もくじ
ー S-AWCの走行モードを試す
ー パワートレインとフットワーク
ー 2つの理由
S-AWCの走行モードを試す
前編ではASC(横滑り防止&トラコン)を切って雪上ラリーかジムカーナのように走らせていたが、それもS-AWCのお陰である。
S-AWCの走行モードはエクリプスクロスが「オート」「スノー」「グラベル」の3モード設定。ごく大まかな操縦特性は変わらないが、モードによって4WD用クラッチの締結力制御が異なっているようだ。
「オート」はクラッチ制御が緩く、軽快な印象を受けるが抑えがあまい感じである。「スノー」は操舵への対応も「オート」よりも締まった感じだが、加減速に主体で早め早めに締結力を高めている印象。
操舵にも加減速にも締結力を高く維持しているのは「グラベル」だった。で、各モードの制御の違いは「お仕事モード」で試して、試乗時間の大半は心の求めるままに「グラベル」で走ることとなった。
4WD用クラッチ締結力100%ならソリッド4WDとなり方向安定も最大。自転速視点では角速度減少方向。クラッチがフリーになればFF状態でアンダー/オーバーステアの振れ幅が大きくなる。同じく角速度が増減しやすい状況である。
全輪が確実にグリップしている時間がごく僅かな雪上スポーツドライビングということもあるが、「グラベル」では大半をソリッド4WDもしくはそれに近く制御され、転舵時にのみ締結を解放しているような印象を受ける。
制動を残しながらのコーナーへの進入では、ちょっと深切り操舵でスリップアングルを大きめにして、アクセルを開けつつスリップアングルを維持し、速度でラインを孕ませていく。
S字路の切り返しではリアを滑らせながら次のコーナーへのスリップアングルを造る。素早いカウンター等々の修正で押さえ込む必要はない。S-AWCの巧みな4WD制御が自転速を程よく制御してくれるのだ。自転挙動の安定と収束のよさには感嘆させられる。
パワートレインとフットワーク
エクリプスクロスの4B40ターボは最近のダウンサイジングターボらしく低回転から扱いやすいトルクを立ち上げる。通常なら2500rpmも回していれば十分であり、高速追い越し加速でも3000rpmを超えずに済ませてしまうが、ここではマニュアル変速により3000-4000rpmを保つようにギア選択を行っている。ペダル踏み込み量の微妙なコントロールに追従させるためだ。
それに時として姿勢とラインを維持のため過剰駆動力で滑り量を制御する必要もある。エンジンブレーキの微妙なコントロールやフットブレーキへの滑らかな移行にもいい。
だからといって4000rpm以上では駆動トルクもエンジンブレーキも過剰になりやすい。過剰域ばかり増えて駆動力コントロールも神経質になる。エクリプスクロスのパワーユニットで、その按配がいいのが3000-4000rpmなのだ。もっとも、稼げるところで確実に稼がなければならないタイムトライアルならば話は別だが。
パワートレインがいい感じなら、フットワークもいい感じ、なのだ。直線路に設定されたうねりがなかなかの曲者。ジャンピングスポットという体で、多分100km/hも出ていればそうなるだろう。
その後にはコーナーが控えているのでそんなギャンブルはしたくない。それでも80km/hくらいと思われ、ジャンプしなくてもサスが伸びきっているような感じだ。
真っ直ぐ走り抜けると両輪ずつ跳ね上げられる。そこでうねりに入る直前にステアリングを軽く左右に振る。蛇行させるというより、車体を揺らす感じである。ヨー変化少なくロールさせるのだ。
伸ばした側、ここでは左-右と切り返したので、右前輪からジャンプ台へ。路面に跳ね上げられるのではなく、車体を軽く持ち上げた状態で進入する。いわばスキーにおけるプレジャンプのような感じだ。
2つの理由
理由その1、左右両輪の接地荷重が同時に抜けない。サスの伸びストロークは荷重抜け、縮みは荷重増。両輪一緒にうねりに突入すれば抜ける時も増す時も同じ。方向安定が失われやすい状況になってしまう。
理由2、両輪同時に突き上げられた時より重心の上下動を少なくできる。同じ突き上げ負荷でも片輪で受けるのと両輪で受けるのではサスの受ける負担は半分。片輪で受ければサスの縮み量が大幅増で、重それに伴い重心の上下動も減少する。左右輪の位相ずらしの利用と考えてもいいだろう。これで車体の上下動を少なくできる。
こんな「斜めジャンプ」的なことをやったことも利いてか、エクリプスクロスもアウトランダーPHEVもうねり通過は驚くほど滑らかである。こういった小技をしっかりと使えることもさることながら着地した後の姿勢の収まりのよさも秀逸だ。跳ね返りというか揺れ返しがあまりなく、何事もなかった如く安定した直進状態に復帰した。ラリー車みたいだ。
「そんな走り方しないし、スリップそのものが嫌!」と思えば、こんな特性も無用の長物。滑りを積極的に活用こと自体が邪道と考えてもおかしくない。これはASCオフの裏技のようなもので、ASCを入れておけばグリップ最優先で安定最優先制御。
意図的に滑らせるような走り方をすればすぐにASCやAYC、トラコンが介入して方向安定とグリップを回復させる。しかも、しばらくは加速が抑制される。派手な走らせ方はできないが状況に応じた扱いやすさと安心感をもたらす。公道に持ち出せば余程の特殊な状況以外は絶対にASCオンなのだ。
ASCオフでの走行のひとつの理由は冒頭で述べたとおり。もうひとつは安全確保を最優先としない状況でS-AWCが何をしているか知るため。自転公転などと小難しくなったのも、そこに要点の1つがあるからだ。
車両運動性の理論に忠実であるためのS-AWCとシャシー設計であり、だからこそファントゥドライブと安全を矛盾なく融合できたのだ。
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