従来の2代目とまったく別の雰囲気に
ルノーのスタイリングを統括する、デザイナーのジル・ヴィダル氏が就任したのは、2代目が発売されてから。主力の小型クロスオーバーでありながら、キャプチャーは最新のデザインスタイルから取り残されていた。
【画像】「お化粧直し」で最新ルノー顔に! キャプチャー E-テック 競合クラスのクロスオーバーと比較 全123枚
そこでモデル中期のフェイスリフトは、かなり踏み込んだ内容になった。最新のセニック E-テックのイメージへ、一気に寄せられた。インテリアもだいぶ新しくなっている。それでも、日産ジュークやフォード・プーマなどよりお手頃な価格は変わらない。
キャプチャーの欧州での支持率は高く、2013年の初代発売から、200万台以上がラインオフしている。とはいえ、フォルクスワーゲンTロックやプジョー2008など、強豪も多い。今回のアップデートで、人気の維持を図る狙いだ。
新しいキャプチャーでまず目が行くのは、リフレッシュされたルノーのロゴを中心に、凛々しくなったフロントマスク。2019年に発売された従来の2代目とは、まったく別のシャープな雰囲気を漂わせる。ジグザグに灯るデイライトも新鮮だ。
リア側はこれまでのイメージが残るものの、テールライトへ手が加えられている。ボディサイズは、全長4239mm、全幅1797mm、全高1575mmでほぼ変わりなし。プラットフォームは、ジュークと同じCMF-Bだ。
シャシー回りでは、姿勢制御を改善するためダンパーを更新。フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式のサスペンションと、ステアリングの設計も見直し、よりダイナミックな走りを目指したという。
クリオへ通じるインテリア 扱いやすいタッチモニター
ドアを開くと、新しいクリオ(ルーテシア)との共通性が見て取れる。ルノーが主張する通り現代的かつ上質で、ライバルとは一線を画す印象を与える。
まず目を引くのが、10.4インチのタッチモニター。インフォテインメント・システムにはグーグルの技術が利用され、スマートフォンとワイヤレスで連携できる。カーナビと車両設定、電話、音楽などの項目が画面上部に固定表示され、扱いやすい。
グラフィックも鮮明。グーグル・マップも利用できる。従来まで存在した、エアコンの操作パネルは姿を消したが、モニターの下に鍵盤のようなスイッチが独立して用意され、使い勝手が良い。
ミドルグレードのテクノでは、ダッシュボードがソフト加工され、助手席の正面にはグラブハンドルが備わる。トップグレードのエスプリ・アルピーヌでは、内装の多くがクロス張りに。アルピーヌのロゴもうれしい。
ただし、グレードを問わず高級感はほどほど。硬いプラスティックのままのエリアも少なくない。ATのシフトレバーも、不自然に揺れることがあり、製造品質は高くない様子。バックカメラの画像は荒く感じられた。
標準装備は充実しており、テクノ・グレードでもパーキングセンサーやワイヤレス充電機能、オートヘッドライトなどが備わる。インテリアの雰囲気は、カラーリングでだいぶ変化する。クロームやレザーは、持続可能性を理由に用いられない。
車内空間はやや狭め 相性の良いE-テック
車内空間は、このクラスで比較しても狭めだろう。前席側は、クリオの方が高さ方向に40mmほど余裕があるようだが、原因の1つはサンルーフ。エスプリ・アルピーヌには標準装備だ。もっとも、サンルーフなしでも着座位置が高めで天井は近い。
シートの調整域は広く、自分にピッタリの運転姿勢を探しやすい。座り心地も良く、数時間後に身体のどこかが痛くなることはなかった。小物入れが各所に用意されるほか、複数段にわかれたダッシュボードの収納は、特に便利に思えた。
後席側は、英国の平均的な大人が座れる広さ。高さ方向で920mmあり、クリオ以上だ。座面の位置は高く、乗降性は良い。荷室容量は、リアシートの位置で484Lから616Lへ変化する。その背もたれを倒せば、1275Lの空間を生み出せる。
英国で提供されるパワートレインは2種類。その1つが、1.0L 3気筒ターボで、最高出力は91psを発揮する。6速MTが標準だ。
もう一方が、ハイブリッドのE-テック。95psの1.6Lエンジンに、48psの駆動用モーター、24psのスターター・ジェネレーター、1.2kWhの駆動用バッテリーが組まれる。システム総合で147psが主張される。
筆者が試乗したのは、E-テック。軽負荷時のレスポンスに優れ、市街地で扱いやすく、キャプチャーとの相性は良い。駆動用モーターが積極的に働き、交差点からのダッシュも軽快だった。
自然で直感的な操縦性がストロングポイント
他方、流れの速い郊外では質感に若干の陰りが出る。急な登り坂では低いギアが保たれ、エンジンは必要以上の高回転になる場合も。駆動用モーターからエンジンへの移行も、滑らかさに欠けるかもしれない。
高速道路では、追い越し時のキックダウンが遅れ気味。それでも、パワー不足は感じないだろう。
自然で直感的な操縦性は、2代目キャプチャーのストロングポイント。ステアリングのレシオは速すぎず遅すぎず。切り始めから反応が漸進的で、狙ったラインを辿りやすい。高速道路では、もう少しすわりが良ければ一層ベターだ。
サスペンションは再設計され、安楽な乗り心地からスポーティ志向へ変化。姿勢制御に優れ、挙動を予想しやすく、バランスの良いシャシーを快活で正確に操れる。スタビリティ/トラクション・コントロールの介入は控えめで、邪魔に感じることはなかった。
ボディロールはそれなりに生じるが、意図通り自然にカーブを旋回していく。数多いライバルの中で、褒められる運転体験なことは明らかだ。積極的なドライバーを、満足させるほどではないとしても。
垂直方向の姿勢制御はタイトで、起伏の目立つ区間を走らせると揺れがやや目立つ。工事の補修跡が多い市街地では、落ち着きを得にくいといえるが、不快なほどではない。
ルノーは、乗り心地の改善など、既存ユーザーからの意見を取り入れたとしている。フランス車らしい快適性を求めるなら、19インチ・ホイールは避けた方が良いかも。
完成度を1段アップ 沢山の魅力を発見できる
高速道路では、風切り音やロードノイズが若干目立つ。しかし、110km/hでの走行時の音量は67dBAで、このクラスとしては充分に静かといえる。
180kmほど走った今回の燃費は、試乗したEテックで22.3km/L。市街地や郊外など複合的に運転したが、メーカーのカタログ値を超えてみせた。
大幅にアップデートされた2代目キャプチャー。以前より完成度が1段引き上げられたことは間違いない。スタイリッシュなデザインや、優れた車載技術、快適な乗り心地などが、競争力をしっかり担保している。
E-テックのハイブリッド・パワートレインも、市街地では好印象。燃費に優れ、キビキビ走れる。高速域では、やや荒さが目立つけれど。
英国では2万1095ポンド(約422万円)からという、価格設定もうれしい。小さなクロスオーバーを検討している人は、沢山の魅力を発見できるに違いない。
◯:一新されたインテリア 最新の車載技術 直感的で反応の良い操縦性 優れた価格価値とスタイリング
△:勾配でのオートマティックの仕事ぶり ライバルより狭めの車内
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