自動車メーカーが自社で開発・製造することの多いエンジン。パワーや音などの特性がメーカーの設計によって異なり、その個性を楽しむこともできる。その一方、ハイブリッドカーである初代プリウスが1997年に発売されて以降、EV(電気自動車)や燃料電池車なども数多く登場し、クルマの動力源としてモーターの存在感が大きくなってきた。では、そのモーターはどんなメーカーが作っているのか。また、メーカーごとに特性の違いはあるのか。モータージャーナリストのこもだきよし氏に聞いた。
モーターは、エンジンよりもきめの細かい制御を可能にする
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クルマの動力源といえば、エンジンの時代が長らく続いてきた。しかし、ハイブリッドカーやEV(電気自動車)などの台頭によりモーターの重要度が徐々に増してきている。では、そのモーターはどこで開発されているのかというと、実はエンジンと同じように自動車メーカーで開発されていることが多い。
自社開発といっても部品はサプライヤーで製造されているだろうが、そこでどんなに高出力なモーターを採用できたとしても、それだけで優秀な原動力にはなり得ない。モーターの回転速度や出力などの制御を、電圧や周波数の調整で行うインバーターを連携させることで、ようやくクルマの動力源として本来の性能を発揮するからである。
このインバーターによる制御方法が自動車メーカーごとに違うため、アクセルレスポンスやトルクカーブなどの特性が異なってくるのである。
ちなみに、日産リーフの初代と現行モデルに採用されているモーターの型式はEM57型と、両モデルで共通だ。しかし同じ型式であっても、現行モデルでは最高出力/最大トルクともに向上している。
その理由は、モーター駆動電流の増加と新型プロセッサーという最新の制御技術を導入したためだ。最高出力は80kWから110kWへ、最大トルクは254Nmから320Nmへと大幅なアップを果たしている。
また、一般的にモーターはタイヤの転がり始めから最大トルクを発生し、リーフの場合では0-3283rpmという低回転域で発生する。ここがエンジンと大きく異なるところ。
この特性を活かした機能が、リーフのインテリジェント・ライドコントロールである。路面の凹凸に合わせてタイヤの回転を微細にコントロールすることで、ピッチングを防ぐというものだ。レスポンスの素早いモーターだからできる業である。
同じように雪道などの滑りやすい路面で、トラクションコントロールをきめ細かく作動させ、エンジンでは実現できない滑らかな加速と高いトラクション性能を発揮することもできる。
コーナリング中にESCと連動させることで、ハンドルの舵角に合わせてクルマの向きを制御することも可能だ。
エンジンよりもきめの細かい制御ができるモーターは、クルマの電動化により活躍する範囲を今後もさらに広げていくだろう。そして、進化する余地がまだまだあるということでもある。
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