1962年のコルト600からスタートした、三菱のコンパクトカー「コルト」の系譜。1963年にはコルト1000が、1965年にコルト800が登場し、コルトという名の様々なクルマが生み出されていた。昭和の時代に一度止まったコルトの名前は、平成で30年ぶりに復活する。欧州の気品が漂う、シンプルで骨太な4代目コルトを振り返っていこう。
文:佐々木 亘/画像:三菱
三菱 コルトが男女ともに愛されたきっかけは女性スタッフチーム!?
高い質感のスモールカー
戦後三菱が初めて独自でつくった三菱500。それを引き継いだコルト600。平成に誕生したコンパクトカーが三菱の歴史を背負ってもいた
2002年に登場した4代目コルト。三菱とダイムラークライスラーが共同で開発したこのクルマは、ダイムラークライスラーでスマートフォーフォーとして販売されている。
エクステリアは、フロントからテールエンドまでが一筆書きで描けるようなボディラインになっていて、スマートさと愛らしさが共存する。国内では5ドアモデルのみだったが、欧州では3ドアや2ドアカブリオレもあり、様々なカタチのコルトを楽しむことが出来た。
コルトの特徴は、オリジナリティの高いクルマに仕上げられることだ。
1.3Lと1.5Lエンジンのそれぞれに3グレードずつが用意されていたが、それと別にインテリアの色や素材の組み合わせをユーザーが自由に選択できたのが大きな特徴。ボディカラーも10色用意され、コルトを中から外まで自分好みに仕上げることができたのだ。
欧州仕込みの内装はフィット以上の仕上がり
コルトの内装。シンプルな内装に大きなシートが特徴
コルトのインテリアで最も良かったのが、欧州仕込みの大ぶりなシートだ。このシートは、ただ大きいだけでなくドライビングポジションも取りやすい。
のちに4G15型MIVECターボエンジンを搭載したRALLIARTが追加されるが、適切なドライビングポジションを取れるインテリアは、走りのモデルでも非常に重宝される存在となる。
コンパクトカーでは、「内装は質素に・シートは小さく」が基本路線なのだが、コルトはその逆を行った。当時のコンパクトカーはフィット一強時代とも言え、コルトの販売は決して楽なものではなかったはず。
それでも細かな改良やグレード展開の整理を行い、地道な努力で商品力強化を続けたのは、真面目な三菱とコルトの性格なのだろう。
結果として10年以上愛されるロングセラーモデルとなったコルト。後世はミラージュに譲ることとなったが、基本性能が非常に高かったコルトを惜しむ声は多かった。
特別仕様車ブルームエディションの威力
ブルームエディションの誕生は女性スタッフで構成されたFM-Seeds(Female Marketing Seeds)の提案によるものだった
2003年には、女性スタッフチームの提案で、特別仕様車「ブルームエディション」が設定されることになる。この仕様が、コルトの中で空前の大ヒットとなるのだ。
ブルームエディションでは、専用ボディカラー、本革調シートカバー、白木調ウッドパネルなどの上質なインテリアに、UV&IRカットガラスやクリーンエアフィルター、アクセサリーボックスなどが装備された。
その後2005年まで、ブルームエディションは毎年の改良が施される。2期目ではアロマディフューザーや消臭天井、コーナー・バックセンサーが装着された。また3期目では、三菱重工が住宅向けエアコン用に開発した技術をカーエアコンに応用した、世界初のアレルゲンクリアフィルターを装備したのだ。
女性ならではの快適性や質感を重視した仕様は、その後Veryグレードへと引き継がれる。ブルームエディションから標準装備へと格上げされた装備も多くあり、ブルームエディションはコルトを支える主力モデルとなった。
ハローキティとのコラボも良く、4代目コルトは女性人気を大いに集める存在となる。硬派なコルトから優しく可愛いコルトへ。車名は同じでも、こうしたキャラクター変更をもろともせずにやってしまうのが、三菱の凄さだ。
2025年4月現在、三菱のコンパクトはソリオOEMのデリカD:2のみ。そろそろ純三菱のコンパクトカーが出てきてもいいのでは。コルトの再復活に期待したい。
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みんなのコメント
エコカー減税のころタイミングよく100万切るグレードを出してそれがわりと売れてニュースになってたな 後継のミラージュがイマイチで終わってスズキ・ソリオのOEM版であるデリカD:2を買うのもちょっと違うと思う人がいるのか今でもたまに見かける
2004年の品質問題の渦中でもまずまず売れていた印象。