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かっこいいけどちょっと気になる?? トヨタbZシリーズのBYD協業でトヨタは中国市場で躍進するのか

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かっこいいけどちょっと気になる?? トヨタbZシリーズのBYD協業でトヨタは中国市場で躍進するのか

 上海モーターショーでお披露目されたトヨタのBEVシリーズ「bZ」のコンセプトカー2台。2台ともに中国の自動車メーカーとの協業で開発されており、中国市場での本気度が伺える。今回の発表を皮切りに、トヨタはBEV激戦区の中国において販売シェアを拡大することができるのか?

文/加藤ヒロト、写真/加藤ヒロト、トヨタ自動車

かっこいいけどちょっと気になる?? トヨタbZシリーズのBYD協業でトヨタは中国市場で躍進するのか

■bZシリーズのコンセプト2車種を発表

上海モーターショーでお披露目されたトヨタbZシリーズのコンセプトカー2台。中央に立つのはトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長

 2022年に中国市場で販売された新エネルギー車(BEV/PHEV/FCV)は536.5万台。新車販売の約2割を占めるまでになり、生産も販売も世界最大の電動車市場となった。

 4月18日から開催されている上海モーターショーの会場でも日本、欧州、そして中国の自動車メーカー各社からも続々と新しいEV/PHEVがワールドプレミアとして発表されている。もちろん中国市場向けだけではなく、日本や欧州をはじめ全世界に向けた新型EV/PHEVがほとんどだ。

 このような中、トヨタ自動車は上海モーターショーで電気自動車(BEV)のコンセプトモデル2車種を発表した。ちなみに同じ場所で2021年にはトヨタ初のグローバルBEV「bZ4X」(日本では2022年5月にKINTO限定として発売)がローンチされている。

 上海モーターショーは今回で20回目となる中国でもっとも長い歴史を持つモーターショーで、開催規模も北京や広州に比べて大きい中国最大規模を誇るモーターショーである。北京モーターショーと毎年交互に開催されているが、2021年は新型コロナウィルス感染症の影響下で小規模開催となっており、フルスケールでの開催は2019年以来4年ぶりだ。

 トヨタのプレスカンファレンスは上海モーターショー開催初日の18日朝9時にスタートした。

 発表には2023年4月1日付で新たに代表取締役社長として就任した佐藤恒治氏によるビデオメッセージも寄せられて、佐藤新社長は電動化によって急成長を果たした中国市場への期待感を寄せ、トヨタは継続して中国現地の企業と提携して電動化にコミットしていくことを表明。

 新体制が迎える初めての国際モーターショーがこの上海モーターショー2023ということもあり、象徴的な幕開けとなったに違いないだろう。

 そして早速そのコミットメントの表れとなったのが発表されたBEV 2車種だ。それぞれ「bZ Sport Crossover Concept」「bZ FlexSpace Concept」と名付けられている。

■中国市場でのトヨタのBEVラインアップ

中国専売車のbZ3。bZ4Xに続くbZシリーズの第2弾だ

 トヨタが2021年より展開するBEVラインナップ「bZ」のうち現在、世界中の市場で販売されているのは第1弾車種「bZ4X」、そしてそれに次ぐ中国専売車種の「bZ3」(2022年12月発売)だ。

 中国市場におけるbZ4Xは、トヨタが中国で設立している合弁企業「一汽トヨタ(第一汽車との合弁)」、そして「広汽トヨタ(広州汽車との合弁)」の両方が製造・販売を行なっているが、このケースは非常に稀、というかまったく初めてのケースとなる。

 通常、自動車メーカーが中国にて2つ以上の合弁会社を有する場合は、一つのモデルをデザインや名前の異なる姉妹車としてそれぞれの合弁会社から展開するのが一般的だ。

 例えば、トヨタは「カローラ/レビン」、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「カローラクロス/フロントランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」、「クラウンクルーガー/ハイランダー」などをそれぞれ一汽トヨタ/広汽トヨタで展開中だ。

 これが慣例となっている中で、一汽トヨタと広汽トヨタ両方から、デザインと名前を一切変えずにbZ4Xを中国で展開するのには驚かされた。だがこれも、bZ4Xという新たな未来の幕開けを象徴する車種を「合弁の垣根を越えて展開したい」という思惑の現れなのかもしれない。

 一方で、中国専売車の「bZ3」はトヨタがBYDと共同開発し、一汽トヨタが独占して製造・販売を行う車種となる。広汽トヨタ版の姉妹車も存在しないので、モデル数で見れば一汽トヨタの方がBEVのラインナップが1台多いことになる。

 bZ3は2021年12月にお台場のメガウェブ(2021年12月末で閉館)で行われた「BEV戦略説明会」にてお披露目された「bZ SDN」の市販車だ。

 コンセプトモデルがお披露目された段階から「中国テイストを感じる」と評されていたが、その通りで、まさに中国企業BYDと協力して開発された中国専売車であることが明らかになった。

■ BYD/広州汽車との協業だが詳細は分からず

 話を上海モーターショー2023に戻そう。今回発表された2つのコンセプトモデルは、2024年には中国市場で発売を予定しており、すでにそれぞれ一汽トヨタと広汽トヨタが製造・販売を予定している。

 トヨタは、プレスリリースで2つのコンセプトカーがBEVであるという事実を除いて詳細を明らかにしていない。現時点でわかっていることをお伝えしておきたい。

●bZ Sport Crossover Concept

トヨタ bZ Sport Crossover Concept。C-HRに通ずるスペシャリティ要素の強いデザインが特徴的だ

 bZ3同様、BYDとの協業で誕生したモデル。トヨタ自動車、一汽トヨタ、トヨタ モーター エンジニアリング & マニュファクチャリング チャイナ (TEMC)、および BYD トヨタ EV テクノロジー (BTET) によって開発がすすめられたとされるが、主導したのは2020年4月に発足したトヨタとBYDの合弁会社BTET(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY 本社:広東省深セン市 坪山区)である。

 また、実際の市販車の製造および販売は「一汽トヨタ」が担当する。詳細は明らかにされていないものの、bZ スポーツ クロスオーバー コンセプトのバッテリーはbZ3と同じく、BYD のブレードバッテリー技術が採用されている可能性が高い。

 デザインは非常に若々しく、ダックテールスポイラーのように尖ったリアビューが目を引く。トヨタによれば、このコンセプトモデルは若年層の購買層を措定してスタイリッシュ、そしてアクティブに仕上げたとのこと。

 クルマに乗り、クルマで移動することで気分展開を行いたいという思いを込めた「Reboot(再起動の意)」がテーマとなっているが、インフォテインメント機能やコネクティッド技術など、中国の若年購買層が特に求める分野が盛り込まれることになるだろう。

●bZ FlexSpace Concept

トヨタbZ FlexSpace Concept。こちらはファミリー向けの1台となりそう

 対して、同時に発表されたもう一台の「bZ FlexSpace Concept」は広州汽車(GAC)、そして広汽トヨタと共同で開発された「実用性重視」のファミリー向けBEVとなる。TEMC が開発したモデルゆえにGAC Aionの EV 技術を採用している可能性は大ではあるが、こちらも詳細は公開されていない。

 なお、GAC AionとはGAC Aion New Energy Automobile Co., Ltd.のことで、2017 年 7月 28 日に設立された革新的なテクノロジー企業である。Aionとは広州汽車集団(GAC)の電気自動車シリーズで、AION SやAION Yなどのモデルが現在中国で販売されている。

「bZ FlexSpace Concept」は家族が安心、そして快適に自由な移動を楽しめる大空間を特徴としており、実際の市販車は「安全性」に「航続距離」、そして何よりも「扱いやすさ」を念頭に置いて仕上げられているはずだ。

 コンセプトモデルなので同じサイズ感のまま市販化されるとは断言できないが、雰囲気としてはRAV4やbZ4Xを少し拡大させたようなものとなる。デザインも「bZ Sport Crossover Concept」とはうって変わって落ち着いた印象を見るものに与えている。

■トヨタはEV激戦区の中国でシェア拡大なるか!?

bZ Sport Crossover Conceptはリアもかなりアグレッシブなデザインだ

 中国政府による電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの「新エネルギー車」の普及が本格化して今年でちょうど10年になる。2013年から中央政府と主たる地方政府で購入補助金を出すとともに、取得税の免除やナンバープレートの無条件提供などの優遇措置によって販売台数は飛躍的に拡大した。

 ちなみに、ナンバープレートに関する優遇とは、北京や上海、杭州などの大都市で大気汚染防止や渋滞抑制のためにガソリン車に対するナンバー発給を長年制限しているもので、実際、日本では考えられないが、ナンバープレートをもらうまで1年以上待つこともある。

 それが新エネルギー車に対しては、現在もガソリン車よりは大幅に入手しやすい措置が取られている。このような政府の後押しもあって2013年にはわずか3万台だった新エネルギー車の販売台数は2022年に前年比81.6%増の536万5000台に達した。これは22年の日本の新車販売台数(約420万台)を大きく上回る数字である。

 しかし、これは購入補助金が2022年12月で完全終了することによる駆け込み需要ももちろんあるだろう。現在は取得税とナンバープレート発給優遇のみとなっているため、今後はBYDのように価格が安く航続距離が長いBEVが中国での販売台数を伸ばしていくものと予想される。

 中国市場で長年、圧倒的な信頼と人気を誇るトヨタブランドがEV激戦区の中国でどこまで販売シェアを拡大できるのか? これから数年間、世界の注目を集めるだろう。

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みんなのコメント

30件
  • 中国でクルマを生産・販売するには現地企業と共同開発・製造をしないと成り立たない。
    中国はこうやって技術を取り込んで来た。
    このやり方はトヨタだけでは無いが、中国に都合が良い運営で有利に働く。
    中国のやり方がえげつないな。
  • 共存??? トヨタイムズは虚偽なのかな(^^;)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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