現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 衝撃のチップ・ガナッシ同士撃ち。ジャービス/ブロンクビスト組アキュラが逆転でタイトル獲得/IMSAプチ・ル・マン

ここから本文です

衝撃のチップ・ガナッシ同士撃ち。ジャービス/ブロンクビスト組アキュラが逆転でタイトル獲得/IMSAプチ・ル・マン

掲載
衝撃のチップ・ガナッシ同士撃ち。ジャービス/ブロンクビスト組アキュラが逆転でタイトル獲得/IMSAプチ・ル・マン

 10月1日、アメリカ・ジョージア州のミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで、2022年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権最終戦『モチュール・プチ・ル・マン』10時間レースが行われ、メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)の60号車アキュラARX-05(オリバー・ジャービス/トム・ブロンクビスト/エリオ・カストロネベス)が総合優勝を飾り、ジャービスとブロンクビストが2022年シーズンのDPiドライバーズタイトルを獲得した。

 この最終戦の前までチャンピオンシップをリードしていたウェイン・テイラー・レーシング(WTR)10号車アキュラのリッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ組(このレースではブレンドン・ハートレーが第3ドライバーとして加わっていた)は、残り14分まで60号車との直接対決を演じていたが、接触の影響でサスペンションにダメージを受け、レースをフィニッシュすることができなかった。

2023年にデビューするポルシェ963のカーナンバーが決定「かつての栄光の日々を思い出す」/IMSA

■残り1時間で起きたふたつのドラマ
 シリーズ第12戦となるロード・アトランタのレースは、DPi、LMP2、LMP3、GTDプロ、GTDと全クラスが参戦対象。さらに、デイトナ24時間、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間に続く『ミシュラン・エンデュランス・カップ』タイトルのかかる4つめのイベントだ。

 ロングレースということで多くのチームがサードドライバーをエントリーさせただけでなく、小林可夢偉も乗り込むアリー・キャデラック48号車キャデラックDPi-V.Rなど、エンデュランス・カップのみエントリーするマシンも参戦し、全43台とグリッドは賑わうこととなった。

 また、ロード・アトランタは各クラスの激しいタイトル争いが決着するとともに、2017年から続いたDPi規定時代最後のレースとなった。来季からはLMDh規定の車両が争『GTP』クラスへと、最高峰カテゴリーは変貌を遂げる。

 9月30日に行われた予選では、MSR60号車アキュラのブロンクビストがポールポジションを獲得。ランキング2位のブロンクビスト/ジャービスは、これで首位をいくアルバカーキ/テイラー組に、わずかながら肉薄することとなった。

 当初はハリケーン『イアン』の影響も懸念されたものの、晴天のもとで12時10分にレースはスタート。ポールシッターのブロンクビストは順位を下げ、首位には2番手スタートだったチップ・ガナッシ・レーシング(キャデラック・レーシング)の02号車キャデラックDPi-V.Rをドライブするアール・バンバーが浮上する。さらに2番手には、早めのピットストップを選択したウェーレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックがつける展開となった。

 レース前半はこの02号車、さらにチームメイトの01号車キャデラックがリードしていく。

 その後、LMP3車両のクラッシュによるイエロー・コーションの前にピットインを済ませていたJDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックがトップに立つ展開となるが、レース折り返しを前にロイック・デュバルのドライブする5号車は、GTDクラスのバッサー・サリバン12号車レクサスRC F GT3とターン4で接触、2台は左側のバリアへと激しくクラッシュしてしまう。

 これにより導入されたイエローの直前にタイミング良くピット作業を済ませていたWTRの10号車アキュラが首位へと浮上し、レース中盤をリードすることとなった。

 レースは後半に入ってもトップ5台が30秒以内を走る接戦が続き、10号車と31号車、そして再び02号車と、リーダーは移り変わっていった。

 残り1時間を前に、ピットシークエンスの異なる02号車が10号車をリードしていたが、10号車を01号車ランガー・バン・デル・ザンデがパスし、チップ・ガナッシ勢がワン・ツーを形成。60号車ブロンクビストは4番手につけていた。

 残り1時間ちょうどで、首位02号車はピットへ。翌周に01号車がピットへと向かう。それから数分後、目を疑う光景が飛び込んでくる。1コーナーでチップ・ガナッシの2台がバリアへとクラッシュしたのだ。

 リプレイ映像を見る限り、最終コーナーでバックマーカーに詰まった02号車バンバーに対し、加速で勝る01号車バン・デル・ザンデが1コーナー進入へ向けアウトから並びかけたあとに、2台は接触。オフィシャルの手を借りて2台は時間をかけてコースへ復帰した。

 このイエロー(セーフティカー)中、ワン・ツーになった10号車、60号車のアキュラ2台がテール・トゥ・ノーズの状態でピットへと飛び込んでくる。するとここでわずかに作業の速かった60号車ブロンクビストが10号車アルバカーキを逆転。2番手に転落したアルバカーキは、このあとイエロー中にさらにもう一度、ピットへと飛び込み燃料補給を行った。

 クラスごとに順位が整理されたのち、首位60号車、2番手10号車、3番手31号車ピポ・デラーニの3台は、ギャップがゼロの状態で残り32分間のスプリント決戦へと突入していった。4番手の48号車可夢偉以下は、ラップダウンという状況だ。

 トラフィックをかき分けながらの緊迫したポジション争いのなか、残り14分のホームストレートでアキュラ2台はサイド・バイ・サイドの状態となるが、ここでは60号車ブロンクビストがポジションを守ると、直後にバックマーカーと接触した10号車アルバカーキは左リヤサスペンションを破損、スロー走行でピットへとマシンを戻し、タイトル争いが決着した。

 残り10分を切ってGTD車両がクラッシュしたことにより、レースはイエローコーション下で22時10分のチェッカーを迎えることに。総合優勝はメイヤー・シャンク60号車が飾り、2位はウェーレン・エンジニアリング31号車(オリビエ・プラ/デラーニ/マイク・コンウェイ)、3位にはアリー・キャデラックの48号車(マイク・ロッケンフェラー/可夢偉/ジミー・ジョンソン)となった。

 この結果、DPi最終年のタイトルはメイヤー・シャンクのジャービス/ブロンクビストが獲得することとなった。

■GTDプロはRC F、GTDはNSXが制す。下克上の“珍事”も発生
 LMP2クラスでは、タワー・モータースポーツ8号車オレカ07(ジョン・ファラーノ/ルイ・デレトラズ/ルイ・アンドラーデ)が、ファン・パブロ&セバスチャン・モントーヤ親子とヘンリック・ヘドマンが駆るドラゴンスピード81号車を抑え、クラス優勝を果たした。

 LMP3クラスは、アンドレッティ・オートスポーツの36号車リジェJS P320(ジャレット・アンドレッティ/ゲビー・シャベス/ジョシュ・バードン)が制覇。シリーズタイトルは、クラス5位に入ったコア・オートスポーツのコリン・ブラウンとジョン・ベネットが獲得した。

 シボレー、ポルシェ、レクサス、アストンマーティン、BMW、フェラーリ、メルセデスという7車種・7台による接戦がレースを通して続けられたGTDプロクラスでも、終盤のイエロー明けには4台のマシンによる激しいトップ争いが繰り広げられた。

 これを制してクラストップチェッカーを受けたのはリシ・コンペティツィオーネの62号車フェラーリ488 GT3だったが、ドライブ時間違反があり、2位フィニッシュしたバッサー・サリバンの14号車レクサスRC F GT3(ジャック・ホークスワース/ベン・バーニコート/カイル・カークウッド)がクラス優勝へと繰り上がった。これにより、レクサスはウェザーテック選手権の耐久レースでは初となる勝利を飾っている。GTDプロのシリーズタイトルは、パフ・モータースポーツ9号車ポルシェの、マシュー・ジャミネ/マット・キャンベルが獲得した。

 最多台数となるGTDクラスでは、グラディエント・レーシングの66号車アキュラNSX GT3(カイフィン・シンプソン/ティル・ベヒトルスハイマー/マリオ・ファーンバッハー)が、インセプション・レーシングの70号車マクラーレン720Sを抑えて優勝。アキュラNSX GT3にとっても、初めての世界レベルの耐久レースにおける優勝となった。GTDの年間タイトルは、ロマン・デ・アンジェリス(ハートオブ・レーシング)が獲得している。

 なお、今回の総合リザルトでは、GTDクラスのトップ5台が、本来は上位クラスであるGTDプロクラスウイナーよりも前でフィニッシュするという事態が発生している。

 これはレース4回目のフルコースコーションの際、GTDクラス首位のポール・ミラー・レーシング1号車BMW M4 GT3が、GTDプロクラスのバッサー・サリバン14号車よりも前にいたことにより、その2台の間にいた車両がウェーブ・バイによって多くのGTDプロ車両の前に出ることができたためであった。

 2022年のIMSAウェザーテック選手権は、これですべての日程を終了。週明けの5日からは、ロード・アトランタでLMDh車両が走行するIMSA公認テストが行われる。これらLMDh車両は、2023年1月のシーズン開幕戦デイトナ24時間レースでデビューを飾る予定だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ガソリンスタンド最大の謎? 全国どこでも「屋根がフラット」な不思議 「普通の家屋」のような「三角屋根」になっていない理由とは
ガソリンスタンド最大の謎? 全国どこでも「屋根がフラット」な不思議 「普通の家屋」のような「三角屋根」になっていない理由とは
くるまのニュース
注文は想定の5倍以上! 爆売れのスーパーカブ50「スーパーカブ50・Final Edition」ってどんなバイク?
注文は想定の5倍以上! 爆売れのスーパーカブ50「スーパーカブ50・Final Edition」ってどんなバイク?
バイクのニュース
日産・ホンダ経営統合! 合同開発でVTEC搭載「シルビア」が登場? 魅力的なOEM車種も? 元ディーラー目線で考える
日産・ホンダ経営統合! 合同開発でVTEC搭載「シルビア」が登場? 魅力的なOEM車種も? 元ディーラー目線で考える
Merkmal
「高速道路」実は日本に「4つだけ」!? 謎の「第二東海自動車道」が存在する!? 知られざる「特殊な路線名決定」の事情って一体何だ
「高速道路」実は日本に「4つだけ」!? 謎の「第二東海自動車道」が存在する!? 知られざる「特殊な路線名決定」の事情って一体何だ
くるまのニュース
【渋滞予測】2025年、年始のUターンラッシュはいつ? 各高速道路の混雑傾向とは。
【渋滞予測】2025年、年始のUターンラッシュはいつ? 各高速道路の混雑傾向とは。
くるくら
まさかの「ナナマル顔」な箱ばん屋「デストロイヤー」に注目! 丸目×カクカク旧車デザインがカッコイイ! 大きな“TOYOTA”ロゴが目を惹く「“ランクル風”プロボックス」なぜ誕生?
まさかの「ナナマル顔」な箱ばん屋「デストロイヤー」に注目! 丸目×カクカク旧車デザインがカッコイイ! 大きな“TOYOTA”ロゴが目を惹く「“ランクル風”プロボックス」なぜ誕生?
くるまのニュース
自転車もファッションの一部に!  折りたたみ式ハイセンスデザイン電動アシスト自転車 「Wowcat C1」の先行販売がスタート
自転車もファッションの一部に! 折りたたみ式ハイセンスデザイン電動アシスト自転車 「Wowcat C1」の先行販売がスタート
バイクのニュース
これはもう哲学?!  ホンダ『CB400FOUR』の魅力を探る
これはもう哲学?! ホンダ『CB400FOUR』の魅力を探る
レスポンス
そういやなんで「銀のボール」? 当たり前のように使っていたGSのタイヤ空気入れが「球状」の納得な理由
そういやなんで「銀のボール」? 当たり前のように使っていたGSのタイヤ空気入れが「球状」の納得な理由
WEB CARTOP
1月4日から!「バイク王の初売り2025」9万8000円~の特選車争奪戦を開催、合計500台が大放出される!!
1月4日から!「バイク王の初売り2025」9万8000円~の特選車争奪戦を開催、合計500台が大放出される!!
モーサイ
【今年の新型車一覧】2025年に登場するニューモデル51台を画像とともに一挙に紹介!
【今年の新型車一覧】2025年に登場するニューモデル51台を画像とともに一挙に紹介!
AutoBild Japan
暴走族は「高齢リッチ旧車」「若年スクーター」の2極化へ 小人数グループが主流に 江戸川区は「暴走族終了」宣言も
暴走族は「高齢リッチ旧車」「若年スクーター」の2極化へ 小人数グループが主流に 江戸川区は「暴走族終了」宣言も
くるまのニュース
やっぱり単純なモーターショーはもうオワコン? 6年ぶりに開催されたマレーシアのショーでも「クルマはどこ?」状態だった
やっぱり単純なモーターショーはもうオワコン? 6年ぶりに開催されたマレーシアのショーでも「クルマはどこ?」状態だった
WEB CARTOP
走りの命はスプリングにあり!知らなきゃ損するサスペンションの秘密~カスタムHOW TO~
走りの命はスプリングにあり!知らなきゃ損するサスペンションの秘密~カスタムHOW TO~
レスポンス
「まだ安くならないの!?」 なぜ? 高速の「深夜割引見直し」延期へ そもそもどんな制度? 何が変わる? 25年3月から7月に延期! NEXCOがお詫びも
「まだ安くならないの!?」 なぜ? 高速の「深夜割引見直し」延期へ そもそもどんな制度? 何が変わる? 25年3月から7月に延期! NEXCOがお詫びも
くるまのニュース
愛犬家が開発した愛犬家のための電動原付「Doggie(ドギー)」 新色2色を追加
愛犬家が開発した愛犬家のための電動原付「Doggie(ドギー)」 新色2色を追加
バイクのニュース
米国のBEV先進マーケット、カリフォルニア州における電動車販売ランキング
米国のBEV先進マーケット、カリフォルニア州における電動車販売ランキング
カー・アンド・ドライバー
全長4.3m! 日産「ティーノ」とは? 「前列3人座れる」斬新シート採用! メーカー初の“電動モデル”もあった「“2列6人乗り”ワゴン」がスゴかった
全長4.3m! 日産「ティーノ」とは? 「前列3人座れる」斬新シート採用! メーカー初の“電動モデル”もあった「“2列6人乗り”ワゴン」がスゴかった
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村