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【リーフとの共通項は?】日産eパワー多モデル化へ 排気量拡大も視野?

掲載 更新 17
【リーフとの共通項は?】日産eパワー多モデル化へ 排気量拡大も視野?

気になる話……

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】日産のeパワー・モデル【どんなモデルがある?】 全165枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

「eパワーのユニットバリエーションを増やすべく、現在開発中だ」

日産の技術関係者が興味深いことをいった。

2020年12月に日本国内で発売された新型ノート。発表前に横浜市内の日産スタジアムで報道陣向けの車両説明と、停止した状態での車両の撮影会がおこなわれた。

そして2021年2月に入り、新型ノートの技術陣と報道陣との意見公開会がオンライン会議システムを使っておこなわれた。前述のコメントは、その際に筆者(桃田健史)から日産側への質問に対する回答の中で出た。

eパワーは、実質的なシリーズ・ハイブリッド機能で、エンジン、インバーター、モーター、小型のリチウムイオン二次電池パックでパワーユニットを構成するものだ。

2016年にノートの商品改良で世界初導入されたeパワーは、市場関係者の予想を大きく超える大ヒットとなった。2018年1月~12月の国内販売台数が13万6324台となり、ライバルのアクア、そしてプリウスを抑え、日産史上初となる乗用車年間ナンバー1を獲得した。

ノートeパワーが売れた理由は、ハイブリッド車の王道であるトヨタと比べて、よりEVに近い走行特性が挙げられる。

今回のフルモデルチェンジでは、初代ノートeパワーに対するユーザーや販売店からの声を十分に加味し、「よりEVに近い力強い上質な走り」を実現した。

先代との大きな差

先代ノートeパワーに対して、市場からさまざまな声があったようだが、筆者が気になったのは大きく2点。

乗り心地/ハンドリングと、エンジンのかかる頻度についてだ。

乗り心地/ハンドリングについては、日産がVプラットフォームと呼ぶ車体が他社を比較するとすでに古い世代の印象があり、先進的なeパワーとのバランス感が課題だった。

新型ではルノーが主体で開発した、CMF(コモン・モジュール・ファミリー)のBセグメント・プラットフォームをベースに刷新し、走りの質感を上げた。

また、エンジンのかかる頻度については、先代から継承している電池容量約1.5kWhのリチウムイオン二次電池パックについて「もっと積極的に電池を使う」方向で制御方法を根本的に見直した。

制御面のみならず、ハードウエアも変わり、日産は第2世代eパワーと呼ぶ。

初代eパワーは、先代ノートとセレナに採用し、第2世代に向けた改良型を日本初導入となったキックスで採用してきた。第2世代では、インバーター自体を40%小型化、33%軽量化し、さらに排気量1.2LのHR12エンジンと一体化させている。

こうしたeパワーに刷新を受けて、日産のこれからのeパワー戦略について今回、オンラインで開発担当者らに聞いた。そのなかで……。

リーフとの共通項

まず聞いたのは、リーフとの部品共通性だ。

これまでもたびたび日産の電動パワートレイン開発関係者が報道陣向けにeパワーの中身について説明してきた。

一方で、販売の現場やユーザーの中には「eパワーのハードウエアはリーフと同じ」と認識している人がまだまだいるように思う。

たしかに、日産はeパワーについて「EV市場をけん引するリーフの技術を使った……」という類の普及活動をしている。ただし、リーフと部品がまったく同じとはいっていない。

実際はどうなのか?

まず、モーターだが、日産の内製品であり「製造ラインはリーフ向けとeパワー向けは同じ」(eパワー開発担当者)という。磁気を伴う部品などで共通性はあるものの、モーターの外観は大きく違う別物だ。

また、電池はまったく違う。一般的にEVとハイブリッド車では必要とされる電池の特性が違う。リーフの電池は、もともと日産が出資するAESC(オートモーティブ・エナジー・サプライ:現在は中国のエンビジョン資本下)で生産されており、筆者はその製造工程を現地で詳しく取材しているが、eパワー向けはそこで生産されていない。

そのうえで、eパワー向け電池の、セル形状やセルの製造メーカーなどについて、日産は現時点でも公表していない。

排気量拡大型eパワーは?

インバーターも内製であり、ハードウエアの一部はサプライヤーから供給されても、制御のキモとなるソフトウエアではミドルウエア以上のアプリケーションの領域で、リーフを含め、これまで日産が電動車開発で培ったノウハウが詰まっている。

もう1つ、筆者からの質問は、eパワーのルノー/日産/三菱アライアンス、およびアライアンス以外に向けた、eパワーシステムそのものや開発ノウハウの外販の可能性についてだ。

この点について、本稿冒頭に紹介したように、ユニットバリエーション拡大を目指しているという。タイではキックスeパワーをすでに販売しているが、欧米含めたグローバル展開を視野に入れているというのだ。

たとえば、欧州では独アウトバーンなど巡航速度が160-200km/hに達するため、既存のHR12(1.2L)では高速燃費が悪くなるため、より大きな排気量エンジンのeパワー化を考慮している。

日産の中期経営経営計画「ニッサン・ネクスト」では、2023年度末までにグローバルでEVを2車種、eパワー4車種を投入としているが、このなかに排気量拡大型eパワーが含まれているかどうかは不明だ。

アライアンスの中では、リーダーとフォロワーという理念として、ルノーや三菱でのeパワー化も十分あり得るが、アライアンス以外への外販の可能性については言及しなかった。

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みんなのコメント

17件
  • 高速巡航時の電力供給を増やすには、発電用エンジンの排気量UPが効果的なの?
    オルタネーターの高効率化かパラレルにするのがイイのかと思ってた。
  • 「欧州では独アウトバーンなど巡航速度が160-200km/hに達するため、既存のHR12(1.2L)では高速燃費が悪くなるため、より大きな排気量エンジンのeパワー化を考慮」

    高速燃費が落ちるのは高速に不向きなモーター駆動のみでエンジン駆動をしないシリーズハイブリッドの宿命。
    排気量を上げたところで充電速度が上がるだけで燃費への影響は少ないはず。
    小排気量エンジンで充電速度を上げる為に高負荷運転するよりは大排気量エンジンで負荷を上げずに発電するほうがマシというレベル。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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