活躍ぶりだ。
モータースポーツでの活躍は一般的に市販車の販売に貢献する。とはいえ、通常だったら、市販ヤリスを少々チューンナップしてエアロパーツを足すぐらいでお茶を濁すところ、トヨタは、弾けるような加速性とサーキットでの走りを前提としたようなしっかりした足まわりの「GRヤリス」を市販してしまった。
しかも、乗り手は年齢を選ばない、という。60歳をすぎてもみずからモータースポーツに参加するトヨタ自動車の豊田章男社長肝煎りで開発されただけあって、GRヤリスがドライバーとして想定しているのは(おそらく)クルマを楽しみたいという思いが強い老若男女なのだ。
ではGRヤリスは、市街地で乗ると、どんなクルマだろう?
全長3995mmのコンパクトな3ドア・ハッチバックボディに、200kW(272ps)の最高出力を持つ1618cc直列3気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載し、前後輪を駆動するこのスポーツ・モデルは、たとえば、ルノー「メガーヌR.S.」とか、メルセデスAMG「A35」に興味あるひとにも勧められるだろうか?
選んで正解!
GRヤリスは、どんな速度域でも脳天直撃型の楽しさを与えてくれる。東京の市街地でも、排気系の快音をふくめ、じゅうぶん楽しめるクルマである。そして、欧州のホットハッチより、さらにホットかもしれない。
弾丸のような加速感と、重めだけれど正確なステアリング、硬い設定の足まわり、それに足の裏が痛くなりそうなぐらい重めのクラッチペダル……。もちろん大きなフェンダーが張り出したボディも、ホールド性のいいシートが備わる室内も、あらゆるところが特別で、走るのが大好きなひとのために作られたという“いさぎよさ”が感じられる。
マニュアル変速機は6段で、トップギアでようやくオーバードライブになる。ギア比はかなり近接しているので、シフトアップ時にトルクが落ち込むことが少ない。マニュアル変速機にあまり慣れていなくても、370Nmの大トルクのおかげもあって、すこしシフトダウンをサボったとしても、意外なほどスムーズに走れてしまう。
クラッチは強力なので、最初のうちはギアをつなげるのにとまどっても、クルマは許してくれる。半クラッチ状態を多少長めにしても、あるいは逆に、スパッとクラッチを瞬間的につなげてしまっても、いずれの場合も許容される。
慣れてくれば、ほとんどアクセルペダルを踏み込まずに、左足をクラッチのミートポイント(意外に上のほうにある)までさっとあげるコツをつかめばよい。そこからアクセルペダルを踏み込んでいくときの加速の気持ちよさたるや。GRヤリスRZを選んで正解だったと納得できるだろう。
コンパクトで速いクルマに乗る、というのは、むかしから都市に住むクルマ好きが好むクルマ・ライフスタイルだ。冒頭に触れたミニ・クーパーにはじまり、世界各地で連綿とホットハッチとよばれるジャンルのクルマが作られてきた。
おもいあたるライバルがいない
GRヤリスに近いクルマを探してみるが、ここまでていねいに中身が作りこまれたクルマはそうそう思い浮かばない。最近の欧州のホットハッチは、快適性にもそれなりに配慮していて、GRヤリスRZほど、はっきりと割り切った硬い足まわりのクルマは、なかなかみあたらない。
ホンダ「シビック・タイプR」も今は買えないから、運転を楽しませてくれるマニュアル車は稀少になってきた。パワフルなエンジンとの組み合わせでいえば、メガーヌR.S.トロフィーがまず思いつく。ただ全長は4410mmとサイズは大きい。
いっぽうコンパクトなハッチバックでは、全長4065mmの「マツダ2・15MB」が思いつく。エンジン排気量はGRヤリスに近い1496ccであり、これに6段マニュアル変速機を組み合わせている。
このクルマの最大トルクは149Nmと、GRヤリスの370Nmに遠く及ばないので、ある程度アクセルペダルを踏み込んでトルクを増してからクラッチをつながないとギクシャクする。シフトアップ時も同様だ。165万円という価格はGRヤリスの3分の1程度。シャシーや足まわりもそれなり。たいへん好感のもてるモデルであるものの、(むりに)較べてみると、ここでも、GRヤリスの凝りかたが際立つ。
“ピュア”がうれしい
いま燃費規制の問題があって、スポーツカーメーカーも、マニュアル車を作らなくなってきている。アストンマーティンのムアーズCEOなどは、先日オンラインのインタビューで、「マニュアル変速機の搭載はこれからありません」と、明言していたほど。自動変速機にしてギア数を9段とか10段にして走行中のギア比をどんどん高くして燃費をかせぐ必要があるからだ。
そんななかで、操作時にきもちよい節度感のあるギアを手で操作して、クラッチワークとアクセルワークの連携に習熟する楽しみを与えてくれるGRヤリスRZの存在はうれしい。
価格は、標準の「RZ」で396万円。BBS製鍛造18インチアルミホイールにミシュラン「パイロットスポーツ4S」を組み合わせ、かつアルミニウムの対向4ポットキャリパーと通気式ディスクのブレーキシステム、そして人工皮革の「ウルトラスウェード」を使ったパフォーマンスシートなどをそなえた「RZ High Performance」は456万円だ。
ほかに快適な車両を持っているクルマ好きなら、いっそ、RZとおなじドライブトレインをもちながら、専用サスペンションに専用17インチENKEI製鍛造ホイールをそなえつつ、快適装備省略で車重が30kg軽くなった競技用ベースグレードの「RC」(330万円)という手もあるかもしれない。
とにかく、クルマをできるだけピュアなかたちで楽しみたいひとに、GRヤリスのような“最後のとりで”があるのは、じつに心強いことだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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