2代目NSXの最終モデルは「タイプS」
ホンダは2021年8月30日、8月3日に先行して情報を公開していた「NSX タイプS」の詳細を発表した。全世界で350台(アメリカ300台+日本30台+その他20台)の販売を予定しており、日本向けの価格は2794万円(従来モデルは2420万円)。9月2日から全国のNSXパフォーマンスディーラーで購入申し込みを開始し、2022年7月に発売を予定している。販売に関する具体的な方法は非公表とのことだが、ホンダでは「本当に欲しいお客様に感謝を込めた本モデルをお届けできるように最善を尽くし、対応をしていきたいと考えております」とのことである。
突如デビュー、スズキ「ワゴンRスマイル」! 丸目+四角いボディのスライドドア車
今年に入ってから衝撃の生産終了の発表が相次ぐホンダ。2021年8月のクラリティ、21年12月のオデッセイ、レジェンド、2022年3月のS660と続いて、「NSXよ、お前もか」。NSXは22年12月で北米の工場での生産終了が決まった。
その最後を飾る限定車として、これまでNSXを支えてきたユーザーの方々に感謝の意を込めた集大成ということで、今回「タイプS」を設定した。タイプSは22年モデルとして唯一設定されるモデルで、事実上のマイナーチェンジ車といえる存在である。
タイプSといえば、初代NSXでは1997年2月のマイナーチェンジで登場したモデル名。ワインディングロードなどでの操る気持ちよさを際立たせたモデルだった。サーキットをより意識したタイプRと比べて、日常使用での快適性を持ち合わせているのが特徴。初代NSXのほかにはプレリュード(1996年)、インテグラ(2004年)、アコード(2005年)、S2000(2007年)に設定された。海外では高級車ブランドのアキュラのスポーツモデルの呼称としても使われており、タイプRに続くホンダ伝統の称号となっている。今回のタイプSは、もちろんSPORTSのSという意味だが、NSXの最終モデルとしてスーパーカーを極める、超越する(SUPER)というニュアンスも含まれているという。
今回のおもな改良メニューは、パワートレーンの性能アップと外観のブラッシュアップである。これまでのNSXを超えるパフォーマンスとデザインを追求し、NSXの最後を飾るモデルにふさわしい内容でまとめ上げた。
<ダイナミクス>パワートレーンを強化
もともと2代目NSXは、「人間中心のスーパースポーツ」という初代のコンセプトを継承。ホンダ独自の3モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」の採用によって、エンジンだけでは達成することが難しい、高いレベルのレスポンスとハンドリング性能を実現した点が最大の特徴である。タイプSは、“全速・全域スーパーカー体感”をうたい、ドライバーとクルマの一体感や操る喜びをさらに向上させることがテーマである。
■パワートレーン
3.5L・V型6気筒ツインターボエンジンは、高耐熱材ターボチャージャーの採用によって過給圧を5.6%アップ。インジェクターの噴射量を25%拡大し、フィンピッチを変えて放熱性を高めたインタークーラー(放熱量15%向上)を採用。なお、ターボチャージャーとインジェクターは従来、欧州仕様車で使っていたもので、タイプSの過給圧はヨーロッパ仕様とは異なる。インタークーラーはタイプS専用である。これらによって、出力は20モデルとの比較で22馬力/5.1kgm向上し、529馬力/61.2kgmになった。
リチウムイオン電池は従来とハードは共通だが、バッテリーの使用可能容量を20%拡大することによって、出力を10%アップし、7馬力向上させた。また、前輪の左右を独立した2つのモーターで駆動するツインモーターユニットは、レジェンドなどで使用しているローレシオタイプ(従来比20%ローレシオ化)のものに変更。加速時のレスポンス向上とバッテリー使用量アップによるスムーズなEV走行を実現した。こうしたパワートレーンの改良によって、システム出力は29馬力/2.1kgmアップの610馬力/68.0kgmになった。
9速DCTは、減速側のパドル(左側)を0.6秒ホールドすることで瞬時にもっとも低い適切なギヤにシフトダウンさせることができるパドルホールドダウンシフトを装備。従来はパドルの操作によって1段ずつシフトダウンする必要があったが、タイプSでは車速に合わせたギヤに自動的に落としてくれる。この機構はスポーツカーメーカーでの採用実績が増えており、今回ホンダで初めて採用した。
さらに、運転時の高揚感やクルマとの一体感を高めるためにエンジンサウンドのチューニングも行っている。
■ボディ/シャシー
アクティブダンパーシステムは、ダンパーの減衰領域を拡大。特にバネ上の制振域のレンジを広げることで、乗り心地とハンドリングの両立に貢献している。
タイヤは銘柄をコンチネンタル「スポーツコンタクト6」から、ピレリ「P-ZERO」に変更。グリップ性能のさらなる向上を図っている。また、フロント245/35ZR19(93Y)、リヤ305/30ZR20(103Y)のタイヤサイズは従来と共通ながら、ホイールのインセットを変える(フロント55mm→50mm/リヤ55mm→45mm)ことで、トレッドをフロント10mm/リヤ20mm拡大。限界性能とコントロール性を引き上げている。
■進化した走行モード選択システム
2代目NSXの特徴の1つとして、走行シーンに応じて4つの走行モードが選択できる「インテグレーテッド ダイナミクス システム」があげられるが、タイプS専用に、アクティブダンパーシステムや電動パワーステアリングの制御を見直している。また、スポーツハイブリッドSH-AWDの駆動配分制御も変更した。
・QUIETモード:EVドライブの加速性能向上、EV走行領域の拡大。
・SPORTモード:全輪の駆動制御や姿勢制御を最適化。少ない操作でレスポンスのよさ、軽さを感じる制御セッティングに変更。
・SPORT+モード:SPORTモードに対して、さらに地面をつかむようなトラクション系の制御に変更。
・TRACKモード:サーキットでのハイパフォーマンス走行での高いコントロール性とエンジンサウンドの一体感を向上。鈴鹿サーキットのラップタイムでは20モデルに対して2秒短縮している(タイムは公表していない)。
<デザイン>内外装に特別感を
「パフォーマンス・デザイン」をコンセプトに、高いパフォーマンスを実現させるための機能と、存在感あるデザインを高次元で両立させた点がポイント。大きくは前後バンパー、ホイール、内外装のカラーを変更しているが、細部の仕上げにもこだわっており、トータルでタイプSの世界観を表現している。
■エクステリア
従来のワイド&ローをより際立たせるアグレッシブな造形とした。前後バンパーは新デザインとし、エアロダイナミクスの大幅な向上を追求。空力と冷却を高次元で両立させるため、デザイナーとレース経験のある技術者がシミュレーションや風洞実験、走行試験を重ねて作り上げた。
フロントバンパーはワイド&ローで地を這うようなスタンスに見えることを意識したデザイン。バンパーを約37mm延長して、より存在感を高めている。カーボン製のフロントリップスポイラーは風をきっちり床下に流す形状である。
リヤバンパーは大型のカーボンディフューザーを中心に、踏ん張ったようなスタンスのよさを追求。特にディフューザーの下部にある片側3本のフィンは空力にこだわって開発したもので、高さや角度、向きを微細に調整。内側のフィンはセンター部分の流速を確保して、強いダウンフォースを発生させ、外側の2本のフィンは走行時のタイヤによる空気の乱流の侵入を防いでダウンフォースの変化を抑制する。色気を感じさせる迫力と機能性を両立させたデザインだ。なお、リヤバンパーは約8mm延長され、前後トータルで45mm延び、全長は4535mmとなった。
鍛造ホイールも新作で、シャープなエッジと立体感を際立たせ、デザイン性と性能に寄与する剛性を両立。軽さ、強さ、速さが感じられる意匠で仕上げたという。シャークグレーとベルリナブラックの2色を用意。
そのほか、細部では、ヘッドライト/リヤコンビランプのレンズをブラック化してダークな印象に。ドアミラーとドアハンドルはピアノブラック塗装(ドアミラーは下半分→全体に拡大)とし、エキゾーストフィニッシャーもブラックに変更。また、カーボンエンジンカバーは光沢なしから、ルーフ同様に光沢を持たせ、さらに中央部分は610馬力(システム出力)の象徴として赤く塗っている。ボディサイドの「Type S」デカールや、エンジンカバーに装着したシリアルナンバープレートによって、タイプSとしての存在感を出している点もポイントである。
■インテリア
インパネは基本形状に変更はないが、センターパッドのところがアルカンターラになり、ステッチの色が変わった点が新しい。シートはカラーバリエーションを一新して、よりパフォーマンスを感じさせるような配色に。ヘッドレストにはNSXロゴの刺しゅうを採用し、グローブボックスには「Type S」専用ロゴを施して、所有感をくすぐる演出を行っている。
■ボディカラー
<特別有料色 69万3000円高>
・カーボンマットグレーメタリック(新色)
・バレンシアレッドパール
・ヌーベルブルーパール
<メタリック・パールカラー有料色 8万8000円高>
・ロングビーチブルーパール(新色)
・サーマルオレンジパール
・インディイエローパールII
・カジノホワイトパール
<標準色>
・130Rホワイト
・ベルリナブラック
・クルバレッド
■インテリアカラー
・レッド
・オーキッド
・エボニー
NSXタイプSのスペックをチェック!
■NSXタイプSの主要諸元
全長×全幅×全高:4535mm×1940mm×1215mm
ホイールベース:2630mm
トレッド:前1665mm/後1635mm
車両重量:1790kg(※ライトウェイトパッケージ1770kg)
乗車定員:2人
エンジン種類:V型 6気筒
ボア×ストローク:91.0mm×89.5mm
総排気量:3492cc
エンジン最高出力:389kW(529ps)/6500~6850rpm
エンジン最大トルク:600Nm(61.2kgm)/2300~6000rpm
燃料タンク容量:59L
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
システム最高出力:610 ps
システム最大トルク:667Nm(68.0kgm)
トランスミッション:9速DCT
駆動方式:4WD(4輪駆動)
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン/後ウイッシュボーン
ブレーキ:前後Vディスク
ホイール:鍛造アルミホイール(前19インチ/後20インチ)
タイヤサイズ:前245/35ZR19(93Y)/後305/30ZR20(103Y)
※オプションのライトウェイトパッケージの装備群(車両重量が20kg軽量になる)
●カーボンファイバー インテリアスポーツ パッケージ
・カーボンファイバーアッパーステアリングホイール
・カーボンファイバーステアリングホイールスポークス
・カーボンファイバーメーターバイザー
●カーボンファイバーリアデッキリッドスポイラー
●カーボンファイバー エンジンカバー
●カーボンセラミックブレーキローター
〈文=ドライバーWeb編集部〉
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
日産「新型エルグランド」いつ登場!? 唯一無二の「ターボエンジン」も搭載か? 王道の「キング・オブ・ミニバン」“全面刷新”に期待高まる!
「娘友達を乗せたらベルト未着用で捕まりました。ママ達は笑うだけで謝りません。不快です」投稿に回答殺到!?「感じ悪い」「でも貴女は命を預かってる」大激論に…悪いのは誰なのか
ミツオカの新型「M55」が808万5000円で申込受付開始! 2025年モデルは100台限定で6MTのみ…全国のミツオカ販売拠点へ急げ!
イイクルマが多すぎて選べねぇ! [日本車]って結局どれが完璧に近いん?
「狭い道で『歩道に乗り上げることをマナー』だと勘違いしている人がいます」 そもそも歩行者からは邪魔です。 交通違反で取り締まりを受けないのですか。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
標準仕様Type S:16万9,500ドル(日本円で約1854万円)
軽量仕様(ライトウェイトパッケージ):18万2,500ドル(日本円で約2000万円)