大量生産を模索した結果が4気筒の1900
ふっくらとしたスタイリングの4ドアサルーンは、1950年代のアルファ・ロメオで重要な役割を果たした。もしこれを生み出さなければ、歴史に刻まれた多くのブランドと同様に、21世紀まで生き残ることは難しかった可能性がある。
【画像】4気筒の1900 スーパーと6気筒の2600 ベルリーナ 戦前と戦後のアルファ ジュリア GTAmも 全133枚
第二次大戦前のアルファ・ロメオは、6気筒や8気筒のエンジンを搭載した、エキゾチックなモデルを限定的に提供していた。しかし戦後の厳しい経済へ直面し、生き残りをかけた大量生産を模索した結果が、1950年11月に発表された4気筒の1900だった。
欧州諸国に適用された復興救済措置、マーシャルプランにより、当時で210万ドルの資金支援を受けた同社は、新しい工場や設備への投資が叶った。一般的な市民にも手が届く、ファミリー・サルーンの開発を進めることができた。
1900の月間生産数は、当初500台が計画された。サスペンションには前後ともコイルスプリングが選ばれ、リアはリジッドアクスル。同社の量産車として初となる4気筒エンジンは、最高出力81psで、最高速度144km/hを実現していた。
加えて、左ハンドル・レイアウトも同社としては初めて。戦前は右ハンドルのみを提供していたのだ。
またシャシー単体での販売もされ、特別なボディを手掛けるカロッツエリアから大いに喜ばれた。実際、トゥーリング社やピニンファリーナ社などから、独自の「1900」が提供されている。
述べ1万7390台のサルーンがラインオフ
容姿ではさほど鮮明な印象を残さなかったとしても、1900のサルーンは確かな支持を集めた。最初の3年間で生産されたのは約7600台。1930年代から1940年代にかけて、アルファ・ロメオが提供したすべてのモデルを合計した数より、遥かに多かった。
1900は1959年に生産終了を迎えるが、サルーンだけで述べ1万7390台がラインオフ。同社が描いた目的は、不足なく達成されたのだった。
1884ccの通常の1900に続いて、1951年に追加されたのが1975ccの1900 Ti。ツーリズモ・インテルナツィオナーレの頭文字だけでなく、ツインチョークのウェーバー・キャブレターが与えられ、最高出力は94psへ上昇。最高速度は160km/h以上に届いた。
1954年には、ツイン・ソレックス・キャブレターが載り、高圧縮比化されたTiスーパーも登場。バルブが大径化され、最高出力は101psに達している。この年式から、すべての1900でリアアクスルの位置へ改良も施されている。
他方、アルファ・ロメオには6気筒エンジンを期待する声も増えていった。市場は、より小さく軽量なモデルを求めていたが、高級なモデルにも一定の需要が存在していた。
終戦から約10年が経過すると、イタリアは徐々に好景気へシフト。いわゆる中流階級は、自由に使えるお金を手にし始めていた。
1955年、アルファ・ロメオは1.3Lエンジンのジュリエッタを投入。さらに大衆側へ振ったモデルで堅調に利益を得ていた。大きなアルファ・ロメオを作りたいという機運が、社内でも高まっていたに違いない。
スポーツカー向きのツインカム・エンジン
その結果として6気筒エンジンの2600が誕生するのだが、前座的にタイプ102と呼ばれる、2000 ベルリーナが提供された。1900よりホイールベースは長く、テールフィンの付いたスタイリッシュなボディで覆われていた。
そして1962年、2000の後継モデルとして2600 ベルリーナが登場。テールフィンの省かれたボディは、さらにモダンさを増していた。ところが1900とは逆の意味で、同社に大きな影響を与えてしまう。
果たして、2600 ベルリーナは驚くほど売れなかった。1968年までの6年間にラインオフしたのは2092台。現在となっては、極めて貴重な戦後のサルーンになっている。英国でも販売されていたが、筆者は今日まで実際に目にしたことがなかった。
ベルトーネ社の2600 スプリント・クーペや、トゥーリング社が手掛けたコンバーチブル、2600 スパイダーにすら届かない台数だった。2600 ザガートよりは多かったけれど。
1950年代へ話を戻すと、1900は傑作のイタリアン・サルーンとして高く評価されていた。特にツインカムの4気筒エンジンは、当時最も優れた量産ユニットの1つだった。
ショートストローク型で、ナトリウムを封入した排気バルブが組まれ、優れた効率を実現。5ベアリング構造で耐久性も高く、高回転を長時間続けられる余裕があった。サルーンのボディに、スポーツカー向きのエンジンが載っていたといっていい。
車重は1169kgと比較的軽量。一般道でポテンシャルを引き出すことが可能だった。
ボルボ・アマゾンに間違われるスタイリング
今回ご登場願ったのは、1956年式の1900 スーパー。クエンティン・バトラー氏が現オーナーで、2007年に購入している。新車時からイタリアで乗られており、1990年にレストアを受け、2003年に英国へ輸入されたという。
バトラーが購入後は、ダッシュボードの時計とシートベルトを交換。ダイナモからオルタネーターへ置き換え、点火系もアップデートしている。ステアリングラックのリビルドには、かなり苦労したと振り返る。
「最近は、週末の小旅行を楽しんでいます。ベルギーまで、往復で1600kmを走ったこともありますが、まったく問題は起きませんでした」
サイドガラスには肉厚なフレームがまわり、現代では許されないであろう鋭利な装飾がボンネットに載っている。1950年代初期のデザインとして、一般的なスタイリングだといえる。しばしば、ボルボ・アマゾンに間違われるとか。
テールライトは、オリジナルとは違うとバトラーは考えている。刻印から判断するに、イタリア製ではあるようだが。
インテリアには上質感が漂う。クッションの効いたベンチシートはクロス張りで、この時代の欧州車的な、無駄を省いたシンプルなダッシュボードが優雅にカーブを描く。本来の定員は6名だが、筆者のような体型では難しいだろう。
荷室は長く深い。イタリアの警察から、1900が支持を集めたのも理解できる。給油口も荷室内にある。
この続きは後編にて。
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