夫婦の写真から見えた理想のライフスタイル
施主のW夫妻は、バイクに乗って北海道や長野などにキャンプに出掛けるというアウトドア派。最近でこそ「疲れるから(笑)」と、奥様はあまり同行しなくなったが、Wさんは今も友人と頻繁に出掛けているそうだ。
ツーリング以外でもご夫婦でよく国内外を旅行するようで、設計を担当した建築家の佐藤さんは「旅行先で撮った家や景色の写真をたくさん見せてもらったことで、お2人が望むライフスタイルがとてもよく理解できました」という。
そのため設計は「ファーストプランでドンピシャ(Wさん)」だったそうだ。この家を建てた当時のWさんのお仕事は最先端の技術職。だからなのか、ローテクな生活に憧れを抱いていて、奥様も「木のぬくもりのある家がいい」と希望。
家の外板や柱、梁、天井はすべて地元、福島県産の杉を使っている。リビングには薪ストーブもあり、薪は知人の山で自ら伐採しているとか。
インターメカニカ製の356が佇むスペースは、正確にはガレージではなく、Wさんの趣味部屋だ。
「ここに関しては、佐藤さんに『箱だけ用意してください。あとは自分でやりますから』とお願いしました」。
壁は海外の蚤の市で集めた車関係のグッズで埋め尽くされている。建ててから12年、自分のペースで少しずつ、今もゆっくりとその姿を成長させている。
実はWさん、今年から勤め先を辞め、新たにローテクな仕事に挑戦中だ。憧れから始めたスローライフが、ようやく人生そのものになりつつある。
施主の希望:趣味の話ばかりしていたのにピッタリな家ができた
建築家の佐藤さんとは最初に趣味の話とか、こういう暮らしって良いよねとか、そういう話がほとんどでした。
その中で車の置ける趣味部屋が欲しいこと、それがどこからでも見えること、リビングからすぐ庭に下りられること、木をふんだんに使った山小屋みたいな家……と、いろいろ要望を出したのだと思います。
間取りは最初に提示された案のまま。あとは細かな仕様を詰めていくだけとスムーズで、本当に助かりました。
建築家のこだわり:いつも依頼主になったつもりでどんな家がいいかを考える
つねに施主になりきって、どんな家が欲しいのかを考え、それを実現するプランを提案します。
Wさんの場合、最初にお願いした質問票に対して、写真をたくさん添えるなど細かく丁寧に回答していただきました。それを読んだだけでどんな世界観を望んでいらっしゃるのかがよくわかりました。
建築的には、例えば玄関は天井を低くしてリビングに入ると天井が抜けるというように、空間にメリハリをつけるようにしました。 ■主要用途:専用住宅■構造:木造在来工法■敷地面積:322.50平方メートル■建築面積:141.03平方メートル■延床面積:166.35平方メートル■設計・監理:佐藤大建築事務所■TEL:0246-88-8531
※カーセンサーEDGE 2020年2月号(2019年12月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています 文/籠島康弘、写真/尾形和美
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