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モデル末期でも魅力薄れない秘訣は? 円熟の現役国産車 4選

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モデル末期でも魅力薄れない秘訣は? 円熟の現役国産車 4選

 フルモデルチェンジを行ってから時間を経過しても、売れ行きをあまり下げない車種がある。それは主にN-BOX、スペーシア、ヤリス、フィットのような実用的な車種になることが多い。

 これらは日常生活のツールだから、車種を変えると使いにくくなる場合もある。また新型車になっても、急いで乗り替えることはない。使っているクルマの車検期間が満了に近付いた時、定期的に購入する。従って売れ行きが下がりにくく、安定して売れ続ける。

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 これらはメーカーや販売会社にとって、売り上げを支える大切な柱だから、細かな改良も入念に行う。その結果、時間の経過に伴って熟成されていく。

 発売から時間を経過しても売れ行きを下げない円熟のクルマには、数は多くないが、趣味性の強い車種も含まれる。

 本稿では、そうした円熟の味わいをもつ国産車を紹介していきたい。

文/渡辺陽一郎 写真/TOYOTA、編集部

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スズキ スイフトスポーツ/2017年発売

4代目スイフトスポーツ(2020年販売台数:1万1777台/全長3890mm×全幅1735mm×全高1500mm)

 冒頭で触れた趣味性の強い車種のなかでも、特に親しみやすいのがスイフトスポーツだ。コンパクトカーのスイフトをベースに開発されたスポーティモデルで2017年に発売された。今では3年半を経過する。

 スイフト全体では、2020年に約2万8000台を登録したが、この内の42%をスイフトスポーツが占めた。スイフトスポーツのグレードは1種類だから、販売比率はかなり高い。

 全長が3890mm、全幅が1735mmのコンパクトなボディは、街中から峠道まで、さまざまな場面で運転しやすい。エンジンは直列4気筒1.4Lターボで実用回転域の駆動力が高く、2.3Lに相当する性能を発揮する。車両重量は970kg(6速MT)と軽く、加速感も活発だ。

 足まわりのフロントストラットとリア側のショックアブソーバーはモンロー製で、操舵感は適度に機敏で車両の向きを変えやすい。峠道では前輪が踏ん張り、アクセルペダルを緩めることで、車両を内側へ向ける操作も安心しておこなえる。

 前輪駆動のスポーツモデルとして熟成され、クルマ好きから高い支持を得た。そのために販売も好調だ。

トヨタ アルファード/2015年発売

3代目アルファード(2020年販売台数:9万748台/全長4945mm×全幅1850mm×全高1935mm)

 アルファードの売れ行きは絶好調だ。売れ筋グレードの価格が400万~550万円に達するLサイズミニバンなのに、2021年1月の登録台数は1万台を超えた。トップクラスの販売実績だ。

 その一方で姉妹車のヴェルファイアは994台しか売れていない。現行型の登場時点ではヴェルファイアの登録台数が多かったが、マイナーチェンジによるフロントマスクの変更でアルファードが多く売られるようになった。

 2020年5月には全国のトヨタ全店で全車を販売するようになり、従来はアルファード&ヴェルファイアを扱っていなかったトヨタ店やトヨタカローラ店でも、アルファードが好調に売られるようになった。

 それでも月に1万台の登録台数は凄い。発売は2015年で、2016年の月平均登録台数は、アルファードとヴェルファイアを合計して約7200台(この時点ではヴェルファイアの売れ行きが多かった)。

 それが今は1万台を超えるから、アルファードはマイナーチェンジが成功して一種のブームを迎えている。

 アルファードの魅力は、独特のフロントマスクが生み出す存在感の強い外観、豪華で広い室内空間、高い視線によって周囲を見降ろせる乗車感覚、快適な乗り心地、着実に進化している安全装備と運転支援機能、ハイブリッドの設定などだ。

 これらの効果で、ライバル車と比較しても、アルファードはオデッセイの7~10倍、エルグランドの15~18倍を登録している。Lサイズミニバン市場を独占しているわけだ。

マツダ ロードスター/2015年発売

4代目ロードスター(2020年販売台数:4434台/全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mm)

 クルマと一体になって楽しく走れるスポーツカーの代表がロードスターだ。

 現行型は2015年に発売され、今はスポーツカーの売れ行きが下がって登録台数は少ないが、それでも2016年は約6100台、2017年は前年に追加されたRFが堅調に売れて7000台、2018年は5300台、2019年は4700台、2020年はコロナ禍の影響を受けたものの4400台となった。時間が経過しても、売れ行きがあまり下がらない。

 このような売れ方をする理由は、ロードスターを定期的に乗り替えるユーザーがいるからだ。全長を4m以下に抑えた後輪駆動のスポーツカーは、軽自動車のS660を除くと日本車では存在しない。

 車両重量はソフトトップであれば1020kg(RS)と軽い。吹き上がりの良い1.5Lエンジンとの組み合わせで、峠道の走りは抜群に楽しい。

 電動開閉式のハードトップを備えたRFは、2Lエンジンを搭載して、長距離ドライブも快適だ。

 「人馬一体」と表現されるロードスターの運転感覚は、すべてのマツダ車のコンセプトに結び付いている。登録台数は少なくてもマツダの基幹車種だから、力を入れた開発が行われ、国内市場との親和性が高いこともあって売れ行きを下げない。

三菱 デリカD:5/2007年発売

デリカD:5(2020年販売台数:1万1157台/全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mm(2019年2月登場モデル))

 三菱の販売店では「デリカD:5のみを乗り継ぐお客様が多い」という。三菱は国内で展開する販売店が約600箇所と少なく(トヨタ:4600箇所、ホンダ:2200箇所、日産:2100箇所)、登録台数自体は多くないが、売れ行きを低下させない。

 現行型は2007年に発売されてから14年を経過するが、2019年には約2万台、2020年は1万1000台を登録。2020年の販売実績は2015年と同等だから、コロナ禍の影響を受けながらも堅調に売られた。

 販売に弾みを付けたのは、2019年に売れ筋のクリーンディーゼルターボ搭載車に実施された大幅なマイナーチェンジだ。

 フロントマスクなどの外観、インパネを始めとする内装、クリーンディーゼルターボの性能や静粛性、走行安定性、乗り心地などを刷新した。さらに衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能も充実させ、商品力をフルモデルチェンジ並みに向上させている。

 その結果、販売店のコメントの通り、従来型からの乗り替えも一層進んだ。そしてデリカD:5が以前から備えていた特徴も、息の長い人気を保っている理由だ。

 まずはSUVと同等の悪路走破力がある。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は185mmを確保したから、悪路のデコボコも乗り越えやすい。4WDには多板クラッチの締結力を強めるロックモードも装着され、悪路走破力はミニバンのナンバーワンだ。車高を高めたことで、外観のSUVらしさも強調されている。

 実用回転域の駆動力が高く、燃費の優れたクリーンディーゼルターボも魅力だ。ディーゼルエンジンを搭載するミニバンは、デリカD:5とグランエースのみだから、貴重なセールスポイントになっている。

 居住性については、全長が4800mm以下のミニバンでは、3列目シートが最も広い。多人数で乗車して、長距離を快適に移動できる。3列目を跳ね上げるとボックス状の広い荷室になり、4名で乗車して大量の荷物を積める。

 こういった特徴が相まって、デリカD:5の人気は根強く、中古車市場でも高値で販売されている。そのために購入してから数年を経た時の売却額も高く、残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残価の割合)も55%に達する。

 ほかのミニバンは42~47%だから、デリカD:5なら好条件で手放すことが可能だ。そうなると前期型のユーザーも後期型に乗り替えやすい。

◆  ◆  ◆

 以上のように息の長い人気を保って円熟に達した車種達は、いずれもほかのクルマでは得られない独自の魅力が備わる。これらの車種には、商品開発の大切なヒントが秘められていように思う。

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みんなのコメント

2件
  • デリカしぶといね。
    あの顔でも売れ続けるとは意外だった。
    いい車を作れば売れるということなのだろう。
  • デリカって14年もフルモデルチェンジしてないんだ。
    今のはフルモデルチェンジに近いくらいに外観が変わってしまったから古いように感じない。
    改良を繰り返しながら進化させるのもいいかもしれない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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