ハザード、クラクション、パッシング。譲ってもらったときの「ありがとう」で違法な行為はどれ？

譲ってくれた相手にお礼をするときの方法とは？

合流や交差点で他のクルマに道を譲ってもらったとき、ありがとうの気持ちを伝える方法はいくつかあります。

オーソドックスなのは手をあげるジェスチャーですが、ハザードを点滅させる方法のほうが多数派かもしれません。他にもクラクションを短く鳴らしたり、パッシングをする方法も知られています。

こうしたお作法は、ドライバーの年代などによっては半ば常識になっている感がありますが、それが違法だとしたらどうでしょうか？

その1：サンキュー・クラクションは違法行為

まず、明確に違反といえるのは「サンキュー・クラクション」です。クラクションは法律上では「警音器」と呼ばれる機能ですが、この機能は標識で指示された場所もしくは危険回避の目的以外で使うことが禁止されています。挨拶代わりにクラクションを使うことは明確に違反行為となります。

最近は「あおり運転」が社会問題化したことから、クラクションを鳴らすという行為自体にネガティブな印象があります。“ピッ”と短く鳴らすクラクションに悪意を感じるドライバーはほとんどいないでしょうが、サンキュー・クラクションはNGという時代になりつつあるといえます。

その2：誤解を招くサンキュー・パッシングも避けたほうが無難

一方、パッシングとハザードを本来の目的以外で使うことは、明確には道路交通法で禁止されていないようです。ただし、パッシングを執拗に行なうことは、やはりあおり運転として捉えられる行為となります。慣習として広まっているサンキュー・パッシングとあおり運転のパッシングは明らかに違いますが、あおり運転に対する罰則が厳しくなっている現在は、誤解を招く行為は避けたほうがいいでしょう。

その3：サンキュー・ハザードは交通を混乱させる可能性が…

そしてハザードは本来、危険な状態にあることを周囲に知らせる機能で、ありがとうとは真逆に近い意味合いです。最近は急ブレーキを踏んだときにハザードを高速点滅させる機能が標準装備された車両も増えていますから、サンキュー・ハザードも、ありがとうの意味なのか、そこが危ない状態になっている警告なのか判別ができず、周囲の交通を混乱させる可能性があります。

さらには、無理やり合流しておいて、ハザードを点滅させれば免罪符になるといった使い方をしているドライバーも目立ちます。あくまでも感謝を示すものであって、「ごめんなさい」をする手段というのはまったく違います。

運転に不慣れなら挨拶よりも周囲の流れに乗ることに集中を

・・・というわけで、軽く手を上げたり、頭を下げたりといったボディランゲージで謝意を示す方がよさそうです。それに初心者であれば、ありがとうを示すよりも、まずはスムーズな加速を心掛けるなど、周囲の流れに乗ることを優先してほしいと思います。

また、譲った側も自分の知っている方法で謝意が示されないからといって機嫌を悪くすることがないよう、大人の振る舞いに徹したいものです。あおり運転に対する取締りの強化など、社会の交通マナーに対する意識は急速に変わっています。時代に即した運転にアップデートすることも、ベテランドライバーの義務といえるのではないでしょうか。

文：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）

Comments

>サンキュー・ハザードも、ありがとうの意味なのか、そこが危ない状態になっている警告なのか判別ができず、周囲の交通を混乱させる可能性があります。

譲った後に1～2回程度点灯させるサンキューハザードと、危険を知らせる警告を判別できない人なんて本当にいるの？

ギブアンドテイクです。
違法か合法かの話では無く。
お互い気持ち良く譲り合えれば挨拶の形は、なんでも良いと思います。
それよりも、最近は全く譲らない人多すぎだと思う。
何を先急いでいるのやら？！