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ベントレーひと筋で半世紀。勤続50年のコーチトリマーが伝えるクラフツマンシップ

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ベントレーひと筋で半世紀。勤続50年のコーチトリマーが伝えるクラフツマンシップ

16歳で入社し、ベントレーに50年勤務

ベントレーは、同社に最も長く勤めている社員の勤続50周年を祝った。

ベントレーひと筋で半世紀。勤続50年のコーチトリマーが伝えるクラフツマンシップ

英国・クルーの本社でコーチトリマーを務めるノエル・トンプソンは、1969年9月1日、彼が16歳のときベントレーに入社。彼はその日、職場となる工場に到着した60人の見習い社員のひとりだった。

トンプソンは、コーチトリミングを担当する前の12カ月間、主にエンジニアリング部門内の様々な部署を回るローテーショントレーニングを受けている。ベントレーが誇るこの見習い研修制度は、現在に至るまで高い技能を持つ職人を育てるためのトレーニングとして存在し続けている。

ベントレーがロールス・ロイス傘下にあった1991年までの22年間、トンプソンは幸運にも約40年にわたってコーチペインターとして働いた彼の父親と同じ工場で働くことができた。さらに彼の祖母も第二次世界大戦中に同じ工場の社員だったという。1969年にトンプソンがベントレーに入社したとき、ベントレーの本社は別の場所にあった。

「私が勤め始めたとき、当時の工場はもう時代遅れとなっていました。生産ラインの架台を手で押していました。床は打ち放しのコンクリートで、1940年代の防空壕がまだ残っていて、倉庫として使用していました。年間生産台数は1800台ほどで、モデルレンジも極めて限られていましたね」と、トンプソンは当時を振り返る。

ベントレーの代表として英国女王とも謁見

1998年にフォルクスワーゲン・グループがベントレーを買収すると、トンプソンは前向きな変化を目の当たりにしたという。

「工場は昔とは全く変わり、自動搬送のラインを備え明るく現代的になりました。より多くのモデル、より多くの販売業者、より良いカスタマーコミュニケーションのために、事実上業務のすべての側面がより良い方向に変化しました。現在、世界中から人々が毎日工場に訪れています」

工場を訪れるカスタマーとの会話は、トンプソンのお気に入りの仕事だ。彼の卓越した技能とコミュニケーション能力を理解しているベントレーは、コーチトリミング技術を紹介するため、世界中のモーターショーやイベントに、ブランドを代表するひとりとしてトンプソンを帯同させている。

英国のクラフツマンシップをプロモートするため、彼は世界中にある英国の大使館および領事館を訪ね、社会的な地位のある聴衆に彼の技能を披露しているのだ。 

トンプソンはこれまでの経歴で誇るべき経験をいくつもしているが、特筆すべきは女王と王室メンバーに謁見したバッキンガム宮殿での4日間だ。

「私は信じられないほど幸運でした。近頃は一生の仕事を得られる人は数少なくなりましたが、あらゆる職業の新人たちと会い、彼らと私たちの仕事を分かち合うことができます」

ベントレーの内装装飾を手がける「コーチトリマー」

トンプソンが担当する、室内装飾を手がける自動車の「コーチトリミング」は、ベントレーの歴史よりもはるかに古い慣習に根差した言葉だ。トンプソンは高い技能を持つ「コーチトリマー」であり、彼の率いるチームは間違いなく世界最高の技術を持っている。

トンプソンは現在、ステアリングホイールに特化して作業を受け持っているが、自動車のインテリアのあらゆる箇所を造れる
よう訓練されている。それは柔らかい革に目打ちをし、その後すべてを手縫いで仕上げることまで含まれている。

作成するすべてのステアリングホイールのステッチが均等に配置されるよう、食器用フォークを使用して目打ちする。

「上手くできていますし、これは良い方法と言えるでしょう。他に何か、ステアリングホイールにレザーを美しく巻き付ける方法がありますか?(笑)」と、誰よりも多くベントレーのステアリングホイールを縫製したトンプソンは胸を張る。

現在トンプソンはほぼ毎日、ベントレーの工場を訪れるビジターと会っている。有名人やVIPのカスタマーなど、世界各地からベントレーの生産施設であるクルーを訪れるのだ。通常、このような経験ができるのはベントレーの顧客のみに限られているが、見る場所こそ限られるものの、一般客を対象とした工場見学ツアー(general interest tours)も用意されている。

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